数々の報告がある「蚊に刺されにセロテープ」その効果は――?

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「蚊に刺された部位にセロハンテープを貼ったら、痒(かゆ)みが治まった」という声が、ツイッター上で相次いでいる。「蚊 テープ」で検索すると、2016年7月から8月初めにかけては連日10件ほどヒットした。さかのぼると9年前、07年8月の時点で既に同様のツイートがあった。

特に蚊に悩まされる夏場は毎年重宝されているようだが、もちろんセロテープ本来の用途ではない。適切な処置方法と言えるか、皮膚科医にたずねた。

粘着剤に付着したばい菌が体内に

「蚊に刺されたときセロテープを貼ると、痒みが治まるというのは本当です。外からの刺激が受けにくくなるからです」

J-CASTヘルスケアの取材にこう答えたのは、すがわら皮膚科クリニック(岩手県一関市)の皮膚科医・菅原由香子氏だ。刺された部位にセロテープを貼っておけば、触れたり引っかいたりして起きる「刺激」を回避できるというわけだ。それでも、こう強調した。

「わたしはセロテープはお勧めしません」

蚊に刺されの痒みは、蚊が注入した唾液が人体内で起こすアレルギー性の皮膚炎によるもの。菅原氏は「セロテープで(刺し口を)ふさいでも皮膚炎は治まりません」といい、さらに「セロテープに付いていた雑菌が刺し口に繁殖してしまう場合もあります。テープをつけるなら、虫さされ用の清潔なテープを購入して貼るのが良いと思います」と述べた。

わかば皮膚科クリニック(東京都武蔵野市)の院長で皮膚科医の野崎誠氏も、取材に対し、「体の表面にテープを貼ることが体の中の炎症を抑えることにはつながりません」と、根本的な解決にはならないと話した。

野崎氏によると、炎症の悪化防止のためには、刺し口を覆って刺激を与えないようにすること。この際、「刺し口の周囲の皮膚」を粘着剤で覆って密閉するのが望ましく、絆創膏が有効という。一方、セロテープのように刺し口に直接粘着剤を触れさせると、かぶれたり、粘着剤についた菌が体内に入り込んでしまったりするリスクがあるという。

かゆみがなくなっても炎症残る

蚊に刺されただけと侮るのは禁物だ。炎症が長引けば、病院にかかる必要がある。その時、抗ヒスタミン剤やステロイド剤が一般的に処方される。野崎氏は、薬を使い始めて痒みが引いたとしても「刺された部分のしこりや硬さ、盛り上がりがなくなるまで使用することが大切です」とし、その理由をこう話す。

「炎症があるのと自覚症状(痒み)があるのはイコールではありません。自覚症状(痒み)がなくなっても炎症が残っていることがあるために、途中で治療を中断すると(炎症が)悪化する可能性があるのです」

重症化すると、「窩織炎(ほうかしきえん)」という皮下脂肪の細菌感染症にかかり、刺し口が腫れ上がってしまうこともあるという。野崎氏によると、蜂窩織炎にかかる頻度は「数百人に1人」だが、「誰にも起こり得る」。

そもそもセロテープは治療薬ではない。一時的に痒みが治まったとしても、炎症が治ったとは言い切れず、セロテープを何度も使えばそれだけ雑菌が刺し口から繁殖する機会が増える。こうした理由から、野崎氏も菅原氏同様、セロテープによる対処は「適切でないと考えています」と述べた。