かえって目に負担をかけている場合も

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紫外線対策のマストアイテムといえば、帽子に日傘、日焼け止め。しかし、それだけでは守りきれない部位がある。紫外線に直接さらされるにも関わらず、意外と無防備なのが、目だ。

角膜炎、白内障のリスクも

紫外線は皮膚だけでなく、目にも悪影響を及ぼす。紫外線が原因の一つとされる目の病気には、紫外線角膜炎や白内障などがある。

紫外線角膜炎は、強い紫外線を浴びて傷ついた角膜が炎症を起こし、目の痛みや充血などの症状が出る。スキーヤーに多い「雪目」や、溶接作業をしている人に見られる「電気性眼炎」などが代表例だ。紫外線角膜炎は一時的なもので、1、2日もすればたいてい治るが、紫外線の害が蓄積するとより深刻な病気を招く。悪化すると失明に至る白内障だ。

白内障にはさまざまなタイプがあるが、日本人にもっとも多くみられる皮質白内障というタイプでは、紫外線との関係が知られている。

白内障は、眼球の水晶体が濁って光を通しにくくなることで、視力が低下する病気だ。水晶体は、網膜に像を結ぶために光のピントを合わせるところで、カメラでいえばレンズにあたる。紫外線は、角膜を通して水晶体で吸収される。そのとき、水晶体のたんぱく質に変化が起こり、濁らせてしまうと考えられている。

初期の段階では、水晶体が硬くなることによって、老眼が進行する。濁りが強くなると視力が低下し、進行すると失明に至る。

日本では、医療技術の進歩のおかげで、白内障は失明理由の3%ほどに過ぎないが、加齢にともなう白内障は、早い人では40代から発症し、50代で急増、80代では、ほとんどの人に白内障の症状がみられるという調査結果がある。手術によって失明は免れるかもしれないが、若いうちからリスクを最低限におさえる努力が必要だ。

サングラス選びは機能性を重視

紫外線から目を守るには、サングラスが有効だ。どのようなサングラスを選べばよいのか、専門家に聞いた。

紫外線が健康に与える影響について広く研究を行っている神戸大学名誉教授・再生未来クリニック院長の市橋正光医師は、「紫外線防御効果があるレンズが使われているかどうかがポイント。『UV400』と表示されているものなど、紫外線カット効果の高いものを選びましょう」と言う。

UV400の「400」とは、紫外線の波長を示す数値(400ナノメートル)だ。紫外線には、波長の長い順にUV-A、UV-B、UV-Cの3種類があるが、UV400は、波長がもっとも長いUV-A(315〜400ナノメートル)をはじめ、すべての紫外線をカットしてくれる。

ほかにも、「紫外線透過率1%」「紫外線カット率99%」などと表示されているものもある。紫外線透過率は「紫外線を透過する度合い」。つまり、低いほどよい。逆に、紫外線カット率は「紫外線をカットできる度合い」なので、高いほどよいというわけだ。

色や形も重要だ。「まぶしいからと色の濃いサングラスをかけると、視界が暗くなるので瞳孔が開きます。そこへ横からの散乱紫外線が入り込んでしまうと逆効果。適度な透明性があるものを選びましょう」と市橋医師。さらに、形については「海辺やスキー場など横や下からの反射光が強い環境では、全方向からの紫外線をカットできるゴーグルタイプがおすすめ。日常でもなるべくレンズが大きく、紫外線をしっかりとめてくれるものが理想的です」という。レジャー用と日常用を使い分けるのが上級者だ。

米国やオーストラリアなど紫外線対策先進国では、子どもにサングラスの着用を義務付けている学校もあるという。日本では紫外線対策というとシミやしわ予防など美容の観点からのアプローチに寄りがちだが、市橋医師は「紫外線が皮膚ガンの発生や目の健康にも影響を及ぼすことをもっと意識してほしい」と強調する。

近年、メガネ業界でもUVケアに着目し、各社から紫外線カット効果が高く、かつ安価でデザイン性が高いものが販売されている。この夏は、紫外線対策マストアイテムのひとつに、ぜひサングラスを加えよう。
[監修/市橋正光 神戸大学名誉教授・再生未来クリニック院長]

(Aging Style)