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UR都市機構(独立行政法人都市再生機構)は、お盆の帰省シーズンなどを前に、「祖父母に聞く 育孫に関する調査」の結果をとりまとめた。それによると、祖父母は孫と「今より近い距離のほうが良い」と感じていることが分かった。最近注目される「3世代同居・近居」について、考えてみよう。【今週の住活トピック】
「祖父母に聞く 育孫に関する調査」の結果を公表/UR都市機構

孫との距離は近いほうがよいと思う祖父母は多い

UR都市機構の調査では、0歳から小学校3年生までの孫のいる祖父母に対して、自動車や電車等で1時間以内の距離に住んでいる「近居」とそれ以外の「非近居」に分けて調査を行った。

「孫とどれくらいの頻度で会っているか」を聞いたところ、平均は、近居している祖父母では月に4.8回(1週間に約1回)、近居していない祖父母では月に0.4回(2カ月に約1回)となり、近居のほうが孫と会う頻度が多いことが分かった。

また、「孫との距離についてどう感じるか」を聞いたところ、近居している祖父母(孫の家までかかる時間は平均30分)では、「今の距離で良い」が71.8%と最多で、「今よりも近い距離のほうが良い」も26.6%を占めた。一方、近居していない祖父母(孫の家までかかる時間は平均3時間18分)では「今よりも近い距離のほうが良い」(70.4%)が「今の距離で良い」(29.2%)を大幅に上回った。

近居と非近居で違いはあるものの、いずれも孫との距離が近いことを望む結果となっている。こうした背景から、祖父母、その子どもと孫の「3世代」による近居や同居が注目されるようになっている。

【画像1】あなたのお孫さんとの距離に対して、どのように感じていますか。(出典:UR都市機構「祖父母に聞く 育孫に関する調査」より転載)

【画像1】あなたのお孫さんとの距離に対して、どのように感じていますか。(出典:UR都市機構「祖父母に聞く 育孫に関する調査」より転載)

少子化対策として安倍首相が推し進める「3世代同居・近居」

この「3世代同居・近居」を強く推し進めているのが安倍首相だ。
日本の少子高齢化は深刻な問題となっている。出生率が上昇しなければ、人口は減少しつづけ、そのうち4割程度を高齢者が占めるという事態になると予測されている。

子育て支援の一環として「3世代同居・近居」を推し進め、世代間の助け合いを促すことで、祖父母が子どもたちの子育てを助けたり、将来祖父母の介護が必要になったときに家族内での介護を期待できると考えているからだ。

加えて、子ども世帯の家計負担の軽減も期待できる。別居に比べて、3世代で近居や同居をしている家庭のほうが、いわゆる「孫消費」が多くなる。教育費(期限付きで非課税になる制度もある)はもちろんのこと、食費やレジャー費などを祖父母が孫のための支出することになれば、子ども世代の子育てへの不安も解消される。

3世代同居・近居への優遇措置も増えている

「3世代同居・近居」を推し進める政府は、2016年4月から「3世代同居に対応したリフォーム」に対する減税制度(適用期限:2019年6月末)を創設した。
3世代同居のためにキッチン、トイレ、浴室、玄関のうち少なくとも1つを増設する工事を行い、リフォーム後にいずれか2つ以上が複数となるリフォームについて、最大で住宅ローンを借りた場合で62.5万円(5年間)、ローンを利用しない場合で25万円(該当年)を所得税から控除するもの。

また、自治体によっては祖父母世帯か子ども世帯が他の自治体から移り住んで、3世代で同居や近居をする場合に、補助金を設けていることもある。2016年7月から募集を始めた福島県では、多世代が同居や近居をするために住宅を取得したり、リフォームをしたりする場合、最大で110万円の補助金が出る。

賃貸で近居をする場合でも、自治体によっては補助金を出したり、公営住宅に優先して入居できたりする制度を設けていることもある。さらに、UR都市機構では祖父母世帯とその子ども世帯がUR賃貸住宅で近居をはじめた際に、家賃を5年間で最大20%減額するサービス「近居割」「近居割ワイド」を用意している。

このように、3世代同居・近居を支援する制度も増えているので、祖父母と孫を近くに住まわせたいと思った場合は、いろいろ調べてみるとよいだろう。

政策として推し進められているからと言っても、誰もが3世代同居や近居をできるわけでもない。それぞれの家庭に事情もあれば、予算などで難しい場合もあるだろう。それぞれの家庭なりに、祖父母と孫の距離をどうするのがよいか、よく検討することが大切だ。

●参考
・内閣府/平成28年度税制改正(三世代同居に対応した住宅リフォームを行う場合の特例措置の創設(所得税))
・福島県多世代同居・近居推進事業
・UR賃貸住宅「近居割」「近居割ワイド」