「喘息はアレルギーが原因ではなかった」特定の遺伝子を米研究者が発見

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喘息(ぜんそく)が完治できるかもしれない。最新の研究調査で喘息の根本的な原因とみられる遺伝子が発見されたからだ。これまでの吸入ステロイド薬や気管支拡張薬による症状軽減ではなく、この遺伝子を無効化することで、根本から症状を完治することも可能、と研究者らは自信をのぞかせている。

原因はアレルギーにあらず

そもそも喘息の症状は、炎症により気管支が狭くなることで生じる発作のことをいう。これまでは、慢性的なアレルギー性の炎症が引き起こす「気道」の病気とされてきた。

ところが……、

「喘息の症状は、アレルギー反応からくる炎症によって起こるものだと何十年も考えられていましたが、じつはそうじゃなかった。今回の研究で喘息に対する定義が完全に覆されました」。

とは、研究を指揮したサウサンプトン大学呼吸器内科Hans Michel Haitchi教授の弁。彼らの研究チームが突き止めた研究によって、ホコリや花粉、ダニなどのアレルギーが発作の引き金になるという、これまでの定説が間違いだったことが分かったそうだ。

喘息を引き起こす
特定の遺伝子を発見

Hans教授率いる研究者らは、喘息の発達と関係があるとされる遺伝子「ADAM33」の持つ影響を、ヒトの組織とマウスを使った実験で、その特徴的な症状を軽減させることを突き止めた。

このADAM33遺伝子は、気道筋内の細胞に付着する酵素をつくるもの。人間の体は傷ついた部分に細胞が増殖して修復をしようと働きかける。ところが、喘息もちの人の場合、その修復が気道付近で起きてしまう。これにより気道内の粘膜がむくみ、狭くなることで発作時に筋肉が収縮し、さらに息が苦しくなるという悪循環に。

しかし、今回の実験ではADAM33遺伝子を無効化したり、暴走させないようにすることで、気道のむくみ(気道リモデリングという)、ひきつけ、炎症といった喘息の特徴的な症状を軽減させることを突き止めたのだ。

ADAM33の暴走を止めれば
「喘息は治る」と研究者

今回の実験で、暴走したADAM33をマウスに与えたところ、気道リモデリングのスイッチはオンとなったままだったが、無効化した遺伝子では気道のむくみは完全に治っていたという。Hans教授は人間への応用が可能だと確信する。

「暴走したADAM33が気道リモデリングを引き起こし、アレルギー源のある場所での炎症や、気道のひきつけを誘発するという結果を導き出しました。つまり、この遺伝子の凶暴さを阻止、または暴動したとしてもそれを無効化できさえすれば、私たちは喘息を予防することができるのです」。

NPO法人「英国喘息協会」のSamantha Walker医師らは「Daily Mail」の取材に対し、今回の研究結果を受け、すでに資金提供の準備があることを表明。およそ11人に1人が喘息の症状を抱えているというイギリスで、発作の恐怖に怯える人々の特効薬になることを期待しているようだ。

Reference:University of Southampton,Daily Mail