ハワイ島に観光客を惹きつける、立ち入り禁止の「ウォータースライド」があった

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ハワイ語で「曲がった水」を意味するワイピオ渓谷。壁のようにそり立つ崖に周囲を囲まれた谷の奥の奥へと向かって、近頃、観光客が続々と分け入っていくそうです。

地元の人たちが「聖なる力が宿る」と信じるこの地に、“パワースポット詣”という訳でもありません。彼らの目的はただひとつ。

渓谷の奥の奥に潜む
ど迫力のウォータースライド

Photo by gangstamcasian

ハイキングロードを2時間以上歩き続けた先にあるのが、全長約10.6メートルのウォータースライド。原生林の急勾配を溢れんばかりの水量とともに一気に滑り降りれば、四角く開いた水たまりにドボーン!天然のスプラッシュはあえて言うまでもありませんが、爽快感100%間違いなし。

ご丁寧に誰が設置したのか、スライドの脇にはロープが渡してあり、これを伝って登れば、何度でも爽快なスリルを楽しむことができるようです。

それにしても、結構な急斜面。水の勢いもかなりのものですよ、コレは。

サトウキビを運んだ
100年前の灌漑用水

「Huffington Post」の情報によると、この山奥に突如姿を見せるウォータースライドは、山奥で採取されたサトウキビを約40キロ先のふもとへと運ぶため、およそ100年前に建設された灌漑(かんがい)用水の一部だそう。

アクションカメラを手にダイブする人々の気持ちよさそうな動画が、すでにInstagramには数えきれないほどにアップされ、地元に暮らすごくわずかな人にしか知られていなかったこの秘境が、もはやワールドワイドな観光地になろうとしているのです。

でも、実態は不法侵入の
“禁じられた遊び”

ところがいくら探しても、この場所を地図上で見つけることはできません。なぜなら、ここはハワイ州政府が管理する区域で、本来は一部の地元住民以外立ち入り禁止の場所だから。

トレッキングコースの途中には土地の所有者が建てたフェンスがあり、その先は私有地なのですが、訪問者たちはそれを無視し、道無き道も今では踏み固められ、灌漑に向かって流れ込んでくるんだそう。つまりは、このウォータースライドは、“禁じられた遊び”なのです。

さらに、その道のりは決して容易なものではないようです。不法侵入した先には、足がすくんでしまう命がけの谷渡りも。写真の彼女たちが渡っているのは、橋ではなく鉄骨で周囲を覆っただけの灌漑パイプ菅。一歩足を踏み外せば谷底……よっぽど、こちらの方がスリリングな気がしてきます。

「できる限り観光客たちの違法な侵入を阻止して、無謀な遊びへの関心をなくしたいんです。だけど……」。と、「Hawaii News Now」のインタビューに応えるハワイ島観光協会のMufi Hannemannさんの語気が弱まるのも、このウォータースライドがSNSやウェブサイトを介して広がるシェアを止めることが、もはや不可能という想いがあるからでしょう。

これまでのところ、死傷者は報告されていないとのことですが、「ビッグアイランド(ハワイ島の俗称)の隠し玉」なんて書き込みが、後を絶たない現状では、観光客の流れを止めることは現実的に厳しい、といった見方が大半のようです。

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