直木賞作家、朝井リョウ原作小説のアニメ化『チア男子!!』。男子だけのチアリーディングに青春をかける大学生たちの物語だ。先週放送された第5話「LET'S GO BREAKERS!」では、初期メン7人がいよいよステージに!


季節は夏、学園祭のステージを目指す「BREAKERS」のハル(演:米内佑希)、カズ(演:岡本信彦)、溝口(演:杉田智和)、トン(演:林勇)、イチロー(演:桑野晃輔)、弦(演:小西克幸)、翔(演:小野友樹)。溝口の財力で練習道具を揃え、いよいよ本格的なチアの練習の始まりだ。

彼らが取り組んでいるのは、「エレベーター」という技と「バックフリップ」という技。これらの技のことを総称して「スタンツ」と呼ぶ。一種の組体操のようなもので、チアにとっては見栄えの良い重要な技だ。

「エレベーター」とはベース2人の手の上に立ったトップを、背後のスポットと3人で胸(肩)の位置まで持ち上げる技のこと。画面ではハルがトップでイチローと弦がベース、溝口がスポットを担当している。簡単そうではあるが、トップの目の高さは軽く2.5mぐらいになる。高所恐怖症のハルにはかなりキツいはずだ。ちなみに、ベースの肘が伸びきったところまでトップを持ち上げると「エクステンション」という技になる。

「バックフリップ」とはベース2人に飛ばされたトップが、膝を抱えながら後ろ向きに空中回転する技。もちろん、ベースとスポットがトップをキャッチすることになる。高所恐怖症のハルにとっては、トランポリンでの練習すらままならない。しかし、こういう自分の弱い部分をぶっ壊すから「BREAKERS」と名付けたわけで、まずは前向きに頑張るしかない。何でも難なくこなすイチローのケガも発覚し、前途多難の様子。

BREAKERSの「大学生らしさ」とは?


夏休みに入っても一日中練習に明け暮れるBREAKESの面々。「チアに青春をかける」って簡単に言うけど、大学生たちがハッキリ言って何の得にもならない男子チアに打ち込んでいる姿は、それだけで尊く感じる。人脈作りが大好きな意識高い大学生からしてみたら、彼らの行動は意味不明かもしれない。でも、だからこそ尊いのだ。

ある日の夕方、「モーション」を練習している7人だが、なかなかうまくいかない。「モーション」とはダンスではなく、観客と掛け声をかわしながらポーズをビシビシと決めていく動きを指す。ポージングの正確さ、機敏さも大切だが、なにより重要なのはメンバー全員の動きがビシッと揃うことだ。しかし、素人集団のBREAKERSは上手く動きが揃わない。

当然ながら苛立ちが増してくる面々。そこでdisり合いになるかと思えば、それぞれ自虐を始めてしまうところが大学生らしいといえば大学生らしい。相手をdisらないということは、相手とそれなりの距離を保っているということだ。自分をけなすことで、その場が丸く収める社交のテクニックである。そのあたりがよくわかっていない中高生は、感情のまま相手の内面に踏み込んでdisり倒す。

ここで第5話にして初めて主人公らしく感情を爆発させたのがハルである。メンバーを一人ずつ豪快にdisっていき、最後は自分も責めて、ヤケクソな大声で「LET'S GO BREAKERS! GO! FIGHT! WIN!」と叫びはじめる。こうしてメンバー同士の壁も一気にぶっ壊してしまったのだ。荒技だし、いつも成功するとは限らないが、大人っぽく振舞っていては壊せないものも壊せるときがあるということだ。

簡単なモーション一つ覚えるのにも非常に時間がかかるのがこの作品の持つリアリティである。いきなり登場人物の歌が上手かったり、苦もなく集団でのダンスがバシッと決まってしまったりする作品も多いが、そもそも表現したいものが違うのだろう。

後半はいよいよ学祭での初舞台。これだけ練習を積んできているのに、まだアワアワと緊張しているところが初々しい。メンバー全員が円陣を組むあたりから、ちょっと怪しかった作画もグッと締まってくる。

ラストでは今までのモヤモヤを吹き飛ばすかのような爽快な男子チアが爆発! ハルは見事にバックフリップを決めるし、ポッチャリのトンやリズム感のない溝口もモーションを軽快に決めてみせる。スタンツはエクステンションとバックフリップぐらいで、大掛かりな技はほとんどないが、2分ほどをきっちりと動ききった。作画のみなさん、お疲れ様です!

というわけで、今夜放送の第5.5話は総集編「七人で見た景色」。来週からはメンバーも増えて、第2部突入だ。ゴー・ファイ・ウィン!
(大山くまお)