Doctors Me(ドクターズミー)- 医療現場ではさまざまな進歩を遂げている。「大腸がん最新療法」について。

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国際的ピアニストの中村紘子さんを襲った大腸がんについて、先日Doctors Me内でもニュースコラムとして取り上げさせていただきました。
近年の医療の進歩により、大腸がんに対してもさまざまな治療、手術が開発されているのをご存知でしょうか。

今回は医師の建部先生に「大腸がん最新療法」を解説していただきました。女性に多いとされる疾患なので、女性のかたは一読してみてはいかがでしょうか。

大腸がんはどのような症状ですか?

大腸を便の流れに沿って分類すると、盲腸付近からいったん上へ向かう上行結腸、次に右から左に向かう横行結腸、腹壁左側において上から下に向かう下行結腸、Sの字カーブを描いてさらに下に向かうS状結腸、直腸、肛門の順となります。

大腸がんは大腸粘膜に発生する悪性腫瘍で、以下のように発生部位によって自覚症状が異なることが知られています。

発生部位:右側結腸


貧血、腹痛、腹部腫瘤、液状便、稀に腸が蛇腹のようになってしまう腸重積がその症状となります。
腸管の内腔が解剖学的に広いので狭窄(きょうさく)を起こしにくく自覚症状に乏しいのが特徴です。

発生部位:左側結腸・直腸


初期症状として血便・粘血便や、便秘や下痢、糞柱が細くなるといった便通異常、左下腹部痛、繰り返し腹痛を伴い便意をもよおすにも関わらず排便が困難となるしぶり腹や、腹部膨満感による痛み・吐気・嘔吐といった腸閉塞症状を認めます。

大腸がんの「外科療法」とは?

外科療法は外科的切除術で、大腸癌を含む腸管の切除とその部分の支配血管・リンパ節を含む腸間膜※1まで切除を原則として行います。

通常の開腹術のほか、適応となる場合が限定されますが後述の腹腔鏡手術があります。

また、根治切除不能の大腸がんに対しては便塊の通過障害を回避するための、小腸と大腸をつなぐ・大腸と大腸をつなぐバイパス手術や、人工肛門造設術もあります。

※1 腸間膜....
腹部の消化管のうち、腹腔の背中側の壁(=後腹壁)にくっついていない部分を、後腹壁につなぎ止めている膜のこと。
血管や神経などはこの膜の中を通って消化管に出入りする。内臓脂肪が蓄積される場所でもある。

大腸がんの「内視鏡的療法」とは?

大腸がんは、早期がんと進行がんに分類され、早期がんについては以下の3つの内視鏡的療法があります。

ポリペクトミー


きのこ状の大腸ポリープの茎に縛り首のごとくワイヤーをかけて根元で縛り上げ、さらに高周波通電で切り取る方法です。切り離したポリープは回収して病理学的検査に回されます。

疑いも含めて大腸ポリープのごく一部にがん細胞が含まれ得るケースに頻用され、大腸カメラ検査でポリープを見つけた場合、ついでにこの方法が実施されるケースが多いです。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)


扁平な病変となっている部分の粘膜下に生理的食塩水注入して病変部分を隆起させ、ポリペクトミーと同じく通電可能なワイヤー(通電用スネア)を隆起させた根元にかけて同様に縛り上げて高周波通電で切り取る方法です。

がんが大腸粘膜の浅い所にとどまってくれているなどが条件です。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)


予め癌腫の周囲に数箇所マーキングをし、粘膜下に生理的食塩水や薬剤を注入し病変部を隆起させ、マーキングをしておいた外側を内視鏡用のナイフで切開し、粘膜下層を剥離して病変部を切り離す方法です。

内視鏡的粘膜切除術よりも難しい手技ですが、大きな病変を一度に切除でき、現在一般的手技となっていますが、大腸に穴を開けてしまう穿孔などのリスクがあります。

大腸がんの「腹腔鏡手術」とは?

腹腔鏡手術とは?


腹腔内(腹腔:おなかの壁と臓器の間の空間)に炭酸ガスを入れて膨らませ、臍を含む腹壁の4〜5箇所に0.5〜1センチ程度の穴をあけます。

その穴に高性能カメラ(腹腔鏡)やその他、専用の特殊な器具を挿入、そのカメラでおなかの中の様子をモニターに映し出し、大腸切除や周囲のリンパ節の切除をおこなうものです。

メリット


術後の痛みが少ない、術後の腸管運動の回復が早いために早くから食事がとれる、入院期間が短くて早く社会復帰ができます。

デメリット


腫瘍が極端に大きい、あるいは隣の臓器に浸潤している、リンパ節転移がたくさん認められる、などの場合はこの手術は向きません。

医師からのアドバイス

大腸がんの治療は今も大きく進歩しています。

しかしながら、最も手術が有効である消化器がんであることや、肛門に近いがんほど予後が悪い事実は今も変わりません。 早期発見・早期治療で生存率が高い疾患でもあります。

予防するに超したことはありませんので、適度な 習慣的運動のほか、検便による大腸がん検診を欠かさずおこなうことが望まれます。

(監修:医師 建部雄氏)