■連載/阿部純子のトレンド探検隊

◆「夏といえばカレー」の文化を作ったロイヤルホストのカレーフェア

 すっかり夏の定番となったロイヤルホストの「カレーフェア」は、1983年からスタートして今年で34年目を迎える。今でこそ「夏といえばカレー」のイメージが定着しているが、フェアがスタートした当初は、夏にカレーを食べるという習慣は一般的ではなかったという。

「カレーフェアが始まる前年はイタリアンフェアが行われていたが、イタリアンはオーダーが入ってから作る工程が多く、お客様が増える夏休み中に負担のかかるフェアをやっていたので、きちんとしたものを出せなかったという反省があった。そこで創業者(故 江頭 匡一氏)が暑い国の人はどんなものを食べているのか、インドの人たちが食べているカレーを日本でも出したら喜ばれるのではないかということで83年にスタートした。夏にカレーを食べることを最初に提案したカレーフェアには、大手の食品メーカーの方がベンチマークで食べに来ていたほどで、その後の“夏といえばカレー”という文化を醸成したと考えている」(ロイヤルホスト 代表取締役社長 佐々木 徳久氏)

 これまでの33年間に合計153種類のカレーメニューを提供してきたカレーフェアだが、80年代の第1期は、インド、北アフリカ、タヒチ、パキスタンなど世界のカレーを紹介するのがコンセプトだった。第2期は東南アジアのカレーが中心となり、1990年にはレッドカレー、グリーンカレーといった本格タイカレーが登場した。

「ナンプラー、コリアンダー、ココナッツミルクなどが入ったカレーを出したが、当時は今ほどタイカレーが一般的ではなかったので、一口食べて別のメニューを頼み直すお客様もいたほど。食文化は早すぎるとなかなか受け入れられないとわかった」(佐々木氏)

 第3期はバラエティー豊かなカレーを楽しむということで、1998年にはナンとライスで食べる3種類のカレーを一皿で楽しめる「ロイヤルターリ」が初登場。ターリは4年ぶりに今年のカレーフェアでも復活している。

これが無ければ夏が来ない?今年で34年目を迎えたロイヤルホスト「カレーフェア

 昨年はGood JAPANシリーズの中のメニューとして2品目のカレーを提供したが、今年は原点に返り「34年目のカレーフェア」として、新作3種類を含めた5種類のカレーをラインナップした。今年の2月にセレクテッドメニュー(グランドメニュー)を改定した際、国産野菜を中心にしたところ売上が伸び、国産野菜のニーズの高まりを受けて、カレーメニューも国産野菜をメインにしている(価格はすべて税込)。

◆ロイヤル プレミアム ターリ(1998円)

ロイヤル プレミアム ターリ

 1998年に初登場したターリ。ターリとは定食スタイルのカレーのことで、今年はバターチキンカレー、ビーフカレー、日本の野菜(にんじん、長ナス、玉ねぎ、ししとう)を美味しく食べるカレーの3種類。これまでより1.5倍大きくなったナンと、ターメリックライス、コールスローがセットになっている。

◆国産野菜のカシミールビーフカレー(1274円)

国産野菜のカシミールビーフカレー

 1983年の1年目から登場している一番人気のカレー。カレーフェアのメニューの中では一番辛いタイプになるが、これを食べなくては夏を感じないというコアなファンも多い。味は毎年変化させており、今年は18種類のスパイスを使った、さらっとした食べやすさでありながらコクを感じる仕上がりになっている。国産野菜を使用し(※フライドオニオンやソースに含まれる野菜の一部は外国産を使用)、今回は野菜を揚げずにそのまま手鍋の中に入れ、野菜そのものの味をより感じる調理方法にした。

◆“日本の野菜”を美味しく食べるカレー(1544円)

 新作カレー。10種類の国産野菜を使った食べ応えのあるサブジ風(サブジとはインド料理のひとつで、野菜に香辛料をまぶして、炒めたり蒸したりしたもの)のカレーで、十八穀米と一緒に食べると風味がよく、より野菜のうまみも感じられる(白米も選択可能)。

 厨房で調理する様子も見学させてもらった。野菜がメインとなったカレーは今回が初めてとのことで、かぼちゃ、ブロッコリー、カリフラワー、にんじん、長なす、玉ねぎ、オクラ、じゃがいも(北海道のキタアカリ)、レッドピーマン、ししとうの10種類。フレッシュな野菜は甘みがしっかりしているので、カット野菜は一切使わず、厨房で切ることにこだわっている。バットは1人前に使われる野菜の量。

“日本の野菜”を美味しく食べるカレー “日本の野菜”を美味しく食べるカレー

 ブロッコリーとにんじん、じゃがいもは野菜の美味しさが逃げないスチームケースを使って蒸している、残りの野菜はすべて素揚げにするが、揚げることで香りやうまみを閉じ込める。ポイントは揚げたあとしっかりと塩をすること。塩をすることで野菜の甘みがしっかりと出る。サブジ風なのでルウと野菜は煮込まず、セントラルキッチンで製造されたカレールウを野菜と合わせる。ルウには豆乳、白味噌、ごまペーストが入っており、カレーのコクや味がマイルドになり野菜とよく合う。

“日本の野菜”を美味しく食べるカレー “日本の野菜”を美味しく食べるカレー

◆チキンカリー“グランデ”(1490円)

チキンカリー“グランデ”

 新作カレー。鶏の胸肉、もも肉を使用。カレーではおなじみのクミンを使わずに、フェネグリーク、シナモン、クローブなどの清涼感のある香りを活かしたスパイスを使用し、夏にとても合うさっぱりとしたカレーに仕上がっている。カレーというよりシチューに近い感覚で、ゆで卵で味の変化も楽しめる。白米、十八穀米のいずれにも合う。

◆南国シュリンプカレー(1652円)

南国シュリンプカレー

 新作カレー。ココナッツの香りが立つ、辛さ控えめのアジアンテイストのカレー。バターソテーされた海老のうまみと風味を存分に味わえる。おすすめは十八穀米だが、海老のうまみをダイレクトに味わいたいのなら白米でもいいかも。トッピングされたパクチー(千葉県産)がほどよいアクセントになっているので、パクチー好きなら追加のパクチー(194円)でボリュームアップするのもいい。

◆夏の前菜セット(421円)&氷のこぐま(410円)

 カレーの前菜におすすめなのが、さっぱりとしたコールスローと“夕暮れビシソワーズ”の前菜セット。ビシソワーズのじゃがいもはニシユタカを使用、コンソメゼリーは以前より増量している。ニシユタカのうまみを出すために通常のスープよりはさらりとしたタイプに仕上げており、コンソメゼリーとしっかりと混ぜ合わせて食べるととても美味しい。

夏の前菜セット

 限定メニューの『氷のこぐま』は、鹿児島発祥のかき氷「白熊」をロイヤルホスト風にアレンジしたもので、スタンダードな練乳と、シナモンやクローブなどのスパイスがほんのり効いたミルクティー味の2種類。「グラニータ」と呼ばれる味をつけた状態で凍らせたものを砕くので、上からシロップをかけるかき氷と違って味が濃くてどこを食べても美味しい。カレーを食べて体が暑くなったあとのデザートとしておすすめ。

氷のこぐま

【AJの読み】ロイホのカレーが初めての人は「カシミール」を試してみるべし

 伝統あるフェアだけあって、カレーのメニューを決めるのに、何十種類ものレシピを考案して試行錯誤するため、開発担当のコックさんは口の中が香辛料でただれることもあるという。今回のラインナップもバラエティー豊かでどれを頼むか迷うが、初めてロイホでカレーを注文するという人には、ずばり「国産野菜のカシミールビーフカレー」をおすすめする。確かに辛みは強いが、スパイスの香りが高くコクがあり、暑さで食欲がないときでもさくさくと食が進む。ライスの量は240gだがついおかわりをしたくなるほど。辛いのが苦手な人には素材の美味しさを味わえる「“日本の野菜”を美味しく食べるカレー」と「南国シュリンプカレー」がイチオシ。

 今年からサイズが大きくなったナンはロイヤルホストの独自レシピで作られたもので、追加(302円)も可能。ナンをピザ生地代わりにしてチーズやベーコン、ソーセージ、野菜をのせて焼きあげた『ナンピザ』(1058円)もぜひ試してみたい。ナンピザに、フルーティーなスパークリング『キリンハードシードル』(529円)、『果実のサングリア〜微炭酸〜』(410円)、『富士山麓ハイボール』(529円)といった軽めの炭酸系アルコールと合わせたちょい飲みもおすすめ。

ナンピザ

文/阿部 純子

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