8日、「生前退位」の意向を持たれている天皇陛下は、国民に向けたビデオメッセージで、「お気持ち」を表明、象徴天皇としての務めに関する自身の考えを示された。写真は皇居。

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2016年8月8日、「生前退位」の意向を持たれている天皇陛下は、国民に向けたビデオメッセージで、「お気持ち」を表明。「次第に進む身体の衰えを考慮する時、全身全霊で象徴の務めを果たしていくことが難しくなるのではないかと案じている」とし、生前退位の意向を強く示された。

陛下は冒頭、「天皇が高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、個人として考えてきたことを話したい」と説明。「2003年と12年に2度の外科手術を受け、高齢による体力の低下を自覚するようになったころから、これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合に、どのように身を処すのが良いかを考えるようになった」と語られた。

さらに象徴天皇として「人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切と考えてきた」とし、全国各地の訪問といった公務の大切さを強調。高齢化でそうした公務や国事行為を縮小するのは「無理がある」と、負担軽減には否定的な見解を示された。摂政の設置も「天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせない」とし、望ましくないとの意向を語られた。

また天皇が重篤になれば「社会が停滞し、国民の暮らしにも影響が及ぶ」と憂慮。天皇として逝去した場合は葬儀などの行事の負担が大きく、こうした事態を避けたいとの思いをにじませた。

最後に、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことを念じる」とし、務めが果たせなくなる前に皇位を皇太子さまに譲りたいとの意向を強く示された。

天皇陛下はお気持ちが国内外に広く伝わることを望まれており、宮内庁はホームページに映像のほか、日本語全文と英訳を掲載した。

陛下は、生前に皇太子さまに皇位を譲る「生前退位」の意向を既に周囲に示されているが、皇位継承などについて定めた皇室典範には生前退位の規定がなく、実現には法整備が必要となる。

天皇陛下は「戦争を2度としてはならない」との思いを抱かれ、戦争慰霊の旅を重ねられた。広島、長崎、沖縄、サイパン、パラオなど内外各地を訪れ、被災者に心を寄せられた。

戦後70年の2015年頭には次のようなお言葉を述べられた。
「本年は終戦から70年という節目の年に当たります。多くの人々が亡くなった戦争でした。各戦場で亡くなった人々、広島、長崎の原爆、東京を始めとする各都市の爆撃などにより亡くなった人々の数は誠に多いものでした。この機会に、満州事変に始まるこの戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今極めて大切なことだと思っています」。

中国や韓国、米国など各国も関心を示している。ネットユーザーは「82歳であれば、引退生活を楽しんだ方がいいと思う」 「天皇陛下のご多幸を祈る」「本当に激務だったと思うから、ゆっくりされた方がいい」などの声が寄せられている。(八牧浩行)