リオ五輪、女子バレーボールはグループリーグがスタートした。開幕初戦となったのが、日本対韓国戦。決勝トーナメントまで見据えると非常に大事な一戦であったが、日本は第1セットを先取したものの、2、3、4セットを韓国にとられて手痛い敗戦を喫した。

 試合後、元全日本代表で、現在は解説者である杉山祥子(元日本代表)さんに話を伺った。

【profile】
杉山祥子(すぎやま・さちこ)
全日本のミドルブロッカーとして、アテネ五輪・北京五輪に出場。グランドチャンピオンズカップでは銅メダルを獲得。Vリーグで7度のベスト6をはじめ、ブロック賞3度、スパイク賞、敢闘賞のキャリアを誇る。スピードのある多彩な攻撃と固いブロック力に定評があった。2013年引退後は各メディアで解説をしている。

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―― 1セット目を先取したものの、逆転負けを喫してしまいました。2セット目以降の韓国はどこが違ったのでしょうか。

「まず、1セット目の日本の集中力が素晴らしかった。サーブがすごくよくて、木村(沙織)、島村(春世)を中心にサーブが走っていて。逆に韓国はサーブミスが多くて、波に乗りきれなかった。攻撃に関しても木村・長岡(望悠)・石井(優希)、中盤からは島村選手のミドルの攻撃もあり、組み立てもよかった。ただ、2セット目以降はその勢いが止まりました。

 韓国は14番のヤン・ヒョジンが、試合全体を通してサーブもスパイクも活躍が目立っていた。そして7番イ・ジェヨン。世界的エース、キム・ヨンギョンに目を奪われがちですが、今回はヤン・ヒョジン、イ・ジェヨンの攻撃にやられましたね。

 ポイントポイントで、意図的にヨンギョンがチームを盛り上げようとする派手なアクションにも、日本は押されてしまいました」

―― 2セット目に7連続失点がありました。あそこがこの試合の流れを変えてしまったように思います。

「2セット目中盤、石井がサーブで狙われ、攻撃が絞られて、ブロックで仕留められました。とくにキム・スジのサーブがすごくよかった。

 日本のミスも目立ちましたね。サーブミスが増えたし、ジャッジミスもありました。そういったちょっとしたミスの連続でリズムが取れなかったように思います。

 あとは3枚ブロックが機能していないなというのも気になりました。はじいてしまったり、プッシュで決められたり。せっかく3枚跳んでいるのに機能していません」

―― 逆に日本の軟打はうまく拾われていました。

「これも韓国のサーブがすごくよくて、攻撃の選択が絞られてしまったから。いいときは(バックも含めて)3枚以上どこからでも攻撃できるのが日本の強みなのですが、サーブで乱され、この選手しか打てないという状態を韓国に作られてしまいました。ヤン・ヒョジンが高さも形もすごくいいブロックしていたので、日本が捕まってしまった」

―― 木村沙織選手は世界最終予選で小指を骨折しており、初戦に間に合うかどうか、ケガの状況はずっと伏せられてきましたが、結果としてフル出場でした。木村選手の調子をどう見られましたか?

「ケガを感じさせない力強いスパイクだったり、レシーブやトスが乱れたところからもいいパフォーマンスが見られたと思います」

―― 途中で電池切れしたのかなという感じも受けましたが。

「ふくらはぎが痛そうだったので心配ですが、コンディションはそんなに気にならなかったですね。

 ただやっぱり、相手のサーブがよかった。要所では韓国にサーブで攻められて、ブレイクされることが多かった。前回の最終予選での対戦のときは、4番のキム・ヒジンにやられましたが、今回、彼女はそこまでよくなかった。全体で前後の揺さぶり、人の間をしっかり狙ってきた」

―― 木村選手の痛めた小指を狙って、オーバーパスでサーブをとらされている場面もありましたが。

「ありましたね。コンディションはどうであれ、フォワードレフト側の木村選手、石井選手は徹底して狙われるので、そこは想定内でどう戦うか。間違いなく、今後も相手はそこを狙ってくるので。昨日のように少し乱れてしまうと、そこからの連続失点につながってしまう。乱されたとしても、そこからどうみんなで立て直すか。

 今回の日本代表はチーム力の向上を大きく掲げているわけですから、カバーしていきたい。ひとりの頑張りだけでなく、何とか攻撃に全員でつないでいきたいですね」

―― チーム最年少、宮下(遥)のトスワークはどう見られましたか。

「第1セットは島村選手を使っていましたが、もう少し、もうひとりのミドル、荒木(絵里香)を使ってほしいという場面が見られました。

 アタッカー陣は前半、石井、長岡、木村にしても力強いスパイクが決まっていました。ただ、そこがよかっただけに、荒木も数は少ないけど、トスが上がれば決めてくれていたので、もう少し彼女を多く使えたらよかったのに、というところがありました。

 後半は相手にブロックされる場面が多くなりました。(トスを)上げるところや(アタッカーの)打ち幅が絞られてしまう形になったのは、レセプション(サーブレシーブ)の問題もありますが、トス回しを工夫してブロックを散らしてほしいですね」


―― 途中出場の迫田(さおり)選手が奮闘しました。

「すごい集中力を持ってコートに入ってきたなと思いました。スパイク1本目から気持ちが入っていた。サーブもすごくよかったですね。結局負けてしまいましたけど、4セット目終盤に点差が開いていたところから『行けるかも』と思わせてくれたのは迫田の連続サービスエースでした」

―― 2試合目以降、どこがポイントになりますか。

「やはりサーブですよね。昨日、日本がやられたことが本当は日本がやりたいこと。肩越しに食い込むサーブであったり、前後に揺さぶるサーブであったり......狙っているのだけど、もうひとつ厳しいところを打っていく必要があると思います」

―― オリンピック経験者から見て、最初の試合というのはやはり緊張するものでしょうか。

「もちろん緊張感はあったと思いますが、すごくいい緊張感で入れたと思います。ただ、韓国は11番、14番のサーブ、ヨンギョンと7番の攻撃。ひとりだけじゃないんです。もう、ワンマンチームではなかった。確実に韓国がレベルアップしているのを感じましたね」

―― 第2戦カメルーン戦に向けて、ひと言お願いします。

「課題ははっきりしているので、そこをもう一度修正して、引きずらない。前に進むしかないので、ここからどうするかということだけを考えて前向きに臨んでほしい」

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 第1セットの入りは非常によかったが、第2セット以降、韓国は日本の軟打に対してレシーブ陣形を前進させるなど試合中に修正し、日本の攻撃が決まらなくなった。エース、キム・ヨンギョンも3枚ブロックのインナーであったり、上から打ってきたりと前回五輪MVPの格を見せつけた。日本はサーブを連続でミスするなど自分から流れを断ち切ってしまう場面もあった。格下のカメルーン戦(8日11時35分、日本時間23時35分試合開始)では、ある程度余裕が持てるはずなので、しっかり課題を修正して次につなげていて欲しい。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari