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嫌われ者の姑の面倒をみてくれるあてがないーー。姑との「同居」をめぐるトラブルに悩む女性の投稿が、ネット上の掲示板で話題になった。

投稿者は、夫とその母親である姑と同居している。夫は現在末期がんで入院しており、今同居している家は、女性と夫の共同名義だ。夫は「姑を死ぬまでは住ませてやってくれ」と頼まれている。

しかし、姑は性格に問題があり、親族一同に嫌われているそうだ。相談者と同居する前で、義理の姉(姑の娘)の夫婦のもとで暮らしていたが、義姉の夫に嫌われ、仕方なく相談者の家にやってきたのだという。

姑は年金も無く、義姉からは「顔も見たくないし、姑が死んでも連絡はしないで欲しい」と拒絶されている。一方で、相談者も姑が嫌いで、夫の死後、姑と住むことは考えられないという。

夫の死後も、姑の面倒は夫の妻(相談者)がみる義務があるのだろうか。拒んでいても、実の娘に扶養する義務はないのか。また、夫の死後、姑に対して、「出て行ってほしい」と求めることは法的に可能なのか。内山知子弁護士に聞いた。

●家庭裁判所の審判で「嫁・姑」の関係でも扶養義務があるとされるケースも

「民法上、原則として、直系血族および兄弟姉妹にある者はお互いに扶養をする義務があるとされています(877条1項)。

嫁・姑の関係はこれに当たらないので、相談者には姑の扶養義務はないのが原則です。したがって、姑の直系血族である実の娘に対して、姑を扶養するようまずは求めることができます」

内山弁護士はこのように述べる。今回のケースでは、実の娘である相談者の義姉は引き取ることを拒絶しているが、話し合いで解決しない場合はどうすればいいのか。

「親族間の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の調停・審判で扶養する者の順序や程度・方法を定めてもらうことができます(878条、879条)。

ただし、長年にわたって姑と共同生活を営んできたとか、姑から特に多額の生活費等の援助を受けてきたとか『特別な事情があるとき』には、家庭裁判所の審判で、嫁にも姑の扶養義務があるとされる可能性はあります(877条2項)」

もし、相談者に扶養義務があると裁判所が判断した場合、相談者は、姑が亡くなるまで面倒をみる必要があるということだろうか。

「家庭裁判所の審判で、嫁に姑の扶養義務があるとされた場合であっても、夫が死亡後に、嫁の自由意思で姻族関係を終了させることができますので(728条2項)、相談者がこの意思表示をすれば、扶養義務は法的に免れることにはなります。

ただし、相談者に子がない場合には、夫の共有持分について姑にも法定相続分がありますので、遺産分割するまでは『出て行け』とは言えません。

夫が遺言で、姑の扶養などを条件に妻に相続させるとしていたような場合には、別途夫の生前の意思を考慮する必要もありますので、現実には追い出すことは難しいかもしれません」

内山弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
内山 知子(うちやま・ともこ)弁護士
第二東京弁護士会消費者問題対策委員会委員(2009年度、2010年度は副委員長・医療部会長兼任)。子どもの権利委員会委員としての経験を活かし、親族・相続分野を始め幅広く活動中。
事務所名:池袋若葉法律事務所(2016年8月より)