7月末に米ロサンゼルスで行われた「名古屋フェア」会場で、手羽先の唐揚げでお馴染みの「世界の山ちゃん」にアメリカ人が大行列をなし、終了時間前に完売という快挙を成し遂げたそうです。なぜ、日本の「名古屋」に関するフェアが成功できたのでしょうか。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』の著者で同イベントのプロデューサーでもある理央さんが、自ら仕掛けたPR戦術を披露しています。

行列ができた名古屋めし

7月27日からロサンゼルスにて、今回は、私がプロデュースした「名古屋フェア」の立会い。

全米で9店舗を持つ、日系高級スーパーMitsuwa Marketplaceさんの、トーランス店と、サンノゼ店での週末限定のイベントで、名古屋から、「世界の山ちゃん」さんと、行列ができるかき氷「川久」さんに、店頭で実演販売を実施。

最初の週末トーランス店にて、7月29日から31日までの開催。なんと、両店ともに、終了の時間前に「完売」。世界の山ちゃんに関しては、店の外まで大行列ができる人気ぶり。

Mitsuwaさんは、スーパーマーケットといっても、すべてが巨大なアメリカンサイズで、生鮮食品売り場に、銘品売り場、大きなフリースペースに、フードコートまである。まるで、ちょっとしたショッピングモールなのだ。

この店の外までできる行列は、ここ数年では見たことがない、とのことだった。

かき氷の川久さんも同様で、3日間とも午後2時くらいで売り切れ。大人気での前半戦だった。

行列ができる理由

ではなぜ、このような行列になったのか? 世界の山ちゃん、川久ともに、名古屋では有名だが、まだまだ全国区とは言えない。

さらに、アメリカではもちろん同じことだ。Mitsuwaさんのお客様も、日本人は半分以下くらいで、4分の1がアジア系アメリカ人、4分の1がアメリカ人、といった感じだったであろうか。

今回仕掛けたのは、PR。その中でも、最も効果があったであろうものが、Los Angeles Timesで紹介されたこと。地元ロサンゼルスでは、もちろん最大級の新聞。メディアとしては巨大で、全国紙がほとんどないアメリカでは、大半の人が読んでいると言っても良いくらいだ。

もう1つは、eatla.com という、全米でもかなり影響力のある、グルメサイトで紹介されたこと。

この2つのメディアによって、アメリカ人の周知されたようである。

また、日系人に関しては、北米唯一の日本語ラジオ局、TJSで紹介されたのが大きい。朝8時からのオンエアの中で、山ちゃんと川久のお二人にインタビューをしてくださった。

一方で、広告の方は店頭での告知チラシの配布、SNSの活用、そして現地での日本語メディアでの広告掲出。日本人向けの対応になる。

PRと広告の統合型マーケティング

今回の告知に関して、功を奏した理由は、上記に書いた各種メディアの「相乗効果」に尽きる。このメルマガでもこれまで書いてきたように、メディアは単体で使っても意味をなさない。組みわせてなんぼ、ということである。これを、「統合型マーケティング コミュニケーション Integrated Marketing Communications」、という。

統合型マーケティングコミュニケーションを仕掛ける理由は、「相乗効果」を出すこと。

人は「すぐに」ものを買わない。なんども、その商品の広告や口コミにふれて、買う気が起きてくる。だから、なんども目に触れさせる必要がある。その際に、ネットや新聞、SNSにできる限り多く掲出される方が、買う気を高める確率は上がるのは言うまでもない。

もう一つは、接触の機会損失を減らすため。今回の事例でいえば、店頭での告知チラシを見逃しても、LA Times やeatla.com で触れて貰えばいいし、ラジオを聞いて貰えば、検索する気にもなる。

1点気をつけたいのは、SNS。フェイスブックなどを見ていると、自分で自社のことを投稿している人もよく見る。しかし、これはちょっと残念だ。

フェイスブックなどは基本的に「ともだち」とのコミュニケーション。そこで宣伝をすると、見る側は嫌になってしまう。まるで、カラオケボックスでマイクを離さない人のようになってしまうのだ。

このように、メディアを組み合わせて相乗効果を出す、ということが重要なのである。昔は「クロスメディア」と呼んだのがこれである。

テレビCMなどは高額で大企業しかできないが、私たちのような中小企業や個人事業主でも、同じような特徴のメディアを組み合わせば、相乗効果を出せるのだ。

image by: Wikimedia Commons

 

『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』より一部抜粋

著者/理央 周(めぐる)

あのヒット商品はなぜ「ヒット」したのか?あのレストランの予約は、なぜいつも取れないのか?世の中で「売れているモノや人気者」はなぜヒットするのでしょうか?毎号実際の店舗や広告を取り上げ、その背景には、どんな「仕掛け」と「思考の枠組み」があるのかを、MBAのフレームワークとマーケティングの理論を使って解説していきます。1.「中小企業経営者・個人事業主」が売り上げを上げる 2.「広告マン・士業」クライアントを説得する 3.「営業マン」が売れない病から脱するためのメルマガです。

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出典元:まぐまぐニュース!