世界の壁の厚さ、厳しさを、まざまざと見せつけられた――。

 8月6日、リオデジャネイロ五輪から正式種目となった7人制ラグビー(セブンズ)は女子から始まり、「サクラセブンズ」こと女子7人制日本代表が予選プール2試合を戦った。

 日本はプールBに入り、カナダ、イギリス、ブラジルと同組になった。初日、昨年のワールドシリーズ(F1のように各国を転戦する国際大会)で総合3位だったカナダに0−45、同じく総合4位だったイングランドを中心とするイギリスには0−40で大敗し、2日目のブラジル戦に大勝しないかぎり、日本の決勝トーナメント進出はかなり厳しくなった。

 初戦のカナダ戦後、2012年からチームを強化してきた浅見敬子ヘッドコーチ(HC)は頭をかしげた。「練習場でのアップはよかったのですが、ピッチに入ると身体が硬くなってしまった」。前日、HCからジャージが渡されたときに、感極まって泣いている選手もいたという。

「何度もケガした選手もいたし、4年、5年の想いが重くなったのかな。そうならないように、なんとかやりたかったのですが......」と浅見HCが言えば、中村知春キャプテンは、「(緊張で硬くなってしまう)いつもの私たちになってしまった」と唇をかんだ。日本は2人目、3人目の反応が鈍く、ディフェンスでは前に出るスピードもなかった。そのため、速く、強い相手に1人目のタックルがなかなか決まらなかった。

 また、初戦で0−45の一方的なスコアになってしまったのは、フィジカルに強いメダル候補のカナダが、しっかりと日本を分析してきたことも要因となった。

 タックル後のボール争奪戦である接点をなるべく作らずに素早くアタックしてくる日本を警戒し、カナダは接点にしっかりとプレッシャーをかけてきたため、日本は反則やミスでほとんどボールを継続することができなかった。日本らしいアタックはできず、チャンスもほとんどなかった。「接点に人をかけてくるのがわかっていたのに、対応し切れなかった」と、中村キャプテンは肩を落とした。

 2戦目のイギリス戦に勝利すれば、12チーム中8チームが出ることのできる決勝トーナメントに大きく近づく可能性もあった。浅見HCは流れを変えようと、エース格の山口真理恵に替え、「(初戦で)いい反応をしていた」大学3年の小出深冬を先発に起用した。

 カナダ戦と同様、開始早々に日本はイギリスにトライを許してしまう。だが、その後は2人目、3人目の寄りを徹底したことで日本らしい攻めが見え始め、ゴール前に迫る機会も増えた。だが、やはりフィジカルの強いイギリスに対して1人目のボールキャリアがミスを犯し、相手にカウンターを許してトライを与えてしまう、という悪い流れを断ち切れなかった。

 あと1本、パスが通っていれば......という場面も多かった。山口は、「立て直したいという気持ちはあったが、焦りが生まれてしまった。安定感のあるプレーをするのではなく、ドタバタしてしまった」と振り返った。結局、初戦と同じくノートライに終わり、0―40で大敗してしまった。

 中村キャプテンは試合後、「(オリンピックという舞台で)奇跡を起こすのは難しいと痛感しました」と、ラグビーという競技にとって記念すべき7人制ラグビーの開幕初日を振り返った。

 3プール計12チームが参加している女子セブンズは、各プールの1〜2位、そしてそれぞれの3位のうち上位2チームが決勝トーナメントに進出することができる。日本は「ブラジルに大勝する」という条件つきで、現実的にベスト8進出は厳しいが、可能性はゼロではない。

 日本は2日目、ブラジルと順位決定戦を戦う。「セブンズは切り替えるしかない。目の前の相手としっかり戦いたい」と浅見HCが言えば、横尾千里も、「小さなミスをしてトライを獲られて、このままだと今までの5年間が無駄になるので、引き締めて戦いたい」と意気込んだ。

 初日はノートライに終わってしまった「サクラセブンズ」。この5年間、1000日以上にわたって強化してきた集大成として、まず1トライ、そして願わくは初勝利を挙げて、夢にまで見たオリンピックという晴れ舞台で、しっかりとサクラセブンズの足跡を残してほしい。

斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji