手荷物検査の警備は大丈夫なのか(写真は記事とは関係ありません)

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北海道新千歳空港で女性客が保安検査場をすり抜けた問題で、女性客はそのまま旅客機に搭乗して目的地で降りていたことが分かった。ネット上では、警備の不手際を指摘する声とともに、この女性客も罪に問われるべきだとの声が上がっている。

「本人は予定通りの便に乗っていたなんて信じられない」「簡単にテロも起こせると世界に知らしめてしまった」

検査やり直しで、2万人に影響の大混乱に

問題の女性客を空港が逃してしまったことが報じられると、ニュースのコメント欄などには、こんな厳しい指摘が次々に寄せられた。2020年の東京五輪が近づく中で、こんな緩い警備で大丈夫なのかと心配する声も出ている。

各メディアの報道によると、20代ぐらいの女性客は2016年8月5日正午過ぎ、手荷物を調べる国内線の保安検査場でスマートフォン画面の搭乗券を見せ、空港の警備員がQRコードを読み取ろうとしたがエラーが出た。女性客は、「必要があるのか」と警備員に詰め寄り、警備員が担当者に相談しようと現場を離れたすきに、女性は検査場をすり抜けて搭乗待合室に向かった。

その様子は、防犯カメラの映像に残っており、金属探知機の横にある車いす用レーンを通ったとの報道もある。女性客は、男性客と一緒だったといい、その約10分後に出発するエア・ドゥ羽田空港行きの便に乗ろうと急いでいたらしい。

搭乗口では、女性客は、「搭乗券をなくした」と係員に話し、本人確認ができたことからそのまま通されていた。

空港ではその後、保安検査がやり直しとなり、約1000人が検査場外に出されて待つ事態になった。夏休み期間ともあって長蛇の列ができ、疲れでぐったりする人も多かったという。この影響で、計11便が欠航したほか、計159便に最大で約3時間の遅れが出て、約2万人に影響した。

過去には、建造物侵入で逮捕されたケースが

空港職員が女性客を見失ってからは、捜すのに時間がかかるなどして、国交省の空港事務所に連絡するまで約30分かかった。このため、女性客は、検査やり直しのときはすでに新千歳空港を発ってしまっていた。羽田への連絡も遅れて、女性客はすでに降りており、後の祭りだった。

この女性客は、空港で大混乱を起こし、航空会社に損害を与えており、今後何らかの罪に問われることはないのか。

過去に保安検査場をすり抜けたケースとしては、香川県の高松空港で2007年7月、37歳の男が空港警備員の声掛けを無視して搭乗待合室に入ったことがある。搭乗口でも係員の制止を無視して通り抜け、旅客機の座席にいるところを建造物侵入の現行犯で駆け付けた警察官に逮捕されている。

このときは、男が搭乗券を持たず、「刑務所に入りたかった」という動機だったが、今回も、空港職員の「少々お待ち下さい」という声掛けを無視している。一部報道では、北海道警が建造物侵入の疑いがあるとみて女性の行方を追っているともされ、罪に問われる可能性もありそうだ。

なお、国交省は、問題が起きた8月5日、エア・ドゥと警備会社に管理態勢を強化するよう行政指導している、という。