ジカ熱だけでなく、デング熱にも注意が必要です(画像はイメージです)。

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中南米等で流行しているジカウイルス感染症、通称「ジカ熱」。
リオデジャネイロ五輪開幕で、さらに不安が広がっているが、もう一つ気になるのは「デング熱」のことだ。

報道はもっぱら「ジカ熱」で、世間的にもやや忘れつつある気がするけれど、2014年に流行した「デング熱」は今、どうなってるの?

厚生労働省のサイトを見ると、今年7月に、日本国内でフィリピンへの滞在歴がある女性一名のデング出血熱患者の死亡報道が発表されている。
また、国立感染症研究所のサイトでは、デング熱・デング出血熱の症例は、2011年〜2016年第22週(6月8日現在)で計1,357例(デング熱1,310例、 デング出血熱46例、 無症状病原体保有者1例)。うち162例は2014年の国内感染例で、それ以外(1,195例)は国外感染例というデータがある。

意外に大きな数字で、あまりピンとこないけれど、いまデング熱は沈静化しているのか。
厚生労働省感染症課に聞いた。

国内での感染は2014年以外、確認されていない


デング熱は、国外からの『輸入感染』については例年200例前後あります。2016年も、7月10日時点で163例出ております。しかし、国内での感染は2014年に162例(同年の輸入感染は179例)見られた以外、確認されていません。2年前にデング熱の流行が大騒ぎになったのは、これまで輸入感染だけということで他人事のように考えられがちだったものが、約70年ぶりに起きた国内感染ということで、急に身近な脅威ととらえられたためですね」

ちなみに、日本ではデングウイルスを媒介する蚊は冬を越せないため、平成26年(2014年)に日本でデングウイルスを持っていた蚊は、翌年春にはいなくなっている。
ということは、国内感染のない現在は、安全なのだろうか。
「現在、国内感染がないとはいえ、デング熱は蚊を媒介して毎年国内に入ってきていますし、いつ拡大するかわからない病気です。ウイルスを持った蚊(ネッタイシマカとヒトスジシマカ)に刺されることで生じ、日本にはネッタイシマカの生息は確認されていないものの、ヒトスジシマカは生息しておりますので、国内症例になりうるのです」
そのため、厚労省では、デング熱やジカ熱など、蚊を媒介とする感染症を日本で拡大させないために「蚊媒介感染症に関する特定感染症予防指針」を作成し、各自治体に対応・対策の手引きを配布しているそうだ。

今後も警戒は必要


ちなみに、2014年時のデング熱の流行中心地となった東京都では、専門家を集めて「都蚊媒介感染症対策会議」を開き、感染対策を協議。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、蚊が発生しやすい水たまりの除去などの予防策などを報告書としてまとめている。

あまり報道されなくなったことで、過去のモノのようなイメージを持たれがちな「デング熱」。だが、今もジカ熱同様に警戒は必要だ。
デング熱もジカ熱も、いずれも蚊による感染症のため、基本的な予防策は同じであり、長袖・長ズボンの着用や、虫よけ剤の使用&塗り残しをしないこと&こまめな塗り直しが有効だ。
特に海外に行く予定がある人は、十分ご注意を。
(田幸和歌子)