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息子が、高校時代に借りた奨学金の返済を拒否している。母親である自分が代わりに支払わないといけないのか? 弁護士ドットコムライフの体験談募集コーナーに、50代の女性から投稿が寄せられました。

2人の息子を女手一つで育ててきたという女性。長男は専門学校を卒業して就職し、二男も現在専門学校に通いながら就職活動をしているそうです。

● 二男の奨学金が「長男の学費」に使われた?

女性によると、息子は2人とも高校時代に、それぞれ月1万8000円、3年間で計64万8000円の貸与式奨学金を受け取っていました。専門学校に在学している間は、返金猶予届を出すことで、奨学金の返済をしなくていいそうですが、その期間を過ぎると、半年に一度、8万円の返済をしなければなりません。ところが二男は、「俺は、払わない」と言っているのだとか。

二男は、「俺の学費は、公立だからかかってない。兄貴の学費や生活費になってたんだから、俺は、払わない」と、奨学金の返済を拒否しているそうです。女性によると、確かに二男の奨学金は生活費に充てていましたが、本人の修学旅行積み立てや、通学費にもなっていたといいます。

女性は二男に奨学金を返済してほしいと思っていますが、話し合いをしても、「払わない」の一点張り。女性は、「私には、養育する義務があるからだと言うのです」「納得できる理由がない限り払わない可能性があり、いちど、決めたら頑固に突き通す気質なので、あきらめている」といいます。

二男が借りていた奨学金の返済義務は、本人にあるのでしょうか。それとも、母親にあるのでしょうか。加藤寛崇弁護士に聞きました。

● 基本的には二男が返済義務を負う

最近の奨学金は、利息付貸与が中心で、利率も高額です。取立ても厳しくなっており、多々問題が生じている現状があります。たとえば、大阪府育英会の高校生等を対象とする奨学金の延滞利率は年14.6%であり、サラ金の利率にひけをとりません。

本件で問題となっている「奨学金」がどの制度を利用したのか不明ですが、基本的に、奨学金はあくまでも「借金」です。そして、生徒・学生(本件では二男)が借主となりますから、二男が返済義務を負うことになります。

借りた金がどう使われたのかということは、法的には意味がありません。通常の借金であっても、借主が、借りたお金を第三者に渡したりすることもあります。しかしそうであっても、貸主に返済義務を負うのは、あくまでも借主自身です。

もっとも、実際上、奨学金を借りる手続やお金の管理をしていたのが生徒・学生の保護者であることは多いでしょう。生徒・学生には借りたという意識がなく、後になって高額の返済義務を負担させられている構図になっていることも少なくありません。奨学金の問題点の1つです。

● 債務整理や自己破産も検討の余地あり

もし仮に、母親が二男に奨学金の借入れをする話すらせずに、勝手に二男に代わって署名押印していたような場合であれば、二男と貸主との契約は成立していません。この場合、奨学金を返済する義務は二男ではなく母親にあります。そうでなくても、保護者が連帯保証人になっていれば、借主である生徒・学生が返済しない場合に保護者が返済しないといけません。

返済が難しい場合は、弁護士に依頼して債務整理や自己破産などの法的手段を検討するのが現実的な解決策です。

返済が滞った場合には、俗に「ブラックリスト」と言われる信用情報機関の事故情報に登録されることになり、クレジットカードが作れない、ローンが組めないなどの不利益を被ります。

弁護士に依頼して債務整理や自己破産などの法的手段をとっても、そのような不利益を被ることは避けられません。しかし、その不利益は永久に続くわけではなく、5年から10年程度で登録は消えます。延滞を続けるよりも、早めに法的手段をとって解決した方が賢明です。



【取材協力弁護士】
加藤 寛崇(かとう・ひろたか)弁護士
東京大学法学部卒。2008年弁護士登録(三重弁護士会)。労働者側で労働事件を扱うほか、離婚事件など家事事件も多数扱う。日本労働弁護団、東海労働弁護団に所属。
事務所名:三重合同法律事務所
事務所URL:http://miegodo.com/