■連載/ペットゥモロー通信

PETomorrow(ペットゥモロー)】

Dr.林のわんこの処方箋

犬の偽妊娠ってなに?覚えておきたい犬の不思議

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犬の祖先はオオカミ、といわれています。諸説ありましたが遺伝子研究からハイイロオオカミから発生したと考えられています。やはりワンちゃんの性格や行動にも、オオカミに似た特徴が数多く見られるのでそれらをちゃんと理解していないと、上手くしつけができなかったり、ワンちゃんの行動を理解できなかったりしますので、知識を身につけておきましょう。

走っているものを追いかける

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オオカミの群れは、普通10頭前後で、リーダーが先頭に立ち、獲物を追跡し捕獲します。ワンちゃんにもその性格は色濃く残り、走るものを遊びとして追いかける。当然、殺そうとして追いかける訳ではないですが、追いかけられる側が驚いて悲鳴をあげたりすると、ワンちゃんの方も次第に興奮して、本気でかみついてくることがあります。

これに関連して、もし自分のうちのワンちゃんが、人をかんでケガをさせた場合、狂犬病の予防注射をうってないと、法律的にかなり問題になります。ワンちゃんの登録(鑑札をもらうやつ。生涯に一回やればOK)と、年に一度の予防注射は飼い主の責任です。

遠ぼえ

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縄張りを作って群れで生活している動物は、声や臭い、表情や動作で仲間同士の通信をしていますが、遠い所にいる仲間との通信には声が一番です。オオカミの遠ぼえは、少なくとも6km先でも聞こえ、「集まれー!!狩りに出かけるぞ!!」といった意味があるようです。

現在、ワンちゃんがあまり遠ぼえをしないのは、集合しなければいけない場面がなかったり、群れの団結を強める必要がないからなのです。人間は近くにいるし、狩りをしなくても器に入ったごはんが出てくるから。ただ、孤独な状況に置かれると、ワンちゃんも遠ぼえをするのです。

それはやはり集合をかける意味もあるのだと思われますが、救急車のサイレン(周波数が高く、犬の声の波長に似ている?)や飼い主の歌声に反応して、一生懸命に返事をしているワンちゃんもいます。あれは、リーダーが群れの団結を呼びかけている、というように犬が誤解した結果と思われます。

あいさつ

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オオカミは順位制のしっかりした社会を作って生活しています。ですから、あいさつ一つとっても、上の者と下の者では行動が全く違ってきます。上の者は、行動も堂々としていて、あいさつする時も、下の者の上にのしかかったり、馬乗りになったりするのです。尻尾を見てみても、やはり堂々と高く上げ、肛門をあらわにしています。

ワンちゃんの肛門の脇には肛門腺と呼ばれるくさい匂いを出す腺があり、その匂いで、性別や年齢、力の強さが、ある程度分かるらしいのです。初対面で力関係のはっきりしない犬同士が、まずお尻の匂いを嗅ぎ合うのはこのためなのです。その場所を隠さないということは、かなりの自信のあることがうかがえます。

人間でも、あごを突き出して、顔を上に向けて、チンタラ歩く人っていますよね。それとは逆に、力の弱い下の者は、上の者の足元にゴロッと転がり、仰向けになり、極端な場合にはおしっこをもらしてしまいます。尻尾も後ろ足の間にまるめて入れてしまうのは肛門腺を隠すためと思われています。のび太くんがジャイアンの前で下を向いてしまうのと同じなんです。さすがののび太くんもおもらしはしないけどネ。

おしっこやウンチのしかた

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オオカミに限らず、キツネなどの大抵のイヌ科動物は、ほかのものの接近を許さない「縄張り」と、獲物を捕るための広い「行動圏」を作り、定期的にそこをパトロールしています。その場所を作るための目印が、何を隠そうおしっこです。肛門腺と同様おしっこも、おのおのの特徴をよく反映しているのです。

例えばオス犬なら、足を上げておしっこをしますが、大きい犬ならおしっこが当たる場所が高くなります。それで身体の大きさを誇示することができるのです。これが、ワンちゃんが足を上げておしっこをする理由と考えられています。だから、縄張り意識の弱い最近の犬や、子供の犬、あとメス犬などは、腰を落として、地面にします。

散歩している時に、電柱などにかかっているほかの犬のおしっこの匂いを嗅いで、その後に自分のおしっこをかけて自分の匂いを残します。また、ウンチをした後に、その近くをひっかくのも、匂いだけでなく視覚的な目印をつけるため、もしくは、足の裏に集中している汗腺から出る汗で匂い付けするためと考えられています。

偽妊娠

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聞き慣れない言葉でしょうが、オオカミとワンちゃんとを結び付ける、強力な特徴でもあります。時々、ワンちゃんの生理(発情出血)が終わった後も、乳腺が発達し、おっぱいが張っているメスのワンちゃんを見かけることがあるのですが、それは何も、オーナーに隠れて愛を育み、妊娠してしまった訳ではありません(もちろん、完全には否定できませんが)。

これは偽妊娠と呼ばれるもので、オオカミの群れでは普通に見られることなのです。群れの中で子供が生まれた場合、お母さんが子育てしきれない時のために、ほかの妊娠していないメスもお乳が出るように、妊娠していなくても子育てできるように、身体が変化する場合があるのです。これは正常な変化であり、ワンちゃんで見られた時も、自然に収まっていきます(よく想像妊娠とか言っちゃう先生もいるけどこれは大きな間違いです!)。

しっぽ

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一般的に、ワンちゃんが尻尾を振る時はご機嫌な時と思われているが、実はこれは大きな間違いです。本当は、「逃げたいよー」と「ここにいたいよー」という二つの感情が入り混じった、複雑な行動なのです。

飼い主の前で尻尾を振るのも、自分より大きい動物がいるから逃げたいが、おいしいものをくれたり、なでてくれるかもしれないから、ここにいたい、という気持ちの現れなのです。一般的に「ここにいたい」が強い、比較的友好的な時は、尻尾は水平に近く、大きくゆっくり振ります。逆に「逃げるか戦うかだな…」と思っている威嚇の時は、尻尾は垂直に跳ね上げ、小刻みに激しく振らすはず。

ワンちゃんの行動に関する細かい話は、また、しつけの章でも出てきますのでお楽しみに。その行動から、その時の感情を正確に理解してあげることができれば、ワンちゃんとのより良い関係が今以上に築けるのではないでしょうか。

教訓

一、犬はオオカミ同様、順位制のしっかりした社会に生きていることを認識すべし!!つまり、犬は犬のぬいぐるみを来たオオカミである!
二、犬の行動は、感情の現れであるので、注意深く観察すべし!!(言葉をしゃべらないのでボディランゲージ!)
三、犬独特の習性を理解しよう!

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文/林 文明(はやしふみあき)

1988年北里大学獣医学修士課程修了。1998年コロラド州立大附属獣医学教育病院に留学し、欧米の先進動物医療を学ぶ。現在は、山梨・東京・ベトナムで5つの動物病院を経営。獣医師、日本動物医療コンシェルジュ協会代表理事。
日本動物医療コンシェルジュ協会
http://www.jamca.gr.jp/
ノア動物病院
http://www.noah-vet.co.jp/

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