科学を信じないイタリア人と、広がり続けるオリーヴ伝染病

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イタリア南部のオリーヴに、感染症が広がっている。感染の拡大を防ぐには伐採が必要だが、イタリアの文化的背景や科学への不信感が大きいことが原因で、対策は遅れている。

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イタリア南部のオリーヴの木々に、「Xylella fastidiosa」という病原菌の感染が広がっている。

オリーヴはイタリアの重要な農産物であるほか、食生活全般や文化に欠かせないものだ。そのため感染の広がりによって、農業や環境だけでなく、政治的にも深刻な状況になりつつある。感染を抑制するには木を伐採して病気の広がりを防ぐ必要があるが、この方法に地元民が抵抗しているからだ。

残念ながら、木々が感染の症状を示すまでには12〜14カ月かかることもあり、流行前に抑え込むのは難しい。感染を抑えるためには、感染しても症状が出ていない植物まで取り除くことが必要になる。

Xylella fastidiosaは、昆虫によって媒介され、植物の木質部で増殖する(この菌は宿主範囲が広く、ブドウのピアス氏病や、モモのホニイ病などさまざまな病害の病原菌として知られている)。過去に最も深刻な経済的影響を受けたのは米国(ワイン用のブドウ)とブラジル(かんきつ類)だ。

これらの国では、病気を媒介する虫の数を減らす、あるいは感染した植物を取り除くなどして、その広がりを抑えるような管理を行った。フランスでは現在、イタリアでの病気発生を受けて同様の対策を講じているが、イタリア南部ではそのような措置が行われていない。

イタリア南部では、オリーヴの木は家族の誕生といった人生における大きな出来事を記念して植えられ、その伝統は数世代にもわたっている。オリーヴの木々は家族にとって、歴史的ルーツを思い出すよすがになっているのだ。

イタリアの科学不信

さらにイタリアではもともと、科学者を信用しない傾向が強い(感染は2013年から始まっており、EUは2015年3月、「徹底した警戒態勢」を敷く必要性を呼び掛けたが、イタリアの環境団体は科学的解明が不十分だという書簡を出した)。欧州司法裁判所は2016年6月、EUの勧告する対処方法は合法であり、地元政治家の反対があっても実施されるべきであるという裁決を出した。

イタリアにおける科学への不信を示す例はこれまでにもいくつかある。2011年には、話題になった殺人事件の裁判でDNA鑑定が確実であるかどうかが大きな争点となった。2012年10月には、309名の死者が出た2009年のラクイア大地震の発生前にその危険性を過小評価したとして、国家委員会に属していた地震学者7名が殺人罪で有罪判決を受けた(2014年には二審で無罪判決(日本語版記事)が出た)。

2016年には、「遺伝子組み換え作物が哺乳動物に有害である」ことを示すデータをイタリアの研究者がでっち上げたとされるスキャンダルも起きている。さらにイタリアは、はしかの発生件数が、ヨーロッパ各国のなかで最も多い国であり続けている。ワクチンで予防できる病気だが、ワクチンへの抵抗感が強いのだ。

このまま放置が続くと、ヨーロッパ全域のさまざまな植物に病原菌が広がる危険性がある。

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