写真=三浦希衣子

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毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回のゲストは、欅坂46とけやき坂46を兼任するアイドル・長濱ねるさん。セカンドシングル『世界には愛しかない』で見事選抜入りを果たし、勢いあるグループの中でも今後の飛躍が期待される彼女は、生粋の文学少女だった!

図書館の蔵書を読み尽くそうと、司書さんに顔を覚えられるほど通い詰めたという長濱さん。インタビュー中も、これまで読んできた本の話題が次から次へと飛び出してきた。

「私、表紙をぱっと見てインスピレーションで選ぶんです。そこからその作者の作品を掘っていくんですけど、印象に残っているのは、米澤穂信さんの『春季限定いちごタルト事件』や『氷菓』、中村文則さんの『何もかも憂鬱な夜に』ですね。ミステリーが好きで、東野圭吾さん、有川浩さんの作品も読みました。多い時は、月に10冊くらい借りて、夜も寝ずに読んでいました(笑)

「日本語が好き」という長濱さん。印象的だったのは、アメリカに1カ月間ホームステイした時のエピソードだ。

「1カ月間、日本語に触れることができない環境だったので、一冊だけ小説を持っていったんです。それが重松清さんの『エイジ』。それまで読んだことはなかったんですけど、教科書で重松清さんの作品について勉強した時に、参考図書の欄に『エイジ』のあらすじが載ってたんです。それで出発前に急いで買って、カバンに詰め込みました。アメリカで日本語が恋しくなった時には必ず開いて、何回も繰り返し読んだことを覚えてます」

幼少期から読書好きな子どもだった、と語る長濱さん。だからこそ、今でも言葉そのものに強い関心がある。それは自らが歌う歌詞に対しても同様だ。

「欅坂46のファーストシングル『サイレントマジョリティー』の歌詞を読んだ時は、衝撃を受けました。自然と口ずさんじゃうのは、『ルールを説くけどその目は死んでいる』という部分。私は、あの歌詞のまんま本当に群れて生きてきたので、中学校時代に出会いたかった歌詞だなと思いました。中学校時代は、本当に〈気にしい〉で。友達と話していても、相手が喜んでくれる、良い気持ちになってくれるような返事ばかりを考えて話していたんです。一個相槌を間違えちゃったら、『さっきの言葉、ごめんね』って謝ったり。言われた方は気にしてなかったりするんですけどね(笑)

アイドルとして活躍する今の姿からは想像もできないが、当時は周囲の目ばかり気にして、本当の自分を見失っていたという。

「電車の中で突然涙があふれてきたり、どうして泣いているのかわからなかったり、とにかく心にきてましたね(笑)。学校が楽しくなかったわけじゃないんですけど……。他人から見られている自分と、自分が考えている自分、どっちが本当なんだろうって。多分、どちらも本当の自分なんでしょうけど、私は自分で選んだ自分というものを生きてみたくなって、それで欅坂46のオーディションを受けたんです。このまま、周囲に望まれるような生き方をするんじゃなく、自分の意思を持って生きていきたいって」

そんな長濱さんと対照的とも言えるのが、強さと無垢さを感じさせる欅坂46のセンター・平手友梨奈さん。実はふたり、仲が良いそう。では、平手さんに、もしも本を薦めるとしたら?

「え〜! なんだろう……。平手って、あんまり本を読まないんですよね。だから責任重大だなぁ。う〜ん……。あ、赤川次郎さん! 読みやすい作品が多くて、読書が苦手でもすんなり入れると思うんです。『セーラー服と機関銃』とか、主人公は平手っぽい! この作品をオススメしたいと思います!」

(取材・文=五十嵐 大 写真=三浦希衣子)


『星やどりの声』(朝井リョウ/角川文庫)

海辺の町に住み、小さな喫茶店「星やどり」を営む早坂家。琴美、光彦、小春、るり、凌馬、真歩、そして母。各々が葛藤を抱え、すれ違っていく。やがて、母に新たな男の影がちらつき始め、琴美は大きな秘密を打ち明ける……。亡き父による、残された家族への“魔法”が明らかになる時、読者は感動に包まれるはず。

※長濱ねるさんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ9月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!