すでに多くのメディアが取り上げているのでご存知かと思いますが、2016年4月から、電力自由化がスタートしました。

簡単にいえば、これまでとは違い、一般家庭でも電力会社を自由に選ぶことができるようになったわけです。ただ、「そこでなにが変わるのか?」については、詳しいことがわからないという方も少なくないはず。

そこで目を通しておきたいのが、『電気の選び方-わが家の電力自由化ガイドブック-』(電気新聞著/編集、日本電気協会新聞部)。一般家庭を対象に、失敗しない電気の選び方を紹介した書籍です。

電気を選べるようになったのだとしたら、いちばん気になるのはやはり料金。そこで本書から、電気料金について覚えておきたいことを抜き出してみましょう。

■電気料金が規制料金から自由料金へ!

2016年3月まで、一般家庭の電気料金は、国のチェックを受けた料金だったのだそうです。

これは一般的に「規制料金」と呼ばれているもの。

一方、電力小売全面自由化が決まった2016年4月以降、新しい電力会社や、地域の電力会社から提供される電気料金は、国の規制を受けない「自由料金」。

自由料金の特徴は、料金を上げるのも下げるのも電力会社次第で、国のチェックが入らないということ。

そのため、多くの会社が参入し、さまざまな電気料金メニューをアピールしているわけです。

■とくに切り替えない場合は従来のまま

では、2016年4月以降も電力会社や電気料金メニューを変更しなかったとしたら、どうなるのでしょうか?

その場合は、自由化前まで地域の電力会社と契約していたメニュー(従量電灯Bなど)が、自動的に継続されることになるのだといいます。

なお自動的に継続される自由化前の電気料金メニューのうち、従量電灯などの標準的な規制料金メニューは、競争が進むまでしばらくの間は維持されることになっているのだそうです(正確には、地域の電力会社の「特定小売供給約款」に記されたメニュー)。

これらのメニューでは新たに電気を使いはじめるときに選ぶこともできますし、電力会社を切り替えたあとで、再度戻ることも可能。

ただし特定小売供給約款には、自由化前にあったオール電化住宅用の料金メニューや、季節別時間帯別料金メニューなどはないそうです。

自由化前に契約していた人はそのまま継続利用できるものの、新たに契約を結ぶ場合は、自由化後にできた電気料金メニューのなかから自分の使い方に合ったものをチョイスすることになるわけです。

■把握しておきたい電気料金の基本とは

ところで新しい電力会社の多種多様な料金メニューも、実は従来の電気料金をベースに設計されているのだといいます。

そこで、まずは電気料金の基本的なしくみを把握しておくことが大切。

月々の電気料金は、地域によって使用する電気の容量(アンペア=A)で決まる「基本料金制」か、一定の使用量まで定額の「最低料金制」に分かれます。

一般に電気料金は、この「基本料金(最低料金)」と、電気の使用量(kWh)によって計算される「電力量料金」との組み合わせで計算されるのだそうです。

電力量料金は、使用する電力量に応じて料金単価が3段階に分かれ、使用量が多くなるにつれて単価が高くなっていきます。

つまり、経済的に余裕のない人でも電気を利用できるようにしているわけです。

なお電力量料金では、使用量に応じて「燃料費調整額」が加算または差し引かれるのだといいます。さらに、使用量に応じた「再生可能エネルギー発電促進料金」も加算されることに。

■新しい電力会社の多種多様なサービス

また電力自由化後に登場した電気料金メニューではまったく同じしくみのもののほか、電力量料金単価が2段階になっているものや、基本料金がないものなど、異なるしくみのメニューも登場しています。

他業種の参入や企業間の提携により、多種多様なサービスも生まれているとか。

安さで勝負する電気料金メニューはもちろんのこと、セット割引、ポイント付与などのメニューが豊富に揃い、新しい体系の電気料金も登場。

それだけでなく、ガス、通信、石油元売りなど異業種の参入により、各社の強みを生かした「セット割引も。

さらには「Tポイント」「Ponta」「dポイント」など各種のポイントカードと提携し、電気料金の支払いによってポイントを貯められるサービスも登場しています。

当然のことながら、ポイントの還元は電気料金の割引とも考えられるので、意識しておいて損はないかもしれません。いずれにしても、ライフスタイルを振り返ったうえで、自分に適した電力会社およびメニューを選ぶことが重要だということです。

他にも電気の選び方や使い方について覚えておきたいことがコンパクトにまとめられているため、きっと役立つはず。電力自由化のメリットを得るためにも、ぜひ読んでみてください。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※電気新聞(2016)『電気の選び方-わが家の電力自由化ガイドブック-』日本電気協会新聞部