乳がんは遺伝する。リスクを減らす方法は?

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【乳がん特集 Vol.3 乳がんの予防】

 これまで、第1回で「デンスブレスト」、第2回で「セルフチェック」を取り上げてきた乳がん特集。最終回は「乳がんは予防できるのか?」という究極のテーマに迫っていきたいと思います。

◆遺伝性の場合、2人に1人が発症の可能性

 乳がんの予防といえば、大胆な対策で話題になったのがアンジェリーナ・ジョリーです。「遺伝性乳がん症候群」の可能性があった彼女は、2013年、健康な両乳房を切除して物議をかもしました。遺伝性乳がん症候群とは、親が乳がんに罹った場合50パーセントの確率で子にも遺伝するというもの。乳がん患者のうち、5〜10パーセントが遺伝性というデータも出ています。

 アンジーの決断は極端ですが、親や親族に乳がん患者がいる場合は乳がん検診を受け、さらに、家族内に発病した人が多い場合には、定期的に遺伝カウンセラーなどの専門医にかかるのが最大の予防策と言えそうです。

 遺伝性の疑いがなくても、生活習慣の改善で乳がん予防ができるならばぜひ実践したいもの。東京クリニックの志賀千鶴子先生に話を伺いました。

「乳がんを徹底的に防ぐのは難しいですね。ただ、リスクを上げる要因がいくつか判明していますので、それを減らすことが対策の一助になるのではないでしょうか」

 それでは、乳がん発病リスクを上げる要因を紹介していきましょう。

◆ピル服用やホルモン治療も乳がんリスクを高める

●授乳歴がない
授乳歴が皆無〜3ヶ月以内の女性が乳がんにかかる確率は、授乳歴が6ヶ月以上ある女性にくらべて10倍以上、発症年齢も5.7歳若いという研究データがあります。さらに、そのデータでは喫煙者の場合、授乳歴6ヶ月以上の女性であっても、非喫煙者と比べて21歳も若年で発症しています。

●飲酒
一切飲酒をしない場合、もっとも乳がん発症率は低くなります。顕著に上がるのは、週に150g相当のエタノールを摂取した場合。これは日本酒7合、ビール7本、ワイン14杯、ウィスキーダブル7杯に相当します。1日にビール1本以上を飲むと、1.75倍の確率で発症しやすくなります。

●肥満
肥満になると、閉経後の乳がん発症率が上昇します。BMI数値23.3以上の女性は、発症率が有意に上昇する(誤差ではない範囲で上昇する)というデータが出ています。エストロゲンが脂肪内でつくられることが原因と考えられます。

●ピルの服用
ピルを継続的に5年以上服用した場合、約1.5倍の確率で乳がん発症率が上がると言われています。使用開始年齢が低いほどリスクが高く、低容量ピルであっても危険があるので注意が必要です。

●ホルモン補填療法
更年期の症状を和らげるためのホルモン補填療法も、乳がんリスクを上げるとされています。なかでもエストロゲン単体ではなく、エストロゲン+プロゲステロン併用療法を5年以上継続すると、1.25倍の発症リスクがあると言われています。

 ほかにも運動不足やカフェインの過剰摂取も、直接的でないとはいえリスク増加に影響があるとのこと。極端に不規則な生活習慣を避けることも、乳がんのリスク予防に繋がりそうです。最後に、志賀先生よりアドバイスを頂きました。

「40歳を過ぎた女性に対しては、2年に1度のマンモグラフィ受診を厚生労働省が提唱しています。でもこれはあくまでも目安で、必ずしも予防効果をもたらすとは言えません。真剣に乳がん予防に向き合うのであれば、25歳を過ぎたら乳腺専門医がいる認定施設で、年に1度は検診を行うといいでしょう」

 そうはいえども、乳がんに対してナーバスになり過ぎないことも重要。日ごろの自己触診なども併用し、正確な知識を持って乳がん予防に向き合っていきたいものですね。

【志賀千鶴子 プロフィール】
東京クリニック 乳腺外科の医師。乳がん検診と乳がんの診断、手術、治療が専門。
東京クリニック HP(http://www.tokyo-cl.com/)

<TEXT/波多野友子>