平和記念公園から「ポケモン」が消えた(画像はイメージ)

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平和記念公園から「ポケモン」が消えた――。広島市が人気ゲームアプリ「ポケモンGO」の設定を同公園から削除するよう開発会社に求めていた問題が、2016年8月6日の「原爆の日」に解決した。時事通信などが報じた。

公園内にあったゲーム内のアクセスポイントが全て削除されたほか、ポケモンも出現しないようになった。6日の未明2時ごろに、開発元のナイアンティックから「対応した」という内容のメールが市へ届いたという。

広島市「深く感謝している」とコメント

7月22日に「ポケモンGO」が配信されて以降、平和記念公園には「ゲームだけを目的とした」多くのプレイヤーが集まることになった。公園内に、ゲーム内の道具を入手できる「ポケストップ」や、ポケモン同士を対戦させる「ジム」が計30か所以上設置されたことが原因だ。

市緑政課の担当者は7月28日のJ-CASTニュースの取材に対し、

「公園の雰囲気は一変し、一般の人が近寄りがたい雰囲気になった」

などと話していた。そのほか、市に対しても「訪問しづらくなった」「異様な雰囲気」との苦情が数多く寄せられていたという。

こうした状況を受け、市は公園内のアクセスポイントを削除し、キャラクターを出現させないように求める要請書を開発元に送付。「慰霊・鎮魂の聖域としての静けさや雰囲気を失わせる」として、平和記念式典が開かれる8月6日までの対応を要請していた。

それから約10日。NHKなどの報道によれば、8月6日の未明2時頃に開発元から「ポケモンが出現しないよう設定するとともに、ポケストップなどをすべて削除した」という内容のメールが市へ届いた。

市の担当者は「平和公園が慰霊と平和を祈る『聖地』であるということを開発会社が理解し、速やかに対応していただいた」と考えているとして、「深く感謝している」などとNHKの取材にコメントしたと報じている。

「削除して当然」VS「ポケモンGOだけダメなの?」の議論に発展

ツイッターなどに寄せられた投稿によれば、8月4日時点で「ポケストップ」などのアクセスポイントは公園内から削除されていたが、ポケモンは出現する仕様のままだった。6日の平和記念式典の前に、改めて市が要請していた「ポケモン非出現」の対応が取られたようだ。

今回の広島市の要請とナイアンティック社の対応をめぐり、ネット上では賛否の別れた意見が出ることになった。ツイッターやネット掲示板には、

「当然、というか最初から出ないのが当たり前」
「流石にこういう場所では削除して当然だわな」
「ゲームは別に楽しくできれば良いけど、時と場合、場所による」

といった賛同意見が数多く寄せられる一方で、

「公園にゲームのために人が集まるなんて、平和そのものだと思うんだけど」
「広島平和公園が思う『平和』って『神妙に平和を祈る』ことであって子どもたちが元気にゲームするような環境のことでは無いんだな」
「将棋、囲碁、花見、イベント、祭り、煙草等はOKなのに、ポケモンGOだけダメなのが分からない」

と今回の対応について疑問視する声も目立った。

市緑政課の担当者は7月28日の取材に対し、「ポケモンGO」の配信以降、周辺住民などからの通報を受けた警察官が平和記念公園に注意に向かうことも増えた、などと話していた。