【日本代表コラム】流れを決めた先制点、メンタルが影響したミス

写真拡大

▽あっという間の13分間──そんな印象だった。なかなか姿を見せなかったU-23ナイジェリア代表だが、キックオフ約6時間前にアメリカから到着。しかし、ブラジルへの移動とは打って変わり、キックオフからあっという間にゴールを奪っていった。

▽試合の入りは日本の方が良かったと言って良いだろう。落ち着かないナイジェリアの隙を突くと、完全に空いた相手右サイドを突いたDF藤春廣輝がクロス。飛び込んだMF大島僚太がダイレクトで合わせるも、GKが好セーブ。直後のCKからはMF遠藤航、FW興梠慎三とボックス内で繋ぐもシュートを打ち切ることができなかった。

▽このまま押し込む展開に持ち込めるかと思われたが、直後のプレーで失点を喫する。FWエセキエルの仕掛けを左サイドの藤春、MF中島翔哉が挟みに行ったが、個人技で突破を許し、最後はMFサディクに詰められ先制を許した。

▽試合後に手倉森監督が「ディフェンディングサードで、対応の部分で浮足立っていた」と語ったように、先制を許した直後にFW興梠慎三のPKで同点に追いつくも、2分後にアーリークロスの対応を誤り、FWエテボに勝ち越し点を許す。再び追いつくも、前半を終えるかと思われた42分に勝ち越しを許してしまった。

▽ナイジェリアのコンディションや、当日入りという不測の事態が起こりながらも、日本はしっかりと準備していたはずだ。しかし、先制点を許してしまったことが、この試合の全てだった様にも思う。押し込みながらの失点で、日本は自分たちの戦い方をを見失ってしまった。

▽90分間を通して5失点。手倉森監督がチームを率いて以降、最多失点を記録した。5失点はDFラインの対応のマズさもあったが、最も大きな要因は散見されたミスだろう。技術面劣っていたというよりは、精神状態が技術面に大きく影響し、戦い方や1つ1つのプレーを普段通りに行えなかった。

▽日本は、アジアではパスを繋ぐスタイルと、サイドを使った攻撃で勝ち上がってきたチームだったが、押し込めそうな展開での失点に浮足立ち、自分たちのスタイルを見失ってしまった印象がある。中盤でのパスは繋がらず、サイドを仕掛ける回数も少なかった。中央とサイドでのボールの出し入れも少なく感じられた。

▽1点のビハインドで迎えた後半も、立ち上がりに微妙な判定で与えたPKから失点。2点差となったことで、焦りが増したように見られた。スピードのあるFW浅野拓磨を投入したことで、システムを[4-4-2]へと変更。これによりナイジェリアが対応に手こずる間に決定機を何度か作った。浅野の投入により縦への意識が生まれたことは良かったが、サイドを使う回数は減り、攻撃面でも焦りが見え、ミスに繋がっていった。

▽2007年のカナダ大会を最後に、U-20のワールドカップに出場できていない日本。一方で、2013年、2015年とU-17ワールドカップで連覇を果たすなど、アンダーカテゴリーで世界と戦ってきたナイジェリア。両者の差は、大舞台で明確に出てしまった様にも思える。技術面よりも、精神面での差が勝敗を分けたとも言えるだろう。試合の立ち上がりと終わりの失点は避けるべきと言われるが、この試合ではそれを繰り返してしまった。

▽とは言え、まだ五輪が終わってしまったわけではない。避けたかった黒星スタートとなったが、結果として4得点を奪えたことは良かっただろう。4選手が得点を奪い、得点パターンも全て違った。4得点を奪いながら勝てなかったことは悔やむべきだが、残り2戦に向けての好材料とも言えるだろう。これまで積み上げてきた自分たちのやり方に自信を持ち、しっかりとコロンビア相手に戦ってもらいたい。

《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》