「自分の技量すべてを刀に込める」現代の刀鍛冶が制作する“ミニチュア短刀”があまりにも精巧すぎる

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まるで本物の日本刀がそのまま小さくなってしまったかのような“ミニチュアの短刀”が、あまりにも精巧で思わず手に入れたくなると話題を呼んでいる。

指の上に乗るほど小さくても本格派

こちらを制作したのは、備前伝の刀鍛冶の桔梗 隼光さん(@kikyo8832)。

桔梗 隼光

桔梗 隼光

指の上に乗るほど小さいにもかかわらず、“刃紋(焼き入れによって刀身にできる刃の模様こと)”まで入っている本格派。

今回は桔梗さんに、刀鍛冶を目指したきっかけや作刀する際に心がけていることなどを伺った。

“日本刀づくり”のテレビがキッカケ

――刀鍛冶を目指し、備前で修行した理由はなぜですか?

大学を卒業してから3年の間、サラリーマンをしていたときに“日本刀づくり”をテレビで見て興味を持ったのがキッカケです。

桔梗 隼光

桔梗 隼光

その後、会社を辞めてから『備前長船刀剣博物館』で日本刀づくりの実演を見に行きました。

実演の後に刀匠とお話ししたところ、ご自宅に誘っていただいて、その後に入門を許されました。

自分の技量すべてを刀に込め

――作刀する際に心がけていることは?また、制作中に気をつけていることや難しい部分を教えてください。

鍛刀場には“鍛冶の神様”が祀られていますので、刀を作るときは“神様に奉納する気持ち”でおこないます。

そして、それは自分の技量のすべてを刀に込めるためですね。

桔梗 隼光

桔梗 隼光

それから、技術的には鋼にストレスを与えないことが重要です。

“鍛え(地がねのこと。鋼そのものの材質とその鋼を折り返し鍛錬することによって現れて見える肌目の模様を総合したものを言う)”というと鋼を酷使しているように感じますが、鋼にストレスを与えない温度で仕事をします。

ただし“焼き入れ(金属を所定の高温状態から急冷させる熱処理)”のときだけ、(鋼に)無理をさせます。

“焼き入れ”をすることで、刃物としての命を入れるためですね。

どの工程も気の抜けない大切なものばかりなので、「これでいいか」というところで次に行くと、後で泣きをみます。

「これでよし!」と納得するところまで作業していますね。

特に難しいのは“焼き入れ”です。一瞬で終わるように思われますが、そのためにしっかり準備をして様々ことを想定してからおこないます。

理想の刃を入れるために繊細でありながら、ときに大胆に(焼き入れを)しなければいけません。

日本刀の材料で様々なものを

――日本刀以外にはどのような作品を制作されていますか?

ご依頼をいただいた後、希望に沿って作成いたします。日本刀の材料で、ナイフや包丁なども作っています。

珍しいものでしたら、かんざしや日本剃刀などのご依頼もありましたので作成しましたね。

桔梗 隼光

桔梗 隼光

ミニチュアの短刀は最初、余った材料を使って遊びで作りました。

“刃紋”を入れるのが難しいですが、凝り性なので入れる方法を見つけて作りました。意外に人気があり、特注でご依頼いただくこともあります。

小刀などの小品を作るのも好きなので、時間を見つけては作成してますね。

桔梗 隼光

桔梗 隼光

鍛冶音に惹かれて訪れる人も

――鍛刀場では作刀しているところを見学できますか?また、見学中に気をつけることは?

鍛刀場は自由に見学していただいております。

鍛刀場のある『相生市 羅漢の里』にはキャンプ場があり、川遊びやハイキングなどができるので、よく川遊びにきた親子が鍛冶音に惹かれて(鍛刀場へと)入って来られることもあります。

桔梗 隼光

桔梗 隼光

一般的に、日本刀は馴染みのないものです。

展示の作品を見ていただいたり、“鍛錬(鋼を何度も折り返して鍛えることにより強度を増し不純物を叩き出すこと)”を見ていただくことで、少しでも興味を持っていただければと考えています。

桔梗 隼光

桔梗 隼光

その日によって(鍛刀場での)作業内容は違いますので、“鍛錬”のときだったり、“炭切り(薪のように大きい炭を思い通りの大きさに、木目を読みながら切り揃える作業)”のときだったりします。

事前にご連絡いただければ、予定を変更できる場合もあります。

鍛刀場内には熱くなっている道具や指を挟んでしまうような道具など、少々危険なものもあります。鍛冶仕事ですので…。

特にお子さんが見学する場合には、大人がしっかりと注意していただくようにしています。

“鍛錬”で飛び散る鋼を見たい

――どのような見学者がいらっしゃいますか?

いちばん多いのは「“鍛錬”で飛び散る鋼を見たい」と来場される方々ですね。年齢は男女問わず、子どもから年配の方までいらっしゃいます。

桔梗 隼光

大島 孝之

また、海外の方も時々お越しになります。今年に入ってからは、カナダ、イギリス、タイ、韓国から見学者がいらっしゃいました。

――小刀づくり体験の体験教室はどれくらいの頻度で開催されていますか?

月2回(第2、第4日曜日)に開催しています。4名以上参加であれば、開催日以外の別の日でも相談いたします。

参加者は基本的に18歳以上ですが、父母などの保護者と一緒に作るという場合は中学生ぐらいから参加可能です。

この小刀は一般鋼材で作りますので、残念ですが日本刀の材料ではありません。

砂鉄から刀を作ることを始めたい

――作品は購入することはできますか?

ホームページの「作品販売」から購入できます。ホームページに掲載されていないものはオーダーをいただいて制作していますね。

桔梗 隼光

桔梗 隼光

価格は小刀などでしたら数万円からとなります。また、短刀は45万円から大刀は150万円からですが、オーダーの内容で価格は変動いたします。

――今後の活動に関して教えてください。

8月20日頃から1か月間、地元の兵庫県相生市にある“相生市文化会館 扶桑電通なぎさホール”にて、6口(6作品)程を展示いたします。

こちらの展示は地元の作家の紹介として、教育委員会から依頼されました。

桔梗 隼光

桔梗 隼光

今後の作品ですが、鎌倉時代末期の備前国(岡山県)長船派(おさふねは)の刀工『(備前長船)景光』の“焼き入れ”の研究をしていきます。

また、砂鉄から刀を作ることを始めたいと思っていますね。

若く有望な人は大きな一門に

鍛刀場での作刀から体験教室の開催まで、備前伝の刀鍛冶として大活躍の桔梗さん。

残念ながら「弟子は取っていない」とのこと。

どうしてかというと「若く有望な人は大きな一門に入るべきだ」と考えているからだという。

桔梗さんの作品や鍛刀場見学・体験教室が気になる方は、ぜひTwitterのアカウントをフォローしてみてはいかがだろうか。

また、桔梗さんが鍛錬している動画はこちらから▼