2016年から新たに始まる祝日「山の日」は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日として、国民の祝日となった。これは、「日本山岳協会」などからなる「山の日」制定協議会が2010年から取り組んで実現したもので、実際に施行となる2016年からは、登山への関心が高まることが期待される。しかし登山は、対策を怠ってしまうと重大な事故にもつながりかねないという危険な側面も持つ。特に対策を怠りがちなのが睡眠対策。そこで登山家の田部井淳子さんのアドバイスを交えながら、睡眠の重要性とその対策について、紹介していこう。

■予想される登山への関心の高まり

富士山が世界文化遺産に登録された2008年には富士山への関心が高まり、同年の登山者数は43万人を突破した。今年も山の日制定に伴い、山への関心が高まることが考えられるが、特に「山の日」はお盆休み直前に当たるため、各地での登山人口が増加することが予想される。

■“寝不足登山”は非常に危険!睡眠不足による遭難のリスクも

登山を行なう際、雨具や防寒着などの対策をする人は多いと思うが、同様に、十分な“睡眠対策”も非常に重要。しかし、社会人の中には、金曜日に遅くまで仕事をし、十分な睡眠が取れていない中で、翌日早朝から登山に出発するという人も多いのではないだろうか。寝不足状態で山を登ると、“集中力が落ちる”“足元がふらつく”“頭がぼーっとする”“疲労感が残りだるい”などの影響が出る。また、人によっては興奮状態で疲れを感じにくくなる「クライマーズ・ハイ」の状態に陥る人もいて、非常に危険。実際に、睡眠不足が原因で起きてしまった事故例も少なくない。登山家の田部井淳子さんによると、遭難の一部は睡眠不足が一因となっているということ。山での事故は命に関わることも少なくないので、しっかりと睡眠対策をし、安全に登山を楽しもう。

■田部井淳子さんがオススメする安全な登山のために気をつけたい睡眠のポイント

・登山前日は7時間の睡眠を!準備は前々日までには終わらせて!
「山小屋の消灯時間は早いため、すぐに眠れるように、前日はあまり睡眠をとらず、少し寝不足くらいの状態で」という意見もあるが、寝不足状態での登山は非常に危険。1日中山登りをするためには十分な体力と集中力が必要になるので、7時間(少なくとも5〜6時間)の睡眠を取れるよう、心掛ける。前日の荷造りも睡眠時間を短くする要因となるので、遅くとも2日前には完璧な状態にセットしておくことがオススメ。

山の日

・いつもと違う環境だからこそ、「快適な睡眠環境作づくり=“巣作り”」は入念に!

「山小屋に着いたら着替えてリフレッシュ」
山小屋に到着したら、乾いたTシャツに着替えて、一日中歩いた汗やほこりからリフレッシュする。登山中の服装から着替えることで気持ちも休息モードに切り替わり、リラックスした状態で眠りを迎えることができる。

「日中の疲れはストレッチやマッサージでリフレッシュ」
一日の疲れを次の日に残さないために、ストレッチやマッサージで身体をほぐすこともオススメ。特に、疲れの溜まっている首回りや足のマッサージがオススメ。

「足のマッサージ」
足の裏、指、つちふまず、太ももなど、全体的に手で揉みほぐして、足全体の疲労感を取る。

山の日

「首回りのマッサージ」
耳を引っ張ったり揉みほぐしたりすると、全身が温かくなってリラックスすることができる。また、耳の下の付け根部分から首にかけてのマッサージも、肩や首、あごの緊張がほぐれて非常にリラックスすることができる。

「枕元には飲み物とヘッドライトを準備して」
夜中にのどが渇いたり、トイレに行きたくなったときのために、枕元の手の届く範囲には飲み物とヘッドライトを用意しておく。また、小物類は音の鳴りやすいビニール袋ではなく、布の袋に入れて持っていくと、夜中に物を取り出す際にも周りの人の迷惑にならないのでオススメ。

・帰宅後のリフレッシュ、睡眠も大切に
登山後、特に数日間かけて山に登った人は、身体に相当な疲労感が蓄積している。帰宅後はたっぷりと水分補給をし、お風呂やストレッチなどでリラックスした状態で睡眠をとる。身体を十分に休めて、次の日に疲労感を残さないようにする。

■田部井淳子さんがオススメする山登りに必ず持って行きたい3つの快眠アイテム

<必携アイテム1>手ぬぐいは万能アイテム
登山のときに1枚持っておくと便利なのが手ぬぐい。日中の日よけに頭に被ったり、汗を拭いたり出来るだけでなく、夜眠るときにも活用できる。例えば山小屋の寝袋を使用する際には、首もとに手ぬぐいを当てるだけで、前日に他の人が使用したものでも気にならず、匂いも自分の家の香りになるので安心することができる。また、光を遮りたいが、アイマスクの締め付けが気になるという人も、手ぬぐいで少し目を覆うと、光が遮られて気にならなくなる。枕の高さが気になる人は、衣類を丸めて手ぬぐいで包んだ簡易枕を作ると良いだろう。

<必携アイテム2>耳栓を携帯して、いびき対策もばっちり
複数人で雑魚寝することも多い山小屋。日中歩き続けて疲れているので、いびきをかいてしまう人も少なくない。そんなときのためにも、耳栓を常備して、音をシャットダウンした常態で眠ると、周囲を気にせず眠ることができる。

<必携アイテム3>睡眠に良いサプリメントもオススメ!
味の素が販売している『グリナ』のように、睡眠の質を良くするサプリメントを活用することもオススメ。睡眠薬と違って薬ではないので、どなたでも気軽に使用することができ、その日の疲労感もスッキリと取ることができる。