守備の立て直しのためには、阿吽の呼吸を見せる植田(5番)と岩波にCBコンビを組ませることも視野に入れるべきだろう。写真:JMPA/小倉直樹

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 手倉森ジャパン発足から練習試合も含めて45試合目、大量5失点を喫したのは初めてのことだ。これまでのワーストである3失点も、わずか2回(14年U-22アジア選手権のイラン戦、同年アジア大会のイラク戦)、ナイジェリア戦前までの平均0.77失点という数字は、まさに堅守を武器に「耐えて」勝利を手にしてきた勲章である。しかし……。
 
「失点はみんなのせい。それを取り返すのがサッカー」(中島翔哉)ではあるが、次のコロンビア戦では負けは許されない。それだけに、失点の要因を分析して修正する必要がある。5失点の要因は以下の通り。
 
1失点目(6分):藤春がエゼキエルに突破されてシュートを打たれ、室屋もシュートのこぼれ球に反応が遅れてサディクに押し込まれる。
 
2失点目(10分):室屋が右サイドからのクロスに対応を誤り、入れ替わられてエテボにフリーでシュートを許す。クロッサーへの藤春の寄せも甘かった。
 
3失点目(43分):塩谷がサディクのペナルティエリア侵入を止められず。エテボのシュートを植田が撥ね返すもクリアが甘くなり、エテボに押し込まれる。
 
4失点目(51分):塩谷と室屋の間をサディクに割られ、塩谷がペナルティエリアで相手を倒してしまい、PKを献上。
 
5失点目(66分):大島のバックパスをミケルにかっさらわれ、折り返しはGK櫛引が飛び出してクリアするも、こぼれ球をエデボに突き刺される。
 
 室屋3、塩谷2、藤春2、植田1、櫛引1、大島1。GKを含めた守備陣全員が失点に絡んでいる。特に懸念材料なのが、塩谷と植田のCBコンビだ。
 
 ブラジル戦での完敗から、ライン設定の修正を含めた話し合いは守備陣の間で行なわれていた。もっとも、「ラインが下がってしまって、自陣深くで取ってそこからカウンターというのは難しい」(塩谷)と高い位置でボールを奪いに行くことが課題として炙り出されていたにもかかわらず、ボールの奪いどころに関しては「そこまでは決まっていない」まま、ナイジェリア戦を迎えてしまったのだ。
 
 ナイジェリア戦後、植田、室屋が無言のままミックスゾーン(取材エリア)を通過したため、塩谷への質問が相次いだ。背番号6は悔しさを押し殺すように答えていく。
「2-2に追いついてからの3失点目、僕が取られたPKの4点目が一番痛かった。本当に申し訳ないなと。(守備のオーガナイズが崩れた)要因はいろいろあると思いますけど……1対1であったり、ブロックを作った時にどれだけ上手くボールを入れさせず、相手に前にボールを運ばせないようにすることが大事になる。周囲との連係? 失点をこれだけしていて、そういう質問が出るということは、『慣れていない』と素直に認めないといけないですね」
 
 コロンビア戦、スウェーデン戦と中2日で続く。試合翌日はリカバリーがメインとなることを考えると、練習で修正する時間はほとんどなく、ミーティングでのフィードバック、DF、GK、ボランチを含めた話し合いですり合わせを行なうしかない。それと同時に、手倉森監督は最終ラインをテコ入れするのか、あるいは変えずに挑むのか、決断しなければならないだろう。
 
 世界に比べて、身体能力など個の能力で劣る以上、周囲の選手と連動して“組織”として守るしかない。こと植田とのコンビネーションに関しては、オーバーエイジの塩谷よりも、立ち上げ当初からしのぎを削ってきた岩波のほうが相性は良い。中央を安定させる意味では、「植田―岩波」コンビを起用することを推奨したい。屈辱的な敗戦をベンチで見守った岩波は、試合後にチームの改善点について自分なりの見解を述べている。
 
「中盤でプレッシャーに行けず、イージーなミスからも失点していたし、ブロックを組んでそこからボールに出て行く守備ができてなかった。(世界相手に)フリーでやらせるとゴールまでつなげる力があるので、あれでは難しいかなと思います」
 
 CBを変えるとともに、もうひとつ浮上する選択肢はブラジル戦、ナイジェリア戦と精彩を欠いた室屋の起用法だ。アジア最終予選のようにターンオーバーを採用するのであれば、亀川を使う可能性は十分あるだろう。しかし、コロンビアはドルラン・パボンという攻撃の起点を左サイドに置いている。つまりは、日本の右サイドがキーエリアのひとつということ。長らくこのチームでやってきた室屋のコンビネーションよりも、高さやフィジカル面を強化する意味で、塩谷を右SBで起用するのも一手かもしれない(無論、リスクが伴うのも承知だが……)。
 
 前半は0-0でしのぎ、後半勝負。「耐えて勝つ」ゲームプランを最後まで貫くのであれば、“変化”を作って新たな風を吹き込ませることも必要だろう。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト特派)