IBMの人工知能「ワトソン」が、日本人女性の命を救った!

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人工知能の凄いところは、人間にはとても抱えきれないような情報量を一挙に、かつ正確にさばけるところにあるでしょう。これは、その特性が生かされた一例と言えます。

医師でも難しい診断が、
人工知能なら短時間で可能に。

NHK ONLINE」は、医師に「急性骨髄性白血病」と診断された60代の女性を紹介しました。彼女は、症状に効果があるとされる抗がん剤で数ヶ月間治療を続けましたが、改善は見られず容体も悪化。

しかし、ワトソンによって再度病状を分析したところ、彼女は「二次性白血病」だったと判明。抗がん剤の種類を変更すると症状が改善しました。そして、治療の結果2015年9月には無事に退院へ。判断が遅れていれば、死亡していた可能性もありました。

2000万件の論文を学習。
診断には、たったの10分。

使用されたワトソンは、東京大学医科学研究所が導入し、2000万件を超える研究論文や、1500万件を超える薬の特許情報を学習させたもの。症状に関連する情報を探り、根拠とともに解決策を提示できます。「IBM」によれば、15秒で40万件の論文を参照可能です。

この度の診断にかかった時間はたったの10分。同研究所の宮野悟教授はこうコメントしました。

「1人の医師がすべての膨大な医療情報を把握するには限界があり、情報を蓄積してみずから学習する人工知能の活用は、医療の世界を変える可能性を秘めている」。

こういった先進医療が実際に利用できるようになるのは何年も後ーーというイメージがあるのも事実。ところが、国内だけで数えても、すでに41名の患者が、同様に診断の難しいとされるがんの特定に至っているというから驚きます。

世界の医療は、
人工知能で変わる?

「日経デジタルヘルス」には同様の取り組みが紹介されています。うつ病や認知症などの精神疾患への対策として、ワトソンが応用されているようです。ここで重要視されているのは、カルテの情報に含まれている“個人差”。

「桶狭間病院藤田こころケアセンター」では、膨大なデータから入院長期化や再発に影響する因子をワトソンで抽出、データベース化しました。

この研究によって長期入院する患者の数は減少。パターンに患者を当てはめるのではなく、より個人に合わせた対応ができるようになるとも言われています。

先生に聞きづらいときは、
ワトソンに質問!

さらに、人工知能が秘めている力は、データを用いた素早い判断だけに留まりません。たとえば、医師の代わりに患者の質問に答える役割だって担えるのです。

「FT.com」によれば、イギリスにあるオルダーズ・ヘイ小児医院では、自分の病気や治療に関する質問がすべてデバイスからできるようになっており、人工知能が答えを導き出してくれるそうです。

これによって、何らかの理由で先生に聞きたくても聞けない子どもたちが、病気や治療について抱えている疑問を解消できるようになりました。

大統領選に、
人工知能が立候補?

こうして、実際に使われているケースだけを見ても、ワトソンはいろいろなことに応用できます。なかには人工知能を大統領にしようというプロジェクト「Watson for President 2016」があるくらい。

まだまだできたばかりの技術ではあれど、その情報処理能力は人間の比ではありません。専門家からは、“偏見や不完全な情報を使わずに決断できるようになる”との意見もあり、様々な視点から物事を捉え、最も良い決断ができるだろうと考えられています。その判断力は、先に紹介したがんの診断に現れているでしょうか。

ワトソンはあくまで人間の判断をより速く正確にするサポーターの役割を担っていますが、政界で活躍して欲しいという声があがるのも、無理もない話しかもしれませんね。

Reference:NHK ONLINE,IBM,日経デジタルヘルス,FT.com,Watson for President