アンカーで起用された遠藤は、球際への寄せやボール奪取で光るシーンはあった。写真:JMPA/小倉直樹

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[リオ五輪グループリーグ第1戦]日本4-5ナイジェリア/現地8月4日/アレーナ・アマゾーニア
 
 まさかの5失点を喫したナイジェリア戦、守備の要所である4-3-3のアンカーを任された遠藤は、「守備の距離感は良かった」と感じていた。

【リオ五輪・ナイジェリア戦PHOTO】まさかの5失点…守備が崩壊し、大事な初戦を落とす

「入り方がまずくて失点したけど、ブロックの守備とかコンパクトに保つところはそんなに悪くはなかった」というように中盤のスペースを消して相手をサイドに追いやる態勢はできていた。しかし、結果を見れば大量失点。その理由は明らかで、ナイジェリアが日本の弱点を突き、狙いとする守備の形に持ち込ませなかったからだった。
 
 ナイジェリアは前線の個人技を活かした攻撃を得意とするチームだ。そうした相手に中盤で網を張っても、期待する程の効果は見込めない。実際に、ナイジェリアはFWのサディクを狙ったロングボールを軸に日本の守備を無力化し、巧みにミスを突いてチャンスを作っていた。
 
 失点シーンを振り返っても、その多くは相手の個人能力に屈したところ、もしくは日本のミスから始まっている。
 
 1失点目のシーンでは、右サイドでボールを持ったエゼキエルに藤春と中島のふたりで寄せながらも、突破を許してシュートを打たれた(このシュートのこぼれ球にサディクが詰めてネットを揺らした)。
 
 2失点目は室屋がクロス対応を誤り、3失点目は塩谷が相手FWを潰し切れずに起点を作られ、4失点目は室屋が不用意にボールを奪われた後に、塩谷がPKを献上。5失点目は、飛び出したGK櫛引の不十分なクリアが相手に渡り、無人のゴールに蹴り込まれている。
 
 遠藤はこうした失点シーンを振り返り、「フッと力を抜いちゃうじゃないけど……」と複雑な表情を浮かべた。
 
「失点の場面でシンプルに長いボールが入った時とか、ちょっと奪えたなと思った時にフッと力を抜いちゃうじゃないけど(油断してボールを奪いきれていない)。その時に相手も追いかけてきて足を出してきて相手ボールになっちゃうとか、そういうところはすごく多かったと思う」
 Jリーグであればボールを奪えるところでも、相手の足が伸びてきてキープされる。あるいは、強靭なフィジカルやスピードに苦戦を強いられ、いつの間にか相手の間合いにされてしまう。つまりは、このチームが抱える欠点のひとつ=国際経験の浅さが、仇になったということだろう。
 
 遠藤は「奪い切るところは、まだまだだと思った」という言葉の後に、メンタル面にも問題はあったと続けた。
 
「ミス絡みの失点をした後にどうポジティブになれるか。ゲーム中は気にせずに、さらに積極的なプレーをできるかどうかは、すごく大事だというのを今日感じました。話はしましたけど、ミスがあった時も自分から積極的にチャレンジをしていく姿勢を個々が見せていかないと、チームとしてのオーガナイズが最後、そういうところでネガティブになってしまう。今日みたいな形のゲームになってしまうので」
 
 失点する度に気落ちしていくチームを、キャプテンとして立て直せなかった。その後悔もある。
 
「もちろん、ポジティブな声をかけている選手はいましたし、そこは僕を含めて下を向いても仕方がないので、切り替えてやっていこうという声かけはしていました。それでもやっぱり気にしている選手もいて。そこでなかなか自分のいつものプレーはできずに……」
 
 耐えに耐えてアジアを制した不屈のメンタリティを、この大舞台で発揮できなかったのは悔やまれるばかりだ。
 
 結局、日本は試合終盤に猛攻を仕掛けて1点差まで詰め寄ったものの、気持ちを切り替えられないまま食らった5失点が響いて4-5で敗れた。自分たちの拠り所であるはずの守備が崩壊したこのゲームは、選手たちの心に大きな傷を負わせたかもしれない。
 
 ただ、遠藤はそれでも前を向く。
 
「プレッシャーはもちろんありますけど、失うものはないので。今日みたいなゲームをしてしまうと、せっかくオリンピックという舞台でチャレンジするために来たのにもったいない。チームとして下を向かずに、切り替えてポジティブにやっていきながら、次は絶対(に勝つ)」
 ネガティブになり、本来の力を発揮できないまま大会を去ってしまうのは「もったない」。従来通りの守備重視の戦術を踏襲するにしても、「積極的に」「チャレンジ」する姿勢を全面に出すべきだろう。
 
 現地8月7日(日本時間8日)に行なわれる第2戦のコロンビア戦は、負ければグループリーグ敗退が決まる大一番だ。しかし一方で、ここから「ふたつ勝てば上に行ける」のも事実である。
 
「追い込まれた分、チームとして積極性を出して連勝して決勝トーナメントに行きたい」
 
 チーム立ち上げから主力を張るキャプテンの言葉は、現実となるのか。今はただ手倉森ジャパンの自信回復と、コロンビア戦の勝利を願うばかりだ。