『秘密 season0(4)』(清水玲子/白泉社)

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 もしも死後、脳がスキャンされて自分の見てきた全光景があらわになってしまったら――? 死者の脳をとりだし解析するMRI捜査を通じて事件解決に挑む科学警察研究所・法医第九研究室、通称「第九」を舞台に描く近未来警察ドラマ『秘密 トップ・シークレット』(清水玲子/白泉社)。生田斗真&岡田将生のW主演で実写化された映画『秘密 THE TOP SECRET』がいよいよ明日8月6日(土)より東宝系にて全国公開される。公開にあわせ、新章『秘密 season0』の第4巻が8月5日(金)に発売された。

 主人公のひとりは、美少年と見まがう驚異の33歳(season0最新4巻では39歳)。毒舌の天才室長・薪剛だ。とある事件で、部下のすべてを失い、親友・鈴木をみずから射殺してしまい、孤独と自責の念を抱えながら捜査に没頭していた薪。そんな彼の前に現れたのが、鈴木の面影によく似た新人警部・青木一行。もう一人の主人公だ。本作は、すべての凶悪事件の「秘密」を見ているせいで、常に命の危険にさらさている薪と、彼に関わったことで自分の家族を凄惨な方法で失ってしまうことになる青木の絆の物語だ。『season0』は、1巻では、薪の知られざる過去と鈴木との出会いが描かれているが、2巻以降は、同じ職場の上司と部下ではなくなってしまった薪と青木が、それでも同じ警察官として志をともに事件に挑むさまを描いている。

 4巻では、薪と青木は、MRI捜査の孕むジレンマに向き合うこととなる。すなわち、プライバシーがまるで保護されないMRI捜査は、果たして正義なのだろうか。そこまでして真実を特定しなくてはいけないのだろうかということだ。

 MRI捜査は、事件解決のためには画期的で先鋭的だ。殺された人間の見た風景がそのまま甦るのならば、犯人検挙率はあがるし、冤罪事件も減るだろう。目撃者を口封じのために殺す、なんてこともなくなるかもしれない。だが一方で、故人が誰にも知られまいと抱え込んできた秘密もすべからく暴き出されてしまう。誰かを守るための必死の嘘さえ、見破られてしまう。事実を特定することだけが「解決」といえるのか? 4巻では本編でも繰り返し描かれていたテーマが特に強く浮き彫りにされている。

 本作が読者の心を惹きつけてやまないのは、「白か黒かはっきりさせられない」点にあるだろう。なにが正しくて、なにが間違っているのか。幸せとはなにか。どうすることが善につながるのか。誰にも明確な答えをだせない根源的な問いに、薪も青木も、つねにさらされ、そして逃げることなく向き合っている。迷いながらも答えを探し続けている2人だからこそ、読者はその生きざまに心を揺さぶられるのだ。

 ちなみに本巻では、青木の元婚約者である雪子が『season0』での初登場を果たす。本編のラストで「2人はいったいどうなったの!?」と心ざわつかせた読者も多いだろう。もしかしたら今後描かれることがあるのかも……という期待を抱きつつ、まずは新刊と映画をあわせて楽しみたい。

文=立花もも