「ヤッさん〜築地発!おいしい事件簿〜」(テレビ東京系)第2話が放送された。このドラマ、意外と築地がでてこない。


カーキ、グレー、茶色、白……


このドラマの特徴は?と聞かれたら、昭和っぽさとわかりやすさと答えてしまう。では、その昭和っぽさってなんなのだろうか? メインが人情話、場所が築地、色々理由はあると思うが、決め手は服の色な気がする。

何年か前のドラマで、ホームレス役のイケメン俳優が着ている服が高価な物だと話題になった事がある。カッコ良い俳優をカッコ良く見せる。それはそれでいい事だと思う。オタクだろうと、ホームレスだろうとスタイリッシュな雰囲気のドラマにはお洒落が必要だからだ。

だがヤッさん(伊原剛志)は違う。今時のホームレスには清潔感も大事と、いつも無地の白いTシャツを着ている。伊原剛志だからカッコ良く見えるが、そこにお洒落の意識はない。

相棒のタカオ(柄本佑)はもっとない。ヤッさんにもらったのか、いつも“築地”と書かれた青いTシャツや、“大漁”の文字と魚の絵がプリントされた黒いTシャツ姿だ。今回着ていた無地の緑色のTシャツなんて、今時ドラマでもバラエティでもテレビではなかなかお眼にかかれない。しかも、タカオはイケメン設定なのにだ。

そしてヒロインのミサキ(山本舞香)だ。なんと、17歳の女子高生役なのにくすんだグレーのTシャツと帽子を被っているのだ。モデル出身の山本舞香の華やかさより、田舎出身の家出娘という設定を大事にしているのだ。この若者に全く媚びない姿勢が、昭和っぽさを加速させている要因となっている。ゴールデンでこれが出来るのは、おそらくテレ東だろう。

これで主要メンバーが全員揃った


今話は家出してきたミサキが仲間に加わる回だ。蕎麦職人になる為に北海道から東京に家出してきたミサキ。蕎麦屋「はし田」で食い逃げしたところをタカオに捕まってしまう。しかし、熱い蕎麦への思いを聞いたヤっさんはミサキを引き取り、更生させようと一緒に宿無し暮らしを始めたのだった。

そこに人気グルメブロガー“食才人”と“はし田”の間で起こる問題が加わったり、ミサキのお母さんをヤっさんが函館から連れてきたり……なんやかんや色々あってヤっさんがカッコ良く解決。

予告でこんなにワクワクしたのは久しぶり


めでたしめでたし。今話も良い人情物語が見れた。そう思っていた。しかし、違ったのだ。これは「ヤッさん〜築地発!おいしい事件簿〜」ではなかったのだ。今話も、前話も、このドラマの本質ではなかったのだ。

そう思わされたのは、第3話の次週予告を見てからだった。こういうのが見たかったのだ。こういうのが見たくてこのドラマを見始めていたのだ。

ヤっさんとタカオがいつものように街を走っていると、大型ビジョンに立て籠もり事件の様子が流れていた。その犯人はなんとヤッさんの知り合いの東雲軒の大将(宮川一朗太)だった。どういう経緯かはわからないが、ヤッさんとタカオはコック服を身に纏い、警察が囲んでいるレストランに入っていく……。

「ヤッさん〜築地発!おいしい事件簿〜」このドラマのタイトルだ。そう。今までこのドラマには事件が足りなかったのだ。タイトルと内容が違っていたのだ。

このドラマの場合、話がシンプルなだけに事件は大きければ大きいほどいい。立て籠もり事件なんてまさに理想的だ。

レストランに入る時、おそらくヤッさんは自分たちは従業員だと警察を騙したのだろう。おそらくタカオは無理やり連れてこられてのだろう。そしておそらく大将の料理へのこだわりから事件が起きてしまったのだろう。

このスケールの大きな感じ。予告だけでどんな話か想像出来てしまう感じ。小さな矛盾なんてポップさと痛快さで吹き飛ばしてしまう感じ。そのおかげで、ヤッさんというキャラクターがドンドン浮世離れしていく。そうして初めて、ヤッさんに憧れる事が出来るのだ。

今まで十分楽しく拝見させてもらった「ヤッさん〜築地発!おいしい事件簿〜」だったが、第3話からは更に面白さが増していくだろう。ヤッさんのこれからの活躍が楽しみでたまらない。

(沢野奈津夫)