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毎年7月、8月になると多くの人が熱中症で救急搬送される。総務省によると、2015年5〜9月の全国における熱中症による救急搬送人員数の累計は、5万5,852人にものぼっている。

最悪の場合、熱中症は死に至るだけに事前にしっかりと対策を講じておくことが重要となる。本稿では、熱中症リスクを考えるうえで知っておきたい熱中症指数・WBGTについて紹介する。

WBGT(Wet Bulb Globe Temperature: 湿球黒球温度)とは、熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標。単位は気温と同じセ氏度(℃)で示されるが、その値が意味するものは気温とは異なる。

WBGTは人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目しており、人体の熱収支に与える影響の大きい「湿度」「日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境」「気温」の3点を取り入れた指標となる。環境省によると、WBGTは労働環境や運動環境の指針として有効であると認められ、ISOなどで国際的に規格化されているとのこと。

気になるWBGTの算出式は以下の通り。

■屋外での算出式

WBGT(℃)=0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度

■屋内での算出式

WBGT(℃)=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度

聞きなれない温度がいくつか並んでいるが、黒球温度は黒色に塗装された薄い銅板の球の中心に温度計を入れて観測する値。湿球温度は水で湿らせたガーゼを温度計の球部に巻いて観測する値で、乾球温度は通常の温度計で計測できる値だ。

黒球温度と湿球温度は一般の人が計測するのは難しいかもしれないが、最近ではWBGTを計測できるアイテムも販売されているため、一家に1つ購入しておくのもよいだろう。また、環境省の「熱中症予防情報サイト」でも、WBGTの実況と予測を知ることができるため、外出時などの目安にできる。

では、このWBGTと熱中症リスクの関係はどうなっているだろうか。日本生気象学会が日常生活とのリスクを公表しているので、下記にまとめた(日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針Ver.3」<2013>より)。

WBGTが25℃未満(注意)

一般に危険性は少ないが激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

WBGTが25℃以上28℃未満(警戒)

運動や激しい作業をする際は定期的に充分に休息を取り入れる。

WBGTが28℃以上31℃未満(厳重警戒)

外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。

WBGTが31℃以上(危険)

高齢者においては安静状態でも発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。

熱中症予防情報サイトによると、8月5日11時時点のWBGT実測値は、全国の主要都市別にみると福岡が最も高く32.7℃、次いで大阪が31.1℃となっている。いずれも高齢者は「安静状態でも発生する危険性が大きい」状況となっている。

高齢者は、「汗をかきにくい」「暑さを感じにくい」などの身体的特徴があり、体温を下げるための反応が弱くなっている。自覚症状がないまま室内でも熱中症になる危険性があるため、子ども同様に注意が必要と覚えておこう。

厚生労働省によると、2015年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は464人で、前年よりも41人多かったという。そのうち死亡者は29人と、同じく前年より17人増加しているとのこと。「室内だから安心」などと思わずに、こまめな水分補給や室内での温度・湿度に気を配るなどして、熱中症への対策を怠らないようにしてほしい。

※写真と本文は関係ありません