“走る芸術品”とも呼ばれる「BUGATTI T35B」のボディー

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全国各地のカーイベントを巡り、カーファンにはたまらない名車、旧車を紹介していく「週刊クルマニア画報」。今週からは、クラシックカー・ラリーレース「RALLY YOKOHAMA 2016」出展車をレポート!全87台もの激レア車が集まったこのイベントで、年式の最も古いレア車中のレア車にして“走る芸術品”とも呼ばれる「BUGATTI T35B」を徹底解剖する。

【写真を見る】エロいほどのボディーの曲線美!これが多くの人を惹きつけてやまない

■ マニア垂ぜんの名車が続々と集結!

O塚くん、こっちこっち。

――Aさん、探しましたよ。これは一体何の騒ぎですか?横浜・大さん橋ふ頭の駐車場に、見たこともないクルマが吸い込まれるように集まっていますが。

今日は『RALLY YOKOHAMA 2016』開催日だからね。

――これは一体どんなイベントなんですか?

一般社団法人・ラリーニッポンが主催するラリーレースで、横浜では3年前から毎年開催されているイベントだよ。

――クラシックカーが実際にレースをするんですか! 曲がりくねった道をレアカーがぶっ飛ばしていくワケですね。

いや、タイムレースじゃなくPC競技でのスコアを競うレースだよ。PC競技というのは、一定の区間を指定のタイムで走り、その正確さを競うんだ。例えば“20メートルを5秒”とかね。今回は横浜を起点に三浦半島、房総半島を2日で回るけど、それ以前には、京都や諏訪の社寺を巡りつつ靖国神社を目指すレースを行ったりしていたんだ。

――神社仏閣や世界遺産とクラシックカーの組み合わせですか。なんとも絵になりそうなイベントですね。

今年の会場である横浜も、そういった意味では歴史ある街だしね。

――ではさっそく「RALLY YOKOHAMA 2016」についてですけど、ズバリ最大の魅力ってなんでしょう?

博物館に展示されていてもおかしくないような激レアマシンが、一カ所に集まって、しかもレースをする。こんなイベントはそうそうないんじゃない?

――はい、確かに。図鑑やカタログでしか見たことがないようなマシンだらけで、テンション上がりまくりです。それじゃあ早速、参加車を個別に見ていきましょう。よろしくお願いします!

■ エントリー最古参!1927年式「BUGATTI T35B」に注目

――今回参加したクラシックカーの中で、注目の車種はありますか?

うーん、難しい質問だけど、あくまで“あえて”選ぶなら、まずは参加車の中で最も年式の古い、ゼッケン1を付けたコレかな?

――これはまた一体なんていうクルマですか?

これは『BUGATTI T35B』といって、なんと1927年式。年号で言えば昭和2年のクルマだよ。

――昭和2年のクルマですか!?約90年前のクルマが現役で、しかもレースに出場するとは、おみそれしました。

それに『BUGATTI T35』シリーズは“数あるクラシックカーの中でも一番美しい”と言われるほどの、走る美術品でもあるんだ。思わず見とれちゃったんじゃない?

――惹きつけて離さない魅力を持ったクルマですね!

開発者のブガッティは、それまでの無骨なデザインではなく、この車から芸術的なデザインを盛り込んだんだ。つまり現在のイタリア車から遡っていくと、BUGATTI T35シリーズに行き着くってワケ。

――確かに、アメ車やドイツ車とは違ったフォルムが特徴的ですよね。ボディーの曲線が美しいです。

ちなみに『BUGATTI T35B』のベースとなった『BUGATTI T35』は、あのモナコGPの第1回、第2回大会で連続優勝しているし、他にも多くのレースでグランプリを獲得してきたマシンでもあるんだ。生まれながらのレーシングマシンが、90年経った今でもこうしてラリーレースに参加しているのは面白いよね。

――うーん、聞けば聞くほど凄いマシンですね。…ん?“ベースとなった”ってことは、「T35」と「T35B」は違うクルマってことですか。モデルチェンジ版ということになるんでしょうか?

T35は廉価版の『T35A』をはじめとして、改良を加えたT35C・T35TそしてT35Bが造られているんだ。T35Bの特徴は、ベース車に大型のスーパーチャージャーを搭載して出力がアップしているし、大型のラジエーターとブレーキ・ドラムを搭載しているのも特徴だよ。ちなみに後継車たちも立派なレーシングカーで、数々のレースで優勝を飾っているんだ。

――ちょっとずつ改良を加えた後継車が出るところは、今と似ていますね。面白いなぁ。

■ 生産台数は世界でたったの…

ちなみに今、目の前にあるこのT35B。総生産台数は何台だと思う?

――ええっ?うーん、90年前ですから大量生産されたってのも考えにくいですけど、人気車でもあるんですよね。200台とか300台くらいですか?

大ハズレ。記録上では45台しか生産されなかったそうだよ。

――たったの45台!?そのうちの1台が目の前にあるのかぁ。

45台全てが現存しているとも思えないから、まさしくレア中のレア車だね。

――そんなレアなクルマ、維持するだけでも大変ですよね?

オーナーさんによると、もう部品がないから、ほとんどワンオフで作成しているらしいよ。

――ワンオフでパーツを作成!?それって全部ですか?

いや一部の消耗品はまだ製造しているらしいんだけど、それも在庫があるかは問い合わせ。しかもフランスやイタリアなど海外からの取り寄せだからね。

――やっぱりこれだけのクルマだと手間がかかるんですね。ところで、ほかに注目のマシンはありました?

レアさという意味では、今回のゼッケン1〜11までのエントリー車は、全て第二次世界大戦以前に造られたものだそうだよ。他のレースにこの中の1台でも参加していたら、それだけで目玉マシンになるだろうけど、『RALLY YOKOHAMA 2016』ではそんなクルマが11台も参加しているという(笑)。紹介したブガッティ以外にもフィアット、トライアンフ、MG、ジャガー、ベントレー、もちろんポルシェやフェラーリといった、マニアにはたまらないマシンが大量に参加しているから、眺めているだけでも飽きないよ。

――海外の有名メーカー、名車は大抵参加している、と。ところで国産メーカーからの参戦はなかったんでしょうか。

数は少ないけど、もちろん参加しているよ。個人的には世界初の量産ロータリーエンジン搭載車にして、登場時はその美しさでファンを驚愕させたというMAZDA COSMO SPORTSの参加には興奮しちゃったよ。他にも2代目ロータリーエンジン搭載車のMAZDA FAMILIA PRESTO ROTARY COUPEも参加していたね。マツダファンなら感涙モノだよ。

――海外の名車たちに混ざって、国産車も頑張っているんですね!

じゃあ、次回も気になった参加車を、それぞれ解説していこうか。ドライバーさんというか、オーナーさんにも話を聞いてみたいね。

――分かりました、では次回もよろしくお願いします!

【週刊ジョージア】