『自分を操る超集中力』(メンタリストDaiGo/かんき出版)

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 たまには好きな映画を見たり、仕事終わりに飲みに行ったりして過ごしたい。そのための時間を捻出したいし、睡眠時間もあと2〜3時間多く確保したい。もし1日に27時間使えれば、増えた3時間を好きに過ごせるはず(その3時間を有効活用できるなら、初めから苦労していない気もするが)。

 1日の時間を延ばすという発想は、都合のよい空想。しかし「時間を圧縮」することはできるらしい。その方法について書かれているのが、本書『自分を操る超集中力』(メンタリストDaiGo/かんき出版)だ。

 著者は、人の心を読むことでおなじみのメンタリスト・DaiGo氏。彼は本書の冒頭で、「学習障害ではないか?」と家族に疑われたほど集中力がなく、じっとしていられない子どもだったと告白している。いまの姿からは到底想像もつかないが、中学2年生まではいじめられっ子で学校の成績もほぼビリだったという。

 それがいまでは、テレビ出演多数、外資系企業の研修や大学の特任教師を務める傍ら、日に10〜20冊の本を読むなど、常人離れした日々を送っている。DaiGo氏は、集中力を自在に操ることで、短時間で成果を出し、高い生産性を発揮しているのだ。

「でも、集中力って生まれつきの才能次第なのでは?」と思いがちだが、これは誤り。実は「集中力のある人、ない人の差は、その仕組みを知り、トレーニングを積んでいるかどうかの違いだけ」とDaiGo氏は語る。「大切なのは1つのことにフォーカスし、1つずつ着実に習慣化していくこと」――つまり、集中力は鍛えれば身につくのである。

 集中力の源は、脳の前頭葉にある「ウィルパワー」――これが人間の思考や感情をコントロールする力。ウィルパワーは蓄えておける一定量があり、集中力を使うたびに消耗してしまうが、睡眠や食事によって取り戻せる。

 このウィルパワーの最大値を増やし、消費量を節約することで、集中力を高められるという。では、何をすればよいのだろうか?

 まず、ウィルパワーを増やす方法から。それは「無意識の行動に気づき、改める」を繰り返すこと。猫背になっていることに気づいて姿勢を正す、机に肘をつくのをやめる。さらに利き手とは反対の手で歯を磨くのも効果がある。人間は、こうした日常的な無意識の行動を正すことにも集中力を消費するため、それを繰り返し正す=負荷をかけることで、筋トレのようにウィルパワーを鍛えられるというわけだ。

 また、何かをする・しないという意志決定や「こうしたい」と望むことでもウィルパワーは消耗してしまう。そこで、行動の習慣化や即決できる仕組みをつくっておく。これが、ウィルパワーの節約につながる。

 というわけで、本書で紹介されているウィルパワー節約に役立つ、即決できる仕組み「バッチ処理」を実践してみた。これは、あとで処理する細かい仕事を一旦メモして頭の外へ追い出すというもの。なぜなら、やるべきことを先延ばしにしておくと、それだけでウィルパワーを食い、集中力は散漫になってしまうからだ。

 この「バッチ処理」を実践するには、大きめの付箋さえあればいい。あとは「メールを送る」「コピー用紙を買い足す」など、やるべきことを付箋に書いて所定の場所に貼っておく(なるべく作業中は目が届かないような場所がよい)。たったこれだけのことなのだが、いまやるべき作業ひとつに集中できるようになった気がする。「これもやらなきゃ」という余計な焦りやモヤモヤ感が薄れ、原稿に集中できた。

 また、本書では、疲れをリセットする回復法や集中力をつくり出す時間術も紹介されている。「睡眠の質は22時から夜中2時の間に深い眠りに落ちているかどうかで決まる」とか「午前10時は、認識能力が高く、集中しやすい」とか――やっぱり不規則な生活だと、パフォーマンスは下がるんですね……。

文=上原純(Office Ti+)