対人では植田への期待が大きいが、パートナーの塩谷としっかりとカバーし合いながら、コンタクトプレーやポストプレーを封じる必要がある。また、相手のサイドにはエテボらスピードを特長とする選手がおり、藤春と室屋も1対1で自由を与えないことが求められる。
 
 中盤のトライアングルは、大島、矢島、遠藤で形成する。ボールをつなげなかったブラジル戦の教訓として、インサイドハーフにボールキープとパスセンスを兼備する大島と矢島を配置し、前線を孤立させない狙いがあるのではないか。アンカーは練習でもキャプテンの遠藤しか入っておらず、アンタッチャブルな存在。両脇の広大なスペースをカバーしつつ、鋭い縦パスで攻撃のスイッチ役としても期待したい。
 
 前線は「耐えて守って、鋭く攻撃する」がコンセプトの同システムでは、“スピードと突破力”が必要になる。3トップは中央の興梠を基準点に、南野と中島が個の力でゴールをこじ開けるイメージか。最年長の興梠は「3トップのサイドが開き過ぎて、自分が孤立する形にはなりたくない」と注意点を挙げ、「上手く距離感をコンパクトにして攻撃したい」と語っている。均衡が崩れず後半勝負となれば、満を持してスピードスターの浅野を投入するだろう。
 
 先述したように、グループリーグ突破を手繰り寄せるには、ナイジェリア戦での勝点3=勝利は絶対だ。いよいよ、手倉森ジャパンの最後の勝負が始まる。
 
取材・文:小田智史(サッカーダイジェスト特派)