東京大学と新潟大学、北海道大学などの合同研究チームは、「脳内マリファナ」がてんかんの症状であるけいれん発作を強力に抑える働きがあることを突きとめ、米科学誌「セル・リポーツ」(電子版)の2016年7月21日号に発表した。

まだ、マウスの実験の段階だが、新しいてんかんの治療薬の開発に役立つと期待されている。

音楽や映画に感動してハイにさせる物質

マリファナ(大麻)を吸引するとハイになるが、それはマリファナに含まれる精神作用物質「カンビナイト」が脳のカンビナイト受容体というタンパク質に作用するからだ。ところが、もともと脳内にはこの受容体を活性化させる「内因性カンナビノイド」と呼ばれる物質が存在している。長時間ランニングすると気分が高揚してくる「ランナーズハイ」の時や、音楽や映画に感動していい気持ちになる時などに分泌され、カンナビノイド受容体を刺激し、マリファナを吸引した時と同じ効果をもたらす。この物質が脳内マリファナだ。

研究チームは、脳内マリファナ(内因性カンビナイト)の1つ「2-AG」に注目。てんかん発作を起こすよう遺伝子操作されたマウスに、働きを強めた2-AGを注入したところ、けいれん発作を強力に抑制することがわかった。また、与える2-AGの量を増やすと、けいれん発作を抑制するだけでなく、てんかんを発症する異常な神経回路が形成されることを阻止することも突き止めた。つまり、てんかん発症のもとを断つ働きまでするわけで、てんかんの予防が期待できるわけだ。