謎の子どもが家にやって来た


美奈(尾野真千子)&信次(江口洋介)夫婦の家に迷い込んできた「謎の子ども」の名前が決定しました。「一」と書いて「ハジメ」!

……というわけで、『はじめまして、愛しています』(テレビ朝日系・木曜21:00〜)第3話では無事に里親申請が通り、ハジメを家に引き取っての試験養育期間がスタートする。

約6か月間の試験養育期間を経て、裁判所が親子としての関係が成立していると判断すれば、晴れて本当の親子になれるのだ。


それまで子どもがいなかった夫婦がいきなり他人の子を引き取ったら、そりゃあ色々と大変だろうなということが予想されるけど、虐待を受け、大人を信用していない子どもの場合はもっと大変!

新しい親の愛情を本当に信じていいのかを探るため「試し行動」と呼ばれる、厄介な行動を取りまくるらしいのだ。

尾野真千子の痔が悪化するほど大変な「試し行動」


第1話で、突発的に「特別養子縁組したい!」とか言い出した信次に対し、児童相談所の職員・堂本真知(余貴美子)は、

・海苔しか食べない
・好きな物をカゴいっぱいに入れる
・部屋中に飲み物や食べ物をまき散らす
・タンスの中のものを全部引っ張り出す
・噛みついたり、何度も叩いたりする

と、こんな問題行動を取るようになるから大変ですよ、と言っていた。

それじゃあハジメくんは、特別養子縁組を少々ライトに考えているフシのあるこの夫婦を、どんな「試し行動」で困らせてくれるのか!?

そんな嗜虐心を刺激されつつ、ワクワクしながら見ていたら、堂本さんの言ってたこと全部その通りにやっていて笑った。「海苔しか食べない」じゃなくて「パンと海苔しか食べない」だったけど。そこまでマニュアル通りに行動しなくても!

まあしかし、ドラマの中だから「大変そ〜」とか言いながら見ていられるけど、実際に自宅でこんなことやられたらホントにファックオフ。自分の子どもだったらお説教1時間コースだ。

……しかし、トラウマのある子どもの場合、ヘタにこの「試し行動」をしかったり、やめさせたりするのは逆効果なんだそうで、とにかくやりたいだけやらせるというのが正しい対処法。

当然、やりたい放題の尻ぬぐいをしなければならない美奈のストレスは一気にマックス&持病の痔も悪化していく。

この美奈が痔持ちという設定。くすぐりネタとしてチョロッと登場させただけかと思っていたら、ちゃんと痔で苦しむシーンをぶっ込んでくるとは……。

「あうっ」と尻を押さえて悶絶する尾野真千子に萌えずにはいられないところだ。

美奈と父親の関係は海原雄山と山岡士郎だ


特別養子縁組をするにあたって試し行動が大きなハードルのひとつとなっている、というのを描きたいのは分かるのだが、ハジメの場合、ピアノに強く興味を示しているということは分かっていて、ピアノを弾いてやれば大人しくなるというのは予想がつきそうなもの。

実際、美奈の父親がピアノを弾き出したら、ハジメも大人しく一緒にピアノを弾いていた。

しかし、美奈は「この曲、私との思い出の曲だというのを覚えていないんだ!」とキレてピアノを止めさせてしまうのだ。

痔が悪化しちゃうくらい試し行動がツライなら、とりあえずピアノの力に頼っちゃえばよかったのに……。

ハジメもだいぶ問題を抱えたお子さんだが、美奈の方もそれに負けじと色々と問題を抱えているということなのだろう。

大きいのは、偉大な指揮者である父親に対する、「コイツが音楽にうつつを抜かしていたせいで母親が死んだんだ。私にも興味持ってくれないし!」という気持ち。

『美味しんぼ』でいうところの海原雄山に対する山岡士郎の気持ちに近い。

ま、確かに音楽以外のことにほぼ興味がなさそうな美奈の父親は、親としてはどーかしているのだが、それでもハジメに対して、

「音楽って美しいだろう? この世界にはもっと美しい曲が沢山あるのさ。教えてやるからな、ね!」

と言っている姿は、かなりいいおじいちゃん
じゃない?

それを「余計なことしないでもらえますか!」と止める美奈の方に大きな心の闇を感じた。

「この人の船に乗っていけば何があっても大丈夫だ!」じゃないだろう!


一方、やたらとポジティブ過ぎる夫・信次の方も、ポジティブであるが故の面倒くささを発揮していた。

・美奈に内緒で子どもの名前を決めている(相談しろよ!)
・美奈に内緒で、妻と折り合いの悪い父親を家に呼ぶ(相談しろよ!)
・ハジメの試し行動にギブアップした美奈を見て「里親委託の申請を取り下げる」と言っていたのに、美奈に内緒で実は取り下げていなかった(どーするつもりだったんだ!?)

最後のに関しては、結果的に美奈が心変わりして「やっぱり里親になりたい!」ということになったので結果オーライだったものの、この行動をもって、

「あの人は頼りない船長なんかじゃない! この人の船に乗っていけば何があっても大丈夫だ!」

とは思えないでしょう!?

児童相談所の職員・堂本が「1分でも1秒でも早く、あの子に新しい里親を探してやらなきゃいけないんです」と言っているのに、それを保留させて「(美奈を)説得するからもうちょっと待ってくれ」というのは(しかも特に説得していない)ポジティブを通り越して、ただの厄介な人だよ!

子役の演技泣かされた……けど視聴率一ケタ代に


気軽に特別養子縁組を申し込んだかと思えば、試し行動がはじまったらソッコー「覚悟はしてたけど、限界なんです」と、里親になるのをやめようとしたり……。

「この夫婦、大丈夫か?」感が強くイライラさせられた第3話だったが、最後の最後はハジメの演技でまんまと泣かされてしまった。

「やっぱ里親になりたい」ということで再びハジメを家に連れ帰り、「(試し行動を)お好きなだけどうぞ。今日は私たちも一緒にやろうよ」とハジメにジュースのパックを持たせたものの、もう床にまき散らすことはなく、無言で美奈にガバッと抱きつくという……。

か……カワイイ!

感情をほぼ出さない演技の上に、いまだにセリフがゼロという難しい役どころだけど、ハジメ役の横山歩くん、かなり印象に残るいい演技をしてます!

いずれ、言葉をしゃべるようになったら(いつまで無言で行くんだろ?)完全に号泣させられる案件ですわ。

このように、何だかんだで泣かされた第3話だったのだが、視聴率は第1話の10.0%、第2話の11.4%からガッツリ落ちて、一気に一ケタ代の8.4%になってしまった模様。

このまますんなり幸せ家族になるとも思えない遊川和彦の脚本ともども心配!
(イラストと文・北村ヂン)