144年経った今も、韓国メディアは「天皇」と呼ばずに「日王」と呼んでいる。資料写真。

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韓国の新聞で最大発行部数を誇る「朝鮮日報」(7月25日付)が、「天皇と書くべきか、日王と書くべきか」というコラムを掲載した。韓国では、日本の「天皇」を「日王」と呼んでいる。一瞬、「あれ!」と思うほど違和感を覚えるのだ。これまで日本では、韓国や中国の人名については「日本語」の発音で通してきたが、最近は、「現地語」読みに切り替える例が増えている。それだけ、中韓への親近感を出そうという試みであろう。韓国では、前記のように天皇を「日王」と書いている。その理由を、前記のコラムは次のように説明している。

「私たち韓国人はいろいろな理由から日王と呼んでいる。皇帝と王の違いに境界線を設けるのは容易ではない。洋の東西では異なり、歴史的な文脈でも違う。単純に考えて、王や諸侯を率いる場合に皇帝と言うとしたら、日本の君主(原文ママ)はただの王だ。日本人が『天皇』と呼ぶからと言って、韓国人がその通りにする必要はない。日本の帝国主義により支配された35年間は韓国人にとって地獄だった。被害国が満足できるだけの反省もしていないのに、皇帝だなんて我々が思い及ぶはずもない」(筆者は、同紙の東京特派員金秀恵:キム・スへ氏)。

このコラムによれば、過去の日韓併合への恨みを晴らすべく、わざわざ「天皇」と呼ばないと説明している。実は、この「天皇」という表記を拒否するのは、明治維新当時から変わらない「日本蔑視」に基づく。日本が開国に伴う国書を当時の李朝に提出した。李朝は受取を拒否したのだ。理由は、日本が「皇上」と「奉勅」の文字を用いたことにある。皇帝とは、「中国皇帝」以外に存在せず、日本は傲慢であるという意味で受取を拒絶したもの。明治5年(1872年)、軍艦2隻を伴い再度の修好を求めたが拒否された。これが後の、日本の「征韓論」へと結びつく導火線になった。

あれから144年経った今も、韓国メディアは「天皇」と呼ばずに「日王」と呼んでいる。彼らの認識では、日本は儒教国でないため、「華夷秩序」(中国の皇帝を頂点とする階層的な国際関係を指す)からみて、「夷国」(野蛮国)に分類されている。その野蛮国の日本が、畏れ多くも中国皇帝並みの「天皇」を名乗ることは許されないということらしい。グローバル時代の現在なお、「中華帝国」意識は健在である。

■筆者プロフィール:勝又壽良
横浜市立大学商学部卒、経済学博士(中央大学)、元『週刊東洋経済』編集長、元東洋経済新報社編集局長、元東海大学教授、元東海大学教養学部長。経済記者30年、大学教員16年の経験を持つ。