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アジレント・テクノロジーは8月3日、9月7日から9日にかけて千葉県の幕張メッセ国際展示場にて開催される分析機器・科学機器の専門展示会「JASIS 2016」に先駆け、同展示会で披露する予定の新製品ならびに同社の事業戦略などを報道陣に公開した。

同社の主軸製品である液体クロマトグラフ(HPLC)だが、従来は測定という面でソリューションを展開してきたが、今後はHPLCのワークフロー全体をカバーすることを掲げ、サンプルの前処理やデータ解析、データ管理、規制対応といった、ウェットからドライまですべての流れに対応を図っていくという。これと平行して、シリーズ名もInfinityLab LCシリーズに刷新したとする。

また、ワークフロー全体のカバーということで、ソフトウェア分野の開発にも注力「OpenLab」という名称で、ガスクロマトグラフ(GC)と液体クロマトグラフ(LC)の制御とデータ解析を行う「OpenLab CDS」、研究室などのデータを安全に一括管理するネットワークシステム「OpenLab ECM」、そして実験結果を部署などで共有し、実験データの改ざんなどを防ぐ可視化ソフト「OpenLab ELN」の3つの製品ブランドを展開している。

中でもOpenLab CDSについては、「現在のカスタマニーズは、とにかく簡単で分かりやすく、そしてなんでもできるLCが欲しい」ということを受けている一方で、「OpenLab CDS ChemStation」と「OpenLab CDS EZChrom」という2種類のソフトを提供しており、それぞれで画面と操作方法が異なっていたり、違う機能が搭載されていたりと、必ずしも現在のカスタマニーズとは合致していなかったという。そこで、現在、新たなCDSの開発を進めているとのことで、すっきりとしたUIを維持しながら、情報量をさらに増やすことを可能としたほか、Microsoft Officeと同じタブ/リボン構造の採用やアイコンのイラスト化を実施、マニュアルを読まなくても、直感的な操作を可能とした。また、解析についても、従来はデータ(数値)を見て、分析の成功の可否を判定していたが、数値ではなくバブルチャートなどの採用により、見た目で判断できるように結果データの可視化を実現したという。この機能は競合メーカーはまだ採用しておらず、独自機能になるという。

さらに、レポートの作成に際して、異常値にアラートを自動的に出す機能といった結果データの見せ方や情報の配置などを工夫して見せることも可能となっているほか、規制/コンプライアンス対応の世界的な強化の流れを受け、データの改ざんなどを防止することを目的としたデータへのアクセスログや権限管理などの機能も搭載しているという。

同社のもう1つの主軸製品である質量分析ソリューションについても新たな取り組みが進められている。こちらのカスタマニーズとしては、「従来は少なかったライフサイエンス分野での活用や環境分析などでの活用が増加しており、これによりマトリクスや化合物の分析といったヘビーが用途が増加しており、イオン源が汚れやすくなり、感度低下などの問題が引き起こされている」ということが生じているという。GC/MSは、その技術上の制約としてイオン源は真空中にあり、かつ高い温度が必要なため、一度ウェット洗浄を行ってから、システムを復帰させるのに、数時間から半日程度の安定時間が必要なことに加え、汚れやすい条件だと月に1度以上の洗浄が必要になるという点が課題であり、それに対し、セルフクリーニングを行うことで、洗浄頻度を劇的に減らすことを可能とするイオン源「JetClean」の開発が進められているという。

JetCleanは、高精度に流量を制御した洗浄ガスを流し、含有される水素をプラズマ状態とすることで付着する有機物などの汚れを除去することでクリーンな環境を維持する機構を採用。海外の事例となるが、食品中の残留農薬の分析でGC/MSを使ったカスタマは、導入前は毎月1度の洗浄を行っていたが、導入後は半年に1度の洗浄で済むようになり、稼働率の向上を実現したとする。

現行のソフトウェアに対応するGC/MSにオプションとして提供される計画で、8月中の販売開始および9月以降の出荷を予定しているという。

このほか、同社ではSeahorseの買収により、細胞レベルで代謝を理解することを可能とする細胞外フラックスアナライザをラインアップに加えており、従来の質量分析システム群と組み合わせることで、例えばメタボロミクスの分野では分子レベルの詳細解析から細胞レベルでの俯瞰した解析までトータルで行うことが可能になったとしている。なお、新CDSはJASIS開催当日に正式発表および販売開始が予定されており、展示会では、来場者が自由に操作可能な環境を用意する予定であり、触ってみたい、というユーザーニーズに対応を図るとしているほか、各種ソリューションについても最新情報の紹介を行っていく予定としている。

(小林行雄)