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同じ業務内容の正社員と契約社員なのに、賃金や手当が異なるのは違法だとして、物流大手「ハマキョウレックス」(浜松市)の有期契約の運転手が格差是正を求めた訴訟の控訴審判決が7月26日、大阪高裁(池田光宏裁判長)であり、手当の一部を違法と認めて、差額77万円の支払いを命じた。

報道によると、池田裁判長は、正社員に支給される7種類の手当のうち、「通勤手当」「無事故手当」など4種類は、契約社員にも支払われるべきだと指摘。格差は不合理で、有期契約を理由に不合理な労働条件を禁止した労働契約法に違反していると判断した。

一方で、その他の手当や賃金格差については、是正の必要性はないとした。

そもそも、同じ業務内容をしている正社員と契約社員になぜ差をつけてはいけないのだろうか。また、今回の判決をどう評価すればいいのか。今泉義竜弁護士に聞いた。

●労働契約法で不合理な差を禁じている

「契約社員はいつ雇い止めされるかわからない弱い立場で、正社員と同じ仕事をしていても不当に低い労働条件が押し付けられる傾向にあります。

2013年4月施行の労働契約法20条は、そのような格差を是正するため、無期契約労働者(いわゆる「正社員」)の労働条件と、有期契約労働者(いわゆる「契約社員」)の労働条件について、不合理な差をつけることを禁じています。

いま各地でこの条文を使った裁判がおきており、長澤運輸事件で労働者勝訴の判決が出ているところです(https://www.bengo4.com/c_5/n_4715/)」

では、今回の判決をどうみればいいのか。

「今回の判決は、貨物運送のドライバー業務は、正社員と契約社員とで大きな違いがないことを認めた上で、『無事故手当』『作業手当』『給食手当』『通勤手当』について正社員と契約社員に違いを設ける理由はなく、不合理だと判断し、会社に手当相当額の損害賠償を支払うよう命じました。

一審判決が『通勤手当』のみを不合理と判断したのに対して、大きな前進です。

一方で判決は、正社員と契約社員とで配転などの『人材活用の仕組み』に違いがあることを前提にして、『住宅手当』『皆勤手当』を正社員のみに支給していることは不合理とはいえないとしています。また一時金や退職金などの賃金格差については正面から判断していません。

これらの点については疑問が残りますが、この判決が、長澤運輸事件に続いて、現場に蔓延する非正規労働者の格差を是正していく大きな力になることは間違いありません。企業サイドにもこれまで以上に対応が求められるでしょう」

今泉弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
今泉 義竜(いまいずみ・よしたつ)弁護士
2008年、弁護士登録。日本労働弁護団事務局次長。青年法律家協会修習生委員会事務局長。労働者側の労働事件、交通事故、離婚・相続、証券取引被害などの一般民事事件のほか、刑事事件、生活保護申請援助などに取り組む。首都圏青年ユニオン顧問弁護団、ブラック企業被害対策弁護団、B型肝炎訴訟の弁護団のメンバー。
事務所名:東京法律事務所
事務所URL:http://www.tokyolaw.gr.jp/