前東京高検検事長で弁護士の渡辺恵一氏を委員長に、委員として2名の弁護士と、元トヨタ自動車の理事、八重樫(やえがし)武久氏を含む4名で構成する特別調査委員会が、8月2日に三菱自動車の燃費不正に関する調査結果を公表しました。

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同委員会は本問題の事実関係や原因・背景等を明らかにするため、今年の4月25日から7月31日までの約3ヶ月に渡り、MMC(三菱自)、NMKV(日産/三菱自合弁会社)、MAE(三菱自動車エンジニアリング) の役職員、及び元役職員等154名を対象に実施した計236回に上る聞き取り調査をベースに、綿密に開発の実態を調査したそうです。

今回、調査委員として抜擢された八重樫氏は、入社以来一貫してトヨタのクリーンエンジンの研究開発に携わり、初代プリウスのハイブリッドシステム開発を担った中心人物で、「ハイブリッドの父」の異名を持つエンジン開発のベテラン。

そうした経歴を持つ元トヨタ自動車の八重樫氏らが今回の調査で目の当りにした同社の開発現場の実態はどのようなものだったのか、さっそく見て行きましょう。

報告書によると、下記に列記した原因/背景の根本まで掘り下げて分析した結果、「MMCの経営陣及び開発本部の幹部による開発現場に対する関心が低く、開発本部の各部署も自分たちの業務にしか関心を持っていない」と指摘しています。

・性能実験部、認証試験が燃費の責任を負う仕組み
・開発工数が慢性的に不足
・性能実験部が「できない」と言えない風土
・法規違反に対する意識が希薄
・不正行為が長年にわたり改められない
・技術的議論が不十分なまま燃費目標を設定
・会社一体となってクルマを作り、売るという意識が欠如

そうした背景から「MMC全体で自動車開発に対する理念の共有がなされず、全社一体となって自動車開発に取り組む姿勢が欠けていたことが本質的な原因」とした上で、今回の問題は「性能実験部及び認証試験グループ、更には開発本部だけの問題ではなく、経営陣をはじめとするMMC全体の問題」と結論付けています。

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具体的には、MMCの開発業務について、経営陣が開発の実情や実力を十分に把握していたとはいい難く、開発の現場にほぼ任せきりにしており、開発責任者や開発本部の幹部らも、性能実験部の業務に対し、無理解、無関心だったと指摘。

性能実験部では、一足先に「惰行法」が採用されたディーゼル車の走行抵抗測定に関する経験から、法律に定める「惰行法」による走行抵抗測定が煩雑といった認識が浸透。

少なくとも1991年12月頃には「高速惰行法」による走行抵抗データを使って、あたかも「惰行法」によって走行抵抗を測定したかのような負荷設定記録を作成するようになっていたそうです。

このような状況になってしまったのは、各車種の開発チームや担当者の意思によるものだった可能性が高く、その一方で、上司は部下が法規を遵守して業務を行うように、指導や監督をしていた形跡すら見当たらなかったといいます。

おりしも、2005年に当時の新入社員が評価方法の違法性を指摘、また2011年に実施したコンプライアンス(法令順守)に関する社内アンケートでも「報告書の虚偽」との指摘があったにもかかわらず放置しており、一連のリコール隠し問題が発覚以降も全く自浄作用が働かなかったことを考慮すると、この根深い状況は一筋縄では解決しそうに無さそうです。

そこで先頃、三菱自動車を傘下に収めた日産自動車は、山下光彦副社長(開発・品質担当)を事業構造改革の責任者として早々に送り込んでおり、既に開発部門の多層からなる階層のフラット化や、会議体の見直しなどに着手しているそうです。

7月からは開発部門でエンジニアリング子会社を含む約5,000人を対象にした「パフォーマンス・レボリューション活動」をスタート。

新聞報道などによると、部長以上を対象に、現状認識、会社の実態等について議論を開始しており、9月末を目処に課題をまとめ、共通認識を高めた上で、具体的な解決策を見出し、その後、社内全体の活動に拡大していく計画とか。

開発の現場で役員が議論に参加する仕組みづくりも併せて進めているようです。

山下副社長の今後の手腕が注目されるとともに、「外部の目」として日産自動車本体のサポートも引き続き、必須の状況と言えそうです。

(Avanti Yasunori)

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