クマさん:歯科医師。スポーツ選手や遠方の患者も多数/いぬさん:歯科医師。「自身の歯を大事にする治療」が信条/うさぎさん:仕事に全力投球!の歯科衛生士。ラブラブの新婚さん(イラスト/サタケシュンスケ)

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「いい歯医者さんにかかりたい!」というのは患者の切実な願い。でも、歯科医師、歯科衛生士も人の子。患者さんにちょっと言いたくなることも、たまにはあります。

 週刊朝日MOOK『いい歯医者2016』で、現役歯科医師・歯科衛生士の方々が語ったホンネとは? 今回は覆面座談会なので、クマさん、いぬさん、うさぎさんに扮していただきました。

<クマさん>
歯科医師。スポーツ選手や遠方の患者も多数

<いぬさん>
歯科医師。「自身の歯を大事にする治療」が信条

<うさぎさん>
仕事に全力投球!の歯科衛生士。ラブラブの新婚さん

*  *  *
いぬさん:やっぱりいちばん困るのは、無断キャンセル、ドタキャン、遅刻です。30分間の診療予定なのに、15分も遅れてきて「ちょっと遅れました」と言われると、思わずムッとしてしまいます。

クマさん:その次はお金がらみ。治療を始める前にきちんと説明したのに、「聞いてない」って逆ギレされて……。また、「自費診療でやります」と言うので、自費技工物の作業を進めていたのに、途中で「やっぱり保険診療で」というのも困ります。自費技工物が完成した後で、「思っていたのと違うから払いたくない」と言われた話も聞いたことがあります。

いぬさん:治療費に関することは、紙に書いて渡すようにしている歯科医院もありますよね。

クマさん:以前、何度調整しても「義歯が合わない」という患者さんがいらっしゃいました。機械メーカーを定年退職された方で、ある日、図面を描いて「ここをこう直せば合うようになるはず」と言ってこられた時は驚きました。確かに図面はお上手でしたけど(苦笑)。なかには自分で勝手に削って調整する人もいますが、それだけは本当にやめてください!

うさぎさん:歯が痛くなったり、トラブルが生じたりしてから歯科医院に来られる方がほとんどですが、本当は何でもない時に美容院感覚で、定期的にメンテナンスに来てくださるといいですね。実はそのほうが、長い目で見ると治療費も抑えられますし。

クマさん:歯科医師の立場からいうと、本当に歯を大事にしたいなら、喫煙は今すぐやめるべき。歯周病にとって最も危険な因子は喫煙ですから。でも一方で、スモーカーの歯科医師もいます。そういう歯科医師は院内に「喫煙コーナー」を設けたりして、喫煙者の患者さんが集まってきます。それはそれでニーズをとらえているのでしょうが。

いぬさん:「どうしてもたばこはやめられない」って人はいますよね。若い人には「やめたほうがいい」って言いますけど、年配の人で、自分の歯よりもたばこを選ぶ、と思っている人にはそれ以上は言わないようにしています。価値観は人それぞれですし。

クマさん:あと、これは困るということではないのですが、「自分の話を聞いてほしい」と思っている患者さんは意外に多いですね。不安に思っていることを聞くのも仕事のうちだと思っているので、私は時間を確保して聞くようにしています。

うさぎさん:歯のケアをする時、患者さんの顔にタオルをかけるのですが、「かけないでください」って言われたことがあるんです。「歯科衛生士さんが自分のために一生懸命やってくれているところを見ると癒やされる」って言われて……。患者さんと目が合わないようにしながら歯石を取るのに必死でした。

いぬさん:いろんな患者さんがいるものですね(苦笑)。

クマさん:でも、やっぱり治療が終わって「ありがとう」と感謝されるとうれしいですし、その後もセルフケアでいい状態を保っている患者さんを見ると、よろこびが倍増しますよね。

いぬさん:患者さんが一生自分の歯で過ごせるように私たちは最善を尽くしていますけど、患者さんにも「自分の歯を大切にしたい」という気持ちがあると、さらに頑張ろう!って思えますね。

うさぎさん:患者、歯科医師、歯科衛生士の心が一つになれるよう、お互い尊重しあっていい関係が維持できるといいですね。

(取材・構成/吉川明子)

※週刊朝日MOOK『いい歯医者2016』より