見直された熱中症対策…「クーリングブレイク」がもたらす戦術的要素とは

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 今季の全国高等学校総合体育大会サッカー競技大会(インターハイ)における最大のトピックは「クーリングブレイク」の導入だったかもしれない。日本サッカー協会(JFA)が今年3月に発表した「熱中症対策ガイドライン」(参考:http://www.soccer-king.jp/news/japan/japan_other/20160411/429892.html)において、高温となる夏場の試合に関していくつかの施策導入が勧告されていた。日程の緩和や開催地の変更は容易なことではないのだが、やろうと思えばすぐにできる施策もある。それが「クーリングブレイク」の導入である。

 従来、育成年代の試合を中心に「飲水タイム」というのは設定されてきた。気温と湿度が一定の基準を上回った試合において、前後半の半ばに試合を1回切って、タッチライン上での給水を促す仕組みだ。時間は1分と短く、戦術的指示は禁止。時間の遅延を嫌ったのか、スポンジやタオルを使って体を冷やすことも大会によっては禁止されるなど、十分な熱中症対策とは言い難い現状があった。

 それを踏まえて今年の夏からは「クーリングブレイク」と言われる3分休憩が、一定の気温などの基準を超えた試合で導入されることとなった。2014年のFIFAワールドカップにおいても一部試合で実施されたこのやり方は、前後半の半ば過ぎに設定されるという点では従来の飲水タイムと同じである。ただ、タッチライン上で立ったまま水を飲むだけでなく、ベンチや木陰、ロッカールームなどに戻って休むこともできる、まさに「ブレイク」の機会となる。タオルなどで体を冷やすこともできるし、スポーツドリンクなどを摂取することも可能。従来の飲水タイムが、あくまで「水」に限定されていたのとは対照的で、より実効性のある熱中症対策となっていたのは間違いない。

 一方で、より戦術的な意味も深まることとなった。クーリングブレイクの存在を踏まえて、試合を4分割して考えるクオーター制のような考え方を採用する指導者が出てきたことで、ゲーム内容にも変化が生まれていた。たとえば決勝においても、流経大柏の榎本雅大監督代行は当初から「第4クオーターで勝負」と位置づけて試合に臨んでおり、実際に後半のクーリングタイムで2名の選手交代を敢行して一気に勝負へ出て市立船橋を圧倒した(惜しくもゴールはならなかったが)。来年以降は、より指導者の側もこの制度を意識した戦術的な準備をしてくることになりそうだ。

文=川端暁彦