さまざまな探査機の活動により、徐々にその姿が解き明かされつつある「火星」。そこでは水の河川で削られたような渓谷が見られるのですが、最新の研究では残念ながら、これらは「液体の水」とは関係さそうだとNASAが報告しています。
 

 
現在、火星では探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)」が軌道上を周回しています。このMROには高解像度カメラ「HiRISE」と小型観測撮像スペクトロメータ「CRISM」が搭載されているのですが、HiRISEで撮影した上画像では上のように詳細な地形を、そしてCRISMでは下画像のようにその地域の化学成分を観測できます。
 
そしてMROによる100以上の観測の結果、以前には「水の河川」によって作られたと思われるこの渓谷が「液体の水やその副産物によるものではない」とNASAが発表したのです。
 
このような渓谷は両半球の緯度30度〜50度に広く存在し、それらは両極に向けて傾斜しています。そして以前には、これらの渓谷は季節的な活動…例えば温度変化による水の融解と凝固、あるいは二酸化炭素の霜によるものだと考えられてきました。
 
しかしCRISMを利用した今回の報告によれば、火星の表層からそれらの物質を示す痕跡は発見されませんでした。どうやら今回観測された土は渓谷が形成される途中で露出したもので、流れる水によるものではなかったのです。
 
ジョン・ホプキンス大学のJorge Núñez氏は、「現在見られるこれらの渓谷は数十億年前の、より火星表面で液体の水が安定していた時に作られたのかもしれない」と予想しています。火星には現在も液体の水が存在していると考えられていますが、その正体を正確に把握するのはなかなか難しいようです。
 
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/UA/JHUAPL
■Gullies on Mars Likely Not Carved by Liquid Water, NASA Says
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