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(写真)Whitney Museum of American Art

世界屈指のエンターテイメント都市・ニューヨークはアートシーンも充実。世界的に有名な美術館だけでなく、個性が異なる美術館や大小さまざまなギャラリーなど、時代や国境を超えた多種多様のアートがおもちゃ箱のように混在していて、ニューヨークの住人だってすべて回りきるのは難しいほどだ。。そこで、今回は、いま行きたいホットな美術館、アートスポットを紹介。今度のニューヨーク旅行は、「アート」をキーワードにしたおしゃれで知的な滞在をしゃれこんでみたい。


世界最大級のキュビズム・コレクションを誇る
最新のアートスポット「メット・ブロイヤー」


今ニューヨークでもっともホットな美術館が「メット・ブロイヤー」だ。2016年3月にオープンしたこちらは、20、21世紀のコンテンポラリー・アートとモダンアート作品に特化した、「メトロポリタン美術館」(MET)の分館となる。

「メット・ブロイヤー」は、1966年から2014年まで「ホイットニー美術館」が使っていた建物に位置していて、「ブロイヤー」という名前は、建物を手掛けた建築家、マルセル・ブロイヤー(Marcel Breuer)から来ている。花崗岩の外壁やひっくり返った窓が印象的なこの建築を見るためにニューヨークを訪れる人もいるほどだ。

さて、展示物に目を向けてみよう。メトロポリタン美術館は、近年、ピカソ作品33点、ブラック17点、グリス14点、レジェ14点などを含むキュビズム画家の作品78のコレクションを追加しており、これにより、新たにオープンした、こちらの「メット・ブロイヤー」は、世界でも最大級のキュビズム・コレクションを所蔵する美術館となる。「キュビズム」というのは、20世紀初頭、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって始められたモダンアートの手法のこと。実際のかたちにとらわれず、さまざまな角度、視点からみたモノのかたちをひとつの画面に収めることが特徴で、その後、多くの追随者を生んだ。

2016年9月4日までは、未完成の作品197点を集めた企画展「Unfinished」を開催中。レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロ、クリムト、ピカソ、ゴッホ、モネなどの未完の作品から、世界を代表する巨匠たちの「未完の作品」が並ぶ。名だたる画家たちが製作の過程でどんなことを考えていたのか、どんな順番で絵を描いていたのか、想像を膨らませることができる貴重な機会となるはず。

5階には、カリフォルニア発の人気コーヒーショップ「ブルーボトルコーヒー」のカフェも入っているのでコーヒーが好きな方はチェックしてみて。

なお、「メトロポリタン美術館」の別館にはもともと「クロイスターズ美術館」があり、「メット・ブロイヤー」のオープンにより3館体制となった。最初に訪れた美術館で入場料を払えば、その当日に限り、ほかの2館も自由に行き来が可能。滞在中の1日を「メトロポリタン美術館デー」にして3館はしごをするのもおもしろいかも!? 3館ともまったく個性が異なるのでその違いをたっぷりと満喫したい。

INFO:
Met Breuer(メット・ブロイヤー) 
住所:945 Madison Avenue, New York


ホットなミートパッキングエリアで再スタート!
アメリカン・アートの殿堂「ホイットニー美術館」


ニューヨークの「ホイットニー美術館」の正式名は、「Whitney Museum of American Art」。その名のとおり、とことんアメリカン・アートに特化した美術館として知られている。「ホイットニー美術館」の創立は1930年。自身も彫刻家であったガートルード・ヴァンダービルド・ホイットニー女史は、ヨーロッパ美術がアートシーンの中心で、アメリカン・アートがほとんど評価されることがなかった20世紀初頭から、アメリカ人アーティストの作品を収集し、アーティストたちの育成や発展にも寄与してきた。しかし、1929年、「メトロポリタン美術館」に自らのコレクションの寄贈を申し出たものの却下されてしまう。そこで、1931年、個人の資産を投じて、アメリカン・アートのみを展示する美術館を設立するに至った。

その「ホイットニー美術館」が、2015年5月、発祥の地からほど近い、いまニューヨークきってのおしゃれエリアとして人気の、ミートパッキングエリアに移転。これまでの2倍の展示スペースを有する大きな新築な建物に拠点を移した。

設計を手がけたのは、関西国際空港を設計したことでも知られるイタリア人建築家のレンゾ・ピアノ氏。シンプルな白壁と大きなガラス窓を用いたモダンな建物は、地球環境にまで表現方法を広げる「ランド・アート」の先駆者、ロバート・スミッソンの「都市は徐々に自然の状態に回帰する」という思想を反映したものだ。周囲の建築物や自然との調和に重点を置くピアノ氏は、空中遊歩道「ハイライン」とハドソン川に挟まれる空間を、自然に、アーティスティックにつなげた。

「ホイットニー美術館」に足を運んだら、ぜひチェックしておきたいのはなんといっても20世紀から現代までのアメリカン・アートを展示する常設展(6、7館)だ。世界随一の「アメリカン・アート」の殿堂では、ジョージア・オキーフ、エド・ルシェをはじめ、約3000人のアーティストの21000点を超える作品を所蔵。エドワード・ホッパーの《日曜日の早朝》や《線路の日没》、ジョセフ・ステラの《ブルックリン・ブリッジ》など、アメリカ美術史に燦然と輝く作品たちが、窓からふんだんに降り注ぐ自然光や周囲の環境と調和して、古き良きアメリカを今に伝えている。8階にはテラスも有するカフェ&レストラン「Studio Cafe」があり、マンハッタンの景色を楽しみながら食事を楽しむことも可能。テラスには入場料なしで入ることができるので、心地よい風に抱かれながら読書やおしゃべりに興じている人も少なくない。また、夜になるほど賑やかになる立地を鑑み、金土は22時まで開館している。遮るものなくハドソン川が見渡せる夜景も圧巻で、夕食の後、バーに繰り出す前に、美術館を訪れるのもおすすめだ。

1階のミュージアムショップもお土産選びに重宝しそう。「ミートパッキング」という立地を反映させた、ソーセージやサラミをかたどったオブジェ(日本人アーティストがデザインしたものだとか)など、ホイットニー美術館オリジナル商品を含めた、エッジのきいたアイテムが揃う。

INFO:
Whitney Muserum of American Art(ホイットニー美術館) 
住所:99 Gansevoort St., New York


「CHICAGO」

ニューヨークに行ったなら
やっぱり観たい!ブロードウェイミュージカル


ニューヨークを代表する「芸術」といえば、なんといってもブロードウェイミュージカル。タイムズスクエア周辺には約40の劇場があり、連日、多種多彩なショーが上演されている。世界最高峰のエンターテイメントはニューヨークを訪れたからにはぜひチェックしておきたい!

とはいっても、普段、ミュージカルを見慣れていなく、また、英語に自信がない人にとっては、海外での観劇はなかなかハードルが高いもの。そんな人におすすめなのが、トニー賞最優秀リバイバル・ミュージカル作品賞に輝く、今やブロードウェイを代表するミュージカルのひとつ『シカゴ』だ。

『シカゴ』は、夜の街にジャズの音色が響きわたり、犯罪が頻発する1920年代のシカゴで実際に起こった2つの殺人事件をベースに製作された演劇を、ミュージカルにアレンジしたもの。ジャズ全盛期を彷彿させる楽曲や、今なお語り継がれる独自の振付スタイルを生み出した、伝説的振付師・演出家、ボブ・フォッシーによるスタイリッシュでセクシーなダンスが満載の、ミュージカルの醍醐味が存分に味わえるのが魅力だ。2002年には、レニー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、リチャード・ギアらの出演で映画化。作品賞を含む、アカデミー賞6部門を受賞する大ヒットを博した。「英語が苦手」という人も、映画で予習ができるのが心強い。また、映画版と舞台版の違いも確かめるのも楽しいはず!

ちなみに、現在、上演されている『シカゴ』のリバイバル版は、今年2016年、ブロードウェイ上演20年目を迎える。メモリアルイヤーに、世界を魅了し続ける、セクシーでバイオレンスで、そして、ゴージャスなミュージカルを、エンターテイメントの本場・ニューヨークで体感してみては?

INFO:
ブロードウェイミュージカル「シカゴ」(英語) 
ブロードウェイ情報(Broadway Inbound) 

(text by aya hasegawa)


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