連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第18週「常子、ホットケーキを作る」第104話 8月2日(火)放送より。 
脚本:西田征史 演出: 岡田健


やられた。女給さんたち、梢(佐藤仁美)以外は転職していた。
転職組と、ひとりだけカフェーに残った梢が屈託なくつきあいが続いていて良かったなあと思う。この世界は善意に満ちている。
彼女達が試食した美味しそうな料理──小麦粉以外に牛肉と西洋松茸(マッシュルーム)が入っているものーーは働く女性が作るにはちょっとハードルが高い。
「欧米人も気が利かないねえ」(梢の名台詞)
そこで、混ぜて焼くだけのホットケーキが俎上にあがった。昔、常子(高畑充希)たちが百貨店で食べた思い出の味がここに再び登場するのがニクい。
だが、まだまだ前途多難。

美子(杉咲花)は常子のディレクションに不満で編集部の空気が悪い。おまけに、広告主が勝手に次号にお得意先の奥様による「ポアソン・ア・ラ・アメリカン」という料理を載せることを決めてしまう。
花山が危惧していた通りになってしまったのだ。
「ポアソン・ア・ラ・アメリカン」は車エビに鯛のパイ包みで、庶民の手のでるものではない。
だが、料理を載せないで広告を入れないと立ち行かない・・・。困ってしまう常子・・・。
ちなみに、モチーフになっている「暮しの手帖」では、高級レストランのお料理を一般家庭で手軽につくれる
レシピを掲載して人気を獲得していたが、「あなたの暮し」もそういうふうに発想を変えていくのだろうか。
まだ答えは見えない。

とりいそぎ、照代(平岩紙)と宗吉(ピエール瀧)が聞き役になって、改めて常子がなぜ雑誌をつくったかを振り返る。ここから観た人にも話がわかるようになっている手厚いつくりだ。
宗吉は善人だけど、ちょっとオネエちゃんには弱く、カフェー浪漫にも興味をもって、照代に睨まれていた。オネエちゃん好きな側面を見せるところで、「日本で一番悪い奴ら」(白石和彌監督)という映画でピエール瀧がオネエちゃんをたくさんはべらしている場面があるのを思い出した。ゲスい役をたくさん演じているピエール瀧をほぼ無菌状態にする浄化作用の高いドラマ。再放送中の「てるてる家族」にお父さん(岸谷五朗)が浮気するエピソードあったのが貴重に思える。
(木俣冬)