泣いた人、笑った人「ポケモンGO」狂想曲〜得した業界編〜

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株式市場で「ポケノミクス」という言葉が行き交っている。社会現象となっている「ポケモンGO」の経済効果を指す言葉だが、得したところもあれば、損したところもある。悲喜こもごもの業界事情を芸術から政治、経済、エンタメ、スポーツまで幅広いジャンルに造詣が深い作家の松井政就さんに聞いてみた。まずは「得した業界」から。

■ネット界の巨人に富は集まる

「何といってもライセンスを持つ任天堂ですが、それ以外でとなると、まずはアップルとグーグルです」と松井さん。「ゲーム自体は無料ですが、有料アイテムが売れればそれぞれのアプリストアの売り上げになります」と続ける。

「そもそもアプリにはおもちゃのように在庫用の倉庫がいるわけではありませんから、どれだけ売れても売れ得で、放っておけばよいのです」とコストがほぼ必要ないことに触れ、「一度掘った井戸からお金が涌いて出ているようなものです。しかもアプリの課金は売り上げの30%ですから笑いが止まりません」と“濡れ手で粟”状態を明かす。

システムを制する巨人に富が集まるというインターネットビジネスを象徴する話だ。

■アキバのジャンク屋はウハウハ〜

次に松井さんは「意外な特需が降って涌いたのが家電小売り業界です」と話す。「スマホ用の持ち運び用バッテリーです。ポケモンGOはやたらとバッテリーを消費しますから本体だけでは一日持たず、これまで別個にバッテリーを持っていなかった人がお店に殺到しています」という。

テレビのニュースなどで大手量販店でバッテリーが売れている様子が報じられていたが、松井さんは「本当に喜んでいるのはアキバ(秋葉原)のジャンク屋とバッタ屋でしょう」と分析する。

アキバの裏通りには中古品・故障品を取り扱うジャンク屋、バッタバッタと倒産した商店の品物を集めたバッタ屋が並んでいるが、そうした店の定番とも言える商品が持ち運び用バッテリーとのことだ。

「量販店は売上規模がでかいから、どんなに売れても全体への貢献度はたかが知れています。しかしジャンク屋やバッタ屋だと話は別です。普段は店先でホコリをかぶってきたバッテリーが飛ぶように売れるのですからポケモン様様です」(松井さん)。まさに降って湧いた特需という表現がぴったりだ。

■証券会社にも恩恵……ゲームユーザーと感覚は同じ

証券会社もポケノミクスの恩恵に預かっているという。松井さんが「任天堂の株はポケモンGOがリリースされて1週間で2倍に大爆発するなど、まさに“モンスター”株となっています。その後いったん下げたとはいえ、こうした目玉の株が現れると、証券業界全体が活気づきます」と話す。

「ゼニガメが出現すると噂になった公園に人が殺到するのと同じです。ゼニガメは取れなかったけど何だか満足、というユーザー心理と同じと言えます」(松井さん)

何だか元気が出る明るい話題である。この勢いで日本経済全体が上向かないものかな、と期待してしまうが、やはり「損する業界」も存在した。後編で詳しく紹介する。

「教えて!goo」では、「話題の『ポケモンGO』をやっていますか?」ということで意見を募集中だ。

●専門家プロフィール:松井政就
作家。「賭けに勝つ人嵌る人」(集英社)「ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている」(講談社)「本物のカジノに行こう!」(文春新書)など著書多数。政治、経済からスポーツ、エンタメまで幅広い分野に精通している。

(武藤章宏)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)