リオ五輪直前!競技以外のウンチク・シリーズ#1「サンバ」と「ボサ・ノヴァ」の違いって知ってた?

いよいよ開幕! リオ・デ・ジャネイロ・オリンピック。今年の夏休みはテレビでオリンピック浸りという人も多いかも。リオといえばサンバ。サンバといえばリオ。熱いサンバを聴けばリオの気分もさらに盛り上がること間違いなし。それならば、と「マツケンサンバ」「お嫁サンバ」「てんとう虫のサンバ」を用意しようとしたあなた(そういえば「白い蝶のサンバ」もあった。日本はサンバ大国なのか?)、ちょっとお待ちください。

うすうす感づいていると思いますが、これらは「サンバ」と付いていますが、ブラジルの「サンバ」をほとんど感じることができません(ちなみに「マツケンサンバ」の歌い出しは「叩けボ〜ンゴ」ですが、ボンゴはサンバでは使わないんですよね)。まあそこで怒ってもしょうがないんですが、百歩(ブラジルの人なら千歩)譲って、気分はサンバだから、サンバから分かれ出たひとつの「新種」というふうに考えて聴けばいいか…。でも「サンバの新種」には呼び名があるのでした。それが「ボサ・ノヴァ」。

ボサ・ノヴァ(Bossa Nova)はポルトガル語で、英語の「ニュー・ウェイヴ」、フランス語の「ヌーヴェル・ヴァーグ」と同じような意味合いです。前者は芸術全般で使われていますし、後者は1950年代のフランス映画で使われました。これを日本の音楽用語に置き換えると、1970年代の「ニュー・ミュージック」というところでしょう。ユーミンやヤマタツに代表されるような、歌謡曲(日本音楽のメインストリーム)の世界の「新感覚音楽」とその一派というものを指していました。音楽スタイルの共通性はありますが定義はなく、「感覚」や「ムーヴメント」でのカテゴライズというものですね。

ブラジルの「ボサ・ノヴァ」も同じです。狭義のボサ・ノヴァは、サンバのリズムをギターで静かに演奏し、洗練された歌詞を歌うというようなスタイルを指します。ジョアン・ジルベルトやアントニオ・カルロス・ジョビンがその代表ですが、ボサ・ノヴァとはもともとその「新しい感覚」のことを指しているので、ジルベルト・スタイルに限定されません。またボサ・ノヴァはサンバから派生した、「リオ発祥」のシティ・ミュージックであるということで、リオを象徴する音楽なのです。つまりリオ・オリンピックのBGMは、ブラジル全土を象徴するサンバより、ボサ・ノヴァのほうが、的確。ストレートにぐさっと刺さる気分ではあります。

話を戻すと、こういうわけで「マツケンサンバ」はサンバではなくボサ・ノヴァである、と勝手に結論づけますが、でもリオ気分に浸るなら本物のボサ・ノヴァを聴きたいところです。タイムリーに発売中の『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』(小学館)第7号は「ボサ・ノヴァ・ヴォーカル」。元祖ボサ・ノヴァ神、ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンはもちろん、代表曲「イパネマの娘」「デサフィナード」からセルジオ・メンデスの大ヒット曲、聞けば誰でも知ってる「マシュ・ケ・ナダ」まで――「リオ音楽」=「ボサ・ノヴァ」とはどんな音楽かが、ブックレットとCD1枚で完全体感できる内容になっています。ぜひオリンピック開幕までに予習をどうぞ。

■『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』第7号
 「ボサ・ノヴァ・ヴォーカル」

『ジャズ・ヴォーカル・コレクション』第7号  「ボサ・ノヴァ・ヴォーカル」

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文/編集部