『美人の食卓は1日2000kcal 人生をキラキラさせる“足し算”ダイエット』(細川モモ/講談社)

写真拡大

 この国の若い女性たちは慢性的な栄養失調状態にある。摂取カロリーは戦後の食糧難の時代を下回り、体に必要な栄養素であるタンパク質やビタミン、ミネラルなどが大多数の女性では不足している。そんな恐るべき実態を明らかにし、正しいダイエットのあり方について提言したのが本書『美人の食卓は1日2000kcal 人生をキラキラさせる“足し算”ダイエット』(細川モモ/講談社)である。

 著者は女性のための保健室「まるのうち保健室」の立ち上げに関わった人物。「まるのうち保健室」は1002名の働く女性たちからアンケートをとり、その結果を白書にまとめた。そこで発覚したのが、若い彼女たちの食生活や健康状態がボロボロであるという事実だった。その問題の背後にあるのは、日本女性の間に根強い「やせ信仰」とスリムな体形 をキープするための「低カロリーでヘルシーな食事」である。確かにカロリーを抑えなければ、痩せることはできないという考えは根強い。しかし著者はこう断言する。

あなたが続けているその“ヘルシーな食生活”こそ、あなたの身体を痩せにくく、不健康にしている可能性が高いのです。

 著者曰く、働く女性が1日に必要とするカロリーの目安は2000kcal(細かい数値は身長や活動量などにも左右される)。ちなみに白書の平均摂取カロリーは1479kcalだ。「2000kcal」というといかにも太りそうな印象だが、そうはならないのが本書の面白いところ。

美人は1日2000キロカロリーの食事をとっています。

 その言葉を裏づけるように、本書に登場した女性たちは見事に食べて痩せている。ぽっちゃりだった人はスリムに、ガリガリだった人はメリハリボディに変身した。彼女たち4人のうち、2人はミスユニバース日本大会のファイナリストだ。2人とも体重そのものは増えているにもかかわらず 、24%から25%ほどあった体脂肪率が22%前後まで落ち、引きしまった身体を手に入れた。その秘密は筋肉にある。これまで低カロリーの食事が身についていた彼女たちは食事の量を増やすことで、筋肉量を増やすことに成功したのだ。

 筋肉はボディラインを整える意味でも、健康を維持するという点でも大切なものだ。しかし栄養不足の状態では筋肉は減ってしまう。特に肉や魚などのタンパク質の不足は問題だ。また著者によれば、野菜中心など低カロリーにこだわった食生活では、タンパク質だけでなくビタミンやミネラルなどまで不足してしまうらしい。さらに栄養不足に陥った結果、スイーツなどの間食を身体が求めるようになって、余分なカロリーを取ってしまうようになる。しかもこれらは糖質や脂質ばかり多く、他の栄養素が含まれない「エンプティカロリー」だ。それらの分のカロリーを埋め合わせようとして食事量を減らすとますます栄養が不足する。こうした食生活の行き着く先が、不健康で痩せにくい身体である。だから著者は、表面的なカロリーにこだわらずに「足し算」して食べることをすすめる。「エンプティカロリー」を中身のあるカロリーに置き換え、栄養を「足し算」することによって、基本的な栄養素を補うことができるのはもちろん、アミノ酸スコアを整え、食事のGI値を抑えることができる。それによって過食が自然と抑えられ、健康的なダイエットにつながるのだという。筋肉量の低下も起きないため、冷えやむくみ、たるんだボディラインといったトラブルとも無縁だ。

 著者のいう理想のボディは魅力的だ。スマートではあるが筋肉と体脂肪のバランスがとれており、貧血や生理不順といった健康上の問題が起こりにくい身体。これは妊娠出産にも適した身体でもある。著者によると、BMI19未満、体脂肪率19%未満の「やせ」に該当する女性では婦人科疾患や胎児の健康リスクなどが増大する。だからこそ著者は、今の女性たちが陥りがちな「やせ信仰」に警鐘を鳴らす。ちなみに、本書では、美と健康を両立できる体型として、BMI19から25未満(ベストは21)、適正美容体脂肪率19から23%(女性らしさを出すなら21から23%)を推奨している。そしてこの身体は、低カロリーすぎる食事では作れないし、維持もできない。本当の意味で美人といえるためには、ただ体形が細ければいいのか? ダイエットについての認識を根本的に変えてくれる1冊である。

文=遠野莉子