今年5月、気象庁は2014年に発生したエルニーニョ現象は弱まりつつあり、夏にはラニーニャ現象が発生する可能性が高いと発表した。ラニーニャ現象が発生している年の7〜9月の平均気温は、東・西日本で例年並か高い傾向があり、前回ラニーニャ現象が発生した2010年には1898年以降の113年間で最も平均気温が高くなるなどの記録的猛暑を記録している。6年ぶりにラニーニャ現象で向かえる今年の夏も、記録的な猛暑で連日寝苦しい夜が続くことが予想される。そんな寝苦しい夜に質の良い睡眠をとるポイントを、専門家のアドバイスを交えながら紹介する。

■夏バテ予防・改善に重要なのは食事、睡眠、運動、水分補給

「疲れがとれない」「食欲がなくなる」「よく眠れない」などの不調が起きる夏バテだが、高温多湿の環境の中で、体温を一定に保とうと自律神経がフル稼働することで疲弊することが原因と考えられている。そんな夏バテを予防・改善するためには、食事、睡眠、運動、水分補給が大きなポイントとなるが、特に、熱帯夜の寝苦しさに悩みを抱える人が多い「睡眠」の改善が、夏バテ予防の重要なポイントの一つとして考えられる。

実践したい5つの睡眠対策と快眠ストレッチ

〈深睡眠って何?〉
睡眠には身体の眠りの「レム睡眠」と、脳の眠りの「ノンレム睡眠」の2種類がありますが、ノンレム睡眠は睡眠の深さが4段階のステージに別れており、より深い睡眠であるステージ3、ステージ4の段階を深睡眠(もしくは徐波睡眠)と呼ぶ。深睡眠時には疲労感の回復にも影響する成長ホルモンの分泌が活発になる。

実践したい5つの睡眠対策と快眠ストレッチ

■夏はやっぱり寝苦しい!8割以上の人が、最も眠りづらい季節を“夏”と回答!

味の素が2015年に行なった全国睡眠意識調査によると、83.4%の人が、一番眠りづらい季節を「夏」と回答した。一方、一番眠りやすい季節は「春(39.0%)」「秋(34.8%)」「冬(23.9%)」となり、夏が一番眠りやすいと回答した人は、2.3%でほとんどいないという結果になった。しっかりとした睡眠が取れていないと、疲労感が残り、夏バテの悪化に繋がる。最も眠りづらい夏こそ、睡眠の質を上げるポイントを抑え、快適な睡眠を取れるよう心がけよう。

実践したい5つの睡眠対策と快眠ストレッチ

■夏が寝苦しいと感じる原因は“深部体温”!

睡眠には体温コントロールが深く関係しているが、夏は気温が高く、上手く体温をコントロールできないことが、寝苦しさに関係している。人間は、活動時には身体の中心部分の深部体温が上がり、就寝時には深部体温を下げて眠る準備をする。眠たくなった赤ちゃんの手足が熱くなるのも、身体の中心部の熱を体外に放出して深部体温を下げているため。しかし、日本の夏は高温多湿なため、身体の熱を放出しにくく、深部体温を上手く下げることが出来ないため、スムーズな入眠ができずに、寝苦しいと感じてしまう。

実践したい5つの睡眠対策と快眠ストレッチ

■快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂先生が教える深睡眠を取るための5つのポイント

実践したい5つの睡眠対策と快眠ストレッチ

1.室温は体温リズムに合わせて調節、湿度は40〜60%をキープ
寝苦しい夜はエアコンを賢く活用して、快適な温度に調節することが重要。就寝1時間前は体温を下げるために汗をかくので、冷房を25度に入れて部屋をしっかりと冷やし、就寝時には少し汗ばむけれど目覚めない程度の温度(27〜29度)に変更する。こうすることで、体温リズムに合わせた温度変化を自然とつくることが可能。また、湿度が高すぎても不快に感じてしまうので、除湿機などを利用して40〜60%くらいをキープできるようにする。

2.扇風機は身体に直接当てず、天井に向けて
扇風機の風を直接身体に当てるのは良くないが、「ゆっくりうちわであおいだくらいのそよ風(風速40cm程度)」は、無風に比べて睡眠の質を高める効果がある。扇風機を使用する際には首振り設定にして天井に向かって風を送り、部屋全体の空気をゆるやかに動かすようにして微風を感じながら眠ると良い。

3.夜中の目覚めの原因は背中の蒸れ!通気性の確保を忘れずに
不快に感じる「背中の蒸れ」は、夜中に途中で目が覚めてしまう原因となるので、通気性を保つなどして、しっかりと対策をとることが重要。例えば、通気性の良いパットをマットレスの上に敷いたり、丈夫なダンボールを背中部分に当たるようにシーツの下に敷くだけで、背中が敷布団に密着せず、通気を確保することができる。また、横向きに寝ることもオススメで、特に、抱き枕を利用すると、身体の重さも分散されてリラックスすることが出来る。もし抱き枕がない場合は、横幅100cm以上の薄めの布団をクルクルと丸めて縛るだけで、簡単に作れる。

4.ミントの香りは体感温度を2度下げる
アロマも種類によっては、気持ちを落ち着かせるなどして深睡眠にも良い影響を与えるが、特に夏の夜にオススメなのが、ミント系のアロマ。スッキリとした香りは体感温度が2度ほど低く感じ、エアコンの温度設定が高いと感じる人も、更に設定を下げることなく寝苦しさを軽減させることができる。

5.睡眠に良いサプリメントや機能性表示食品も上手く活用しよう
連日の暑さでぐっすりと眠れないという人には、グリシンやテアニンなど、睡眠の質の改善に効果がある成分を摂ることもオススメ。最近では、睡眠に良いサプリメントや機能性表示食品も増えてきている。サプリメントなので、気軽に安心して使えるのもうれしいポイント。これらを上手く活用して、内面から睡眠ケアをすることも効果的。

〈夏の深睡眠にオススメ!手首ブラブラ体操&5・7・10呼吸法〉

眠れないときに「眠れない、眠れない」と考えると、益々眠りにつけなくなってしまう。実は、羊を数えることも、真剣に数を数えることでかえって頭が冴えてしまい、睡眠には逆効果となってしまう。なかなか眠りにつけないときには、身体や気持ちをリラックスさせるために、手首のストレッチや呼吸法を行なうと効果的。

■手首ブラブラ体操で1日の姿勢をリセット
スマートフォンやパソコン作業が多いと、自然と猫背になり、姿勢が悪くなってしまう。姿勢が悪い状態だと、上手くリラックスできずに、睡眠の質を下げることにも繋がる。そんなときには、手首ブラブラ体操で、一日の姿勢をリセット。手首は首と連動していて、寝る前に首をゆるめることで、脳の緊張がほぐれ、深睡眠を得やすくなる。手首ブラブラ体操の前後で、首がどのくらい回るのかを比較してみるとわかりやすいので、実践してみてほしい。

実践したい5つの睡眠対策と快眠ストレッチ

■5・7・10呼吸法でリラックス
気持ちをリラックスさせるには、5・7・10呼吸法がオススメ。方法は、最初の5秒間でゆっくりと息を吸い、7秒間息を止める。最後に、10秒間かけてゆっくりと息を吐き出すと、身体の力が抜けてリラックスすることが出来る。10セット続けたら、あとは自然な呼吸で息を整える。

文/編集部