先日掲載の記事「天皇陛下の『生前退位』スクープを新聞各紙はどう報じたか?」でもお伝えしたとおり、大変な驚きを持って全国民が受け取った、天皇陛下の「生前退位」のご意向。8月8日にも「お気持ち」を表明される見通しとなっています。生前退位に関しては「皇室典範」の改正が必要になってくるとのことなのですが、一体どのような法律なのでしょうか。無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』で現役弁護士が解説してくださっています。

皇室典範ってどういうもの?

天皇陛下が、数年内に天皇の位を皇太子さまに譲る「生前退位」の意向を、宮内庁の関係者に示されていることがわかりました。政府は、天皇の退位について、皇室制度を定めた皇室典範には規定がなく、「生前退位」には皇室典範を改正するなどの必要があることから、天皇陛下自身が表すお気持ちなども踏まえて、今後、対応を慎重に検討するものとみられています。今回は、「皇室典範」について見てみたいと思います。

「皇室典範」とは、日本国憲法に基づいて(日本国憲法第2条及び第5条)、皇位継承及び摂政に関する事項などを中心に規律するものとして制定されました。旧皇室典範は明治22年に大日本帝国憲法と同時に裁定されています。旧皇室典範の改正については皇族会議及び枢密院の諮詢を経て勅定するものとされていて、この手続に帝国議会の関与は必要ではありませんでした。

それに対して、現在の皇室典範は「法律」として昭和22年に制定されています。他の法律と同じように、改正については国会が行うことになっています。これにより、皇室の制度について、国民が国会を通じて関与することになりました。

皇室典範は5章から構成されます。1章は皇位継承について、2章は皇族について、3章は摂政について、4章は成年・継承・即位の礼や大喪の礼等について、5章は皇室会議について定められています。皇室典範では、天皇・皇太子・皇太孫の成年は18歳とすることが定められています(皇室典範22条)。天皇及び皇族は、養子をすることができません(同9条)。また、立后及び皇族男子の婚姻については、皇室会議の議を経なければなりません(同10条)。このように細かな定めが皇室典範には置かれています。

今回問題となっている「生前退位」については、皇室典範に規定がありません。したがって、生前退位については、改正をしなければなりません。改正案が定まった後は、通常の法律と同じですので、憲法59条の定めに則り、両議院で可決した時に法律になります。衆議院で可決されたけれども、参議院で否決された場合には、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決した場合は、法律となります(憲法59条2項)。

現在、生前退位を認めてしまうと、政治的意図が入り込んでしまうおそれがある、といった懸念も表明されています。しかし、天皇陛下のご年齢やご体調の問題もあります。天皇陛下のご意向を踏まえ、国民の声なども聞いて、最も良い結論を出してくれることを期待したいと思います。

image by: Wikimedia Commons

 

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出典元:まぐまぐニュース!